熱傷
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流水は早いほどよいが、3時間以内まで有益である[17]。衣服や装飾品を外す[11][17]

日本皮膚科学会の2017年のガイドラインは、小範囲では水治療を推奨するが、広範囲重症では、公共施設などでは感染の原因ともなるため、感染対策を施したうえで推奨している[18]

国際的なガイドラインでは、冷やした後、ラップなどのドレッシング材を用い、乾燥や細菌コロニーの形成を防止し、曝露した末端神経の痛みを緩和する。ポリ塩化ビニールのフィルム(ラップ・サランラップ)は応急のドレッシング材として優れており、締め付けず火傷に被せるように覆う。次の選択肢は、清潔なコットン製シーツやこれに似たものである。セロファン製フィルムは化学熱傷の場合に悪化させる可能性がある。水や生理食塩水に浸した包帯でもよい。亜熱帯の熱く湿気の多い気候では、細菌感染しやすいため、火傷を露出したままか、清潔なタオルで緩く覆うか、保湿性軟膏を用いる[2]

イギリスの声明では、ラップを用い、なければ代替として清潔な布、あるいは非粘着性の被覆材を用いる[17]。ラップは顔に用いない[17]

手近にあるコップの水でもお茶でもまずかけること。15分ほど冷やしたら速やかに医師の診察を受けること。

服は脱がせず、そのまま水をかけること。無理に脱がそうとすると皮膚が剥がれ、損傷が酷くなる。

水疱(水ぶくれ)は破らないこと。破ると感染を起こしやすくなる。

乳幼児や老人は低体温を起こしやすい。ひととおり冷やしたらすぐに病院へ搬送する。

気道熱傷のおそれがある場合は、息ができなくなってからでは手遅れになってしまうので、直ちに救急搬送を依頼する。

電撃傷などで心肺停止状態にある場合は心肺蘇生が優先される。

オーストラリアの研究者は、応急処置に、唾液、アロエベラティーツリー含有ジェル Burnaid、の使用は推奨していない[19]。これらは以前の豚を使った真皮までの深い熱傷治癒研究[20]により、治癒期間の短縮や、外観に差を生じなかった[19]。アロエベラは、ジェル状となり鎮痛作用はあるようだが、もっと治癒効果としては浅い火傷において有益だと考えられる[19]。ティーツリー含有冷却材のBurnaid ジェルも、期待できるのは主に鎮痛作用だが、広範囲の熱傷では低体温のリスクがある[19]
I度熱傷(EB)

減菌された包帯や、清潔な布で覆う。皮膚にアロエベラ成分を含むローションを塗る。脱水しているようであれば、電解質を含む水を飲む。通常さらなる治療を必要としない[11]。痛みがあり、知覚は鋭敏である[21]

湿潤療法を普及させてきた夏井睦によれば、ラップで覆えば痛みはおさまる[22]
局所治療

火傷から6時間までの病院への到着では、火傷が綺麗であれば、洗い、プラスチック製の粘着ラップで覆う。火傷の評価を容易にし、外す際に不快感を与えないためである。それ以上かかり綺麗な場合は、低粘着性のシリコン製のドレッシング材を使う
[2] (つまり時間と共に滲出液によって全体的に水疱として膨れてきたりする)。

汚れているか燃えていた場合には、水道水や減菌水で洗い、銀含有ドレッシング材や、スルファジアジン銀クリームを使う[2]

Wounds Internationalの2014年のガイドラインでは、抗菌材としてスルファジアジン銀のクリームは、一般的に使用されるが、治癒自体は遅らせる可能性があるとする[2]。日本皮膚科学会の2017年のガイドラインは、選択肢のひとつとしており、予後をよくするか不明であり、すべきとする意見、すべきでないという意見の両方があるとし、III度の熱傷では使用を推奨している[18]。(また日本では、医薬品添付文書で、軽症の火傷には疼痛を起こすため禁忌とされている)

また、2017年のシステマティック・レビューは9つのランダム化比較試験 (RCT) を発見し、ハチミツ・ドレッシングはスルファジアジン銀ドレッシングより良好とした(銀クリーム6、銀含浸ガーゼ3)[23]。同様に2015年のシステマティック・レビューは、6つのRCTを見出し同じ結論を下した[24]。ハチミツ・ドレッシングはスルファジアジン銀ドレッシングと比較して、I度とII度の熱傷に良好であり、短期間で減菌し治癒期間を短縮し、肥厚性瘢痕および拘縮のない完全な回復はハチミツで81%、銀で37%であった[25]

ケアは通常看護師が行い、以下の目的に基づく[2]

感染リスクの予防・軽減


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