熊本地震_(2016年)
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一方、名古屋大学教授の鈴木康弘は「別々の断層帯でなく、一続きの断層帯とみるべき」と主張しており、前震の割れ残りが動いたことで本震が発生したとしている[21]

さらに16日の本震以降、熊本県熊本地方の北東側に位置する阿蘇地方から大分県西部にかけての地域と、大分県中部[注釈 2]別府-万年山断層帯周辺)地域においても地震が相次ぎ、熊本地方と合わせて3地域で活発な地震活動がみられた(詳細は後節)。熊本地方の大地震が離れた地域の地震活動を誘発した可能性(誘発地震)が考えられているが、このような例は気象庁の担当官も「(日本の)近代観測史上、聞いたことがない」としている[22]。これらの理由により、前震・本震・余震の区別が難しいとされ[19]、気象庁は「16日のものが本震とも言えるが、3種の区別をせずに見ていきたい」と説明している[12]。なお、研究者の石橋克彦は、前震と本震の大きさに関して厳密にM6.5で区切らなければ観測時代でも内陸の浅い地震にも多くの類似事例があり、歴史時代には近い時期に地震が連続した例として慶長豊後地震前後の一連の地震、寛文近江・若狭地震善光寺地震伊賀上野地震など多くの事例があるとしている。メディアなどは本地震の特異性を強調しすぎているが、この様な事例は決して不思議でもなく地震現象を冷静に理解しておくことが地震対策の基本であると指摘を行っている[23]遠田晋次も地震が連続した例として、2002年のデナリ断層帯の地震をはじめとして、過去には天正地震、慶長豊後地震-慶長伏見地震の一連の地震など遅れ破壊型の連鎖地震の例を挙げている[24]
名称

気象庁は最初の4月14日21時26分の地震を「平成28年(2016年)熊本地震」(英語: The 2016 Kumamoto Earthquake)と命名し、4月15日に発表した[25]。4月16日には、さらに規模が大きい地震が発生し、同庁は4月17日、今後の状況を見た上で名称を再検討する意向を表明[26]。しかし4月18日に、気象庁地震津波監視課課長の青木元が、記者会見で一連の地震について「熊本地震と引き続く地震活動と捉えている」との見解を示し、名称を変更しない考えを明らかにした[27]。4月21日に気象庁は、「平成28年(2016年)熊本地震」は「4月14日21時26分以降に発生した熊本県を中心とする一連の地震活動」を指すとする説明を発表した[28][29]

報道においては朝日、産経、毎日、読売の各全国紙の電子版で熊本県外への地震の影響に言及する記事(2016年5月1日以降)でも見出しなどで「熊本地震」という呼称を使用している例がある[30][31][32][33]。他方、大分県の地方紙である大分合同新聞の記事(4月22日付け朝刊以降)では、「熊本地震」のほか「熊本・大分地震」という呼称も使用している[34][35][36]
主な地震の一覧

熊本県又は大分県において2016年4月14日以降に発生した震度5弱以上またはMj5.0以上の地震を以下に示す。

なお、2019年1月3日に和水町で震度6弱を観測した地震について、気象庁の担当官や京都大学の梅田康弘は、熊本地震の活動領域から離れているため直接的な関連はないとの見解を示している[37][38]。詳細は「熊本地震 (2019年)」を参照。

熊本県又は大分県において2016年 4月14日以降に発生した
震度5弱以上またはMj5.0以上の地震(気象庁資料による)発震日時
[表註 1][表註 2]震源[注釈 2][表註 3]規模 ( M J M A {\displaystyle M_{JMA}} )
[表註 4]最大震度
(気象庁震度階級)出典
2016年04月14日21時26分#熊本県熊本(深さ11km)
北緯32度44.5分 東経130度48.5分 / 北緯32.7417度 東経130.8083度 / 32.7417; 130.80836.57[14]
2016年04月14日22時07分#熊本県熊本(深さ8km)
北緯32度46.5分 東経130度50.9分 / 北緯32.7750度 東経130.8483度 / 32.7750; 130.84835.86弱[40]
2016年04月14日22時38分#熊本県熊本(深さ11km)
北緯32度40.6分 東経130度44.1分 / 北緯32.6767度 東経130.7350度 / 32.6767; 130.73505.05弱[41]
2016年04月14日23時43分 (精査後)熊本県熊本(深さ14km)
北緯32度46.0分 東経130度49.6分 / 北緯32.7667度 東経130.8267度 / 32.7667; 130.82675.15弱 (精査後)[42]
2016年04月15日00時03分#熊本県熊本(深さ7km)
北緯32度42.0分 東経130度46.6分 / 北緯32.7000度 東経130.7767度 / 32.7000; 130.77676.46強[43]
2016年04月15日00時06分 (精査後)熊本県熊本(深さ11km)
北緯32度41.7分 東経130度45.1分 / 北緯32.6950度 東経130.7517度 / 32.6950; 130.75175.05強 (精査後)[44]
2016年04月15日01時53分熊本県熊本(深さ12km)
北緯32度42.0分 東経130度45.1分 / 北緯32.7000度 東経130.7517度 / 32.7000; 130.75174.85弱[45]
2016年04月16日01時25分05秒#熊本県熊本(深さ12km)
北緯32度45.2分 東経130度45.7分 / 北緯32.7533度 東経130.7617度 / 32.7533; 130.76177.37[15]
2016年04月16日01時25分37秒大分県中部(深さ12km)
北緯33度16.4分 東経131度21.1分 / 北緯33.2733度 東経131.3517度 / 33.2733; 131.35175.7
[表註 5][表註 5][15]
[8]
2016年04月16日01時30分熊本県熊本(深さ11km)
北緯32度38.9分 東経130度42.5分 / 北緯32.6483度 東経130.7083度 / 32.6483; 130.70835.34[46]
2016年04月16日01時44分#熊本県熊本(深さ15km)
北緯32度45.1分 東経130度45.6分 / 北緯32.7517度 東経130.7600度 / 32.7517; 130.76005.45弱[47]
2016年04月16日01時45分#熊本県熊本(深さ11km)
北緯32度51.7分 東経130度53.9分 / 北緯32.8617度 東経130.8983度 / 32.8617; 130.89835.96弱[48]
2016年04月16日03時03分#熊本県阿蘇(深さ7km)
北緯32度57.8分 東経131度05.2分 / 北緯32.9633度 東経131.0867度 / 32.9633; 131.08675.95強[49]
2016年04月16日03時09分 (精査後)熊本県阿蘇(深さ10km)
北緯32度58.1分 東経131度05.2分 / 北緯32.9683度 東経131.0867度 / 32.9683; 131.08674.25弱 (精査後)[50]
2016年04月16日03時55分#熊本県阿蘇(深さ11km)
北緯33度01.5分 東経131度11.4分 / 北緯33.0250度 東経131.1900度 / 33.0250; 131.19005.86強[51]
2016年04月16日07時11分#大分県中部(深さ6km)
北緯33度16.2分 東経131度23.7分 / 北緯33.2700度 東経131.3950度 / 33.2700; 131.39505.45弱[52]
2016年04月16日07時23分熊本県熊本(深さ12km)
北緯32度47.2分 東経130度46.4分 / 北緯32.7867度 東経130.7733度 / 32.7867; 130.77334.85弱[53]
2016年04月16日09時48分#熊本県熊本(深さ16km)
北緯32度50.8分 東経130度50.1分 / 北緯32.8467度 東経130.8350度 / 32.8467; 130.83505.46弱[54]
2016年04月16日09時50分 (精査後)熊本県熊本(深さ15km)
北緯32度51.1分 東経130度49.7分 / 北緯32.8517度 東経130.8283度 / 32.8517; 130.82834.55弱 (精査後)[55]


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