Wounds Internationalの2014年のガイドラインでは、抗菌材としてスルファジアジン銀のクリームは、一般的に使用されるが、治癒自体は遅らせる可能性があるとする[2]。日本皮膚科学会の2017年のガイドラインは、選択肢のひとつとしており、予後をよくするか不明であり、すべきとする意見、すべきでないという意見の両方があるとし、III度の熱傷では使用を推奨している[18]。(また日本では、医薬品添付文書で、軽症の火傷には疼痛を起こすため禁忌とされている)
また、2017年のシステマティック・レビューは9つのランダム化比較試験 (RCT) を発見し、ハチミツ・ドレッシングはスルファジアジン銀ドレッシングより良好とした(銀クリーム6、銀含浸ガーゼ3)[23]。同様に2015年のシステマティック・レビューは、6つのRCTを見出し同じ結論を下した[24]。ハチミツ・ドレッシングはスルファジアジン銀ドレッシングと比較して、I度とII度の熱傷に良好であり、短期間で減菌し治癒期間を短縮し、肥厚性瘢痕および拘縮のない完全な回復はハチミツで81%、銀で37%であった[25]。
ケアは通常看護師が行い、以下の目的に基づく[2]。
感染リスクの予防・軽減
湿潤療法
最適な痛み緩和
患者教育
一般に1cm以上の水疱を除去し、小さいものは残す。手の水疱は動きに支障がなければ残す。壊死した皮膚を除く。Wounds Internationalの2014年のガイドラインでは感染が疑われる場合、検査のために採取するが、予防を目的として抗生物質の投与を所定とするのは推奨されていない[2]。 日本皮膚科学会の2017年のガイドラインは、所定の抗菌薬の投与は否定的な結果も多く有効性を示す十分な根拠がないため明確な推奨ができないとするが、選択肢のひとつとして提案するとし、リスクの高い例を挙げている[18]。
ドレッシング材には以下のように幅広い種類があるが、どれがいいか結論するまでの強い証拠はない。理想的には、湿潤環境を維持し、形を合わせやすく、非粘着性であり、つけ外ししやすく、それは痛みなく行え、感染から保護され、費用対効果がいいということである。痛みは重要な考慮事項である[2]。
伝統的なドレッシング材には、パラフィン含浸ガーゼや吸収用脱脂綿があるが、これらは傷にくっつく。
アルギン酸塩は、カルボキシメチルセルロースと組み合わせたものがある。滲出液の多い場合に使え、乾燥した傷口には、皮膚に付着するため用いない。
発泡体、親水性ポリウレタン発泡体など。中等度から多い滲出液に使え、少ない場合には使わない。
医療グレードのハチミツ含有ドレッシング材。浸透圧により痛みを起こすことがある。
ハイドロコロイドは、感染が疑われたり滲出液が多い場合には使えない。
シリコンやリポコロイドの接触層をもつものは、滲出液の少ないものに。
ポリウレタン・フィルム
銀のクリームや含浸ドレッシング材は、感染の兆候がある場合に。
代替医療
また発展途上国では、羊膜、バナナの葉、パパイヤペースト、ジャガイモなど、高価なドレッシング材の代替的に用いられているものが効果的であると示されている[26]。
蜂蜜に関してさらに言えば、イランで伝統的に使われる蜂蜜・ごま油・オリーブオイルを混ぜた軟膏がII度熱傷に有効であったというRCTがある[27]。 患部を湿潤環境で保護し、上皮化(皮膚の再生)を待つ。具体的にはハイドロコロイド
浅達性II度熱傷(SDB)
浸潤環境の維持のためワセリン軟膏基剤を基本とする[28]。 基本的にSDBと同じであるが、広範囲にわたる場合は植皮を考慮する。全周性のDDBには減張切開をおこなう。 痛みはかえって鈍くなり、知覚鈍麻がある[21]。 デブリードマン(壊死組織を除去する)が第一選択である。広範囲であれば植皮の適応となるが、小範囲であれば湿潤環境で保護し周囲からの上皮化を待ってもよい。全周性のIII度熱傷には減張切開をおこなう。 夏井睦によれば、医師によっては2週間をめどに上皮化しない場合に皮膚移植が必要と言われることがあるが、III度と診断されても1-2か月かけて上皮化する場合もある[29]。 神経が破壊されるため、無痛である。感覚も消失する[21]。 II度以上の熱傷面積が成人の場合20%、小児の場合10%を超えると全身状態が悪化するため、入院治療が必要である。 広範囲熱傷では細胞外液が急速に喪失し、脱水による低容量性ショックが起こる。これに対し乳酸リンゲル液の大量輸液が行われる。必要輸液量は患者の体重を元に計算する公式が用いられ、代表的なものにはパークランド法などがある。急速なサイトカインの流出による浸透圧の変化に対応するべくコロイド溶液、アルブミン製剤を用いる輸液法もある。 また、広範囲熱傷では全身性炎症反応症候群(SIRS)や創感染が起きやすく、遷延すると多臓器不全を引き起こすため、これらの制御を目標とした集中治療が行われる。 II度熱傷面積が小児で15%以上、成人で30%以上のことを言う。
深達性II度熱傷(DDB)
III度熱傷(DB)
また、III度以上の真っ黒に炭化した熱傷をIV度、V度と呼ぶ医師もいる。広範囲重症熱傷における植皮については、自分の別の部位の皮膚を使う自家皮膚移植が最も勧められるが、それでも熱傷部分をカバーしきれない部分はスキンバンクから取り寄せた凍結同種皮膚移植により創部の保護・感染予防を行なうこともある。
全身管理
パークランド法(日本ではバクスター法ともよばれる)輸液量(ml/day)= 熱傷面積(%) × 体重(kg) × 4
重度熱傷の生理的反応及び変化
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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