熊本地震_(2016年)
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死傷者数死者276人[6](直接死50人、地震関連死221人、豪雨関連死5人)
負傷者2809人[7]
被害総額#被害・影響 を参照
被害地域熊本県、大分県を中心とする九州地方
注 1:気象庁は、この地震に後続して発生した地震を必ずしも「余震」とは呼んでいない[8]
注 2:なお、この地震が発生した直後の大分県中部におけるMj5.7の地震の発生(#本震 を参照)を切り離して数えると、12回となる。
出典:特に注記がない場合は気象庁の「震度データベース」[9]による。
プロジェクト:地球科学
プロジェクト:災害
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熊本地震(くまもとじしん)は、2016年平成28年)4月14日21時26分以降に熊本県大分県で相次いで発生した地震

気象庁震度階級では最も大きい震度7を観測する地震が4月14日夜(前記時刻)および4月16日未明に発生したほか、最大震度が6強の地震が2回、6弱の地震が3回発生している[8]。日本国内の震度7の観測事例としては、4例目(九州地方では初)[10] および5例目[9] に当たり[注釈 1]、一連の地震活動において、現在の気象庁震度階級が制定されてから初めて震度7が2回観測された[12]。また、熊本県益城町で観測された揺れの大きさは計測震度6.7で、東北地方太平洋沖地震の時に宮城県栗原市で観測された揺れ(計測震度6.6)を上回り、国内観測史上最大となった。さらに、一連の地震回数(M3.5以上)は内陸型地震では1995年以降で最多となっている[13]。.mw-parser-output .toclimit-2 .toclevel-1 ul,.mw-parser-output .toclimit-3 .toclevel-2 ul,.mw-parser-output .toclimit-4 .toclevel-3 ul,.mw-parser-output .toclimit-5 .toclevel-4 ul,.mw-parser-output .toclimit-6 .toclevel-5 ul,.mw-parser-output .toclimit-7 .toclevel-6 ul{display:none}
概要

4月14日21時26分、熊本県熊本地方[注釈 2]震央とする震源の深さ11 km、気象庁マグニチュード (Mj) 6.5、モーメントマグニチュード (Mw) 6.2[4] の地震(前震)が発生し、同県の益城町で震度7を観測した[14]

その28時間後の4月16日1時25分には、同じく熊本県熊本地方を震央とする震源の深さ12 km、Mj7.3、Mw7.0[4] の地震(本震)が発生し、西原村と益城町で震度7を観測した[15]。Mj7.3 は1995年に発生した兵庫県南部地震阪神・淡路大震災)と同規模である。

当初、14日に発生したM6.5 の地震が本震と想定されていた。しかし16日未明に上記Mj7.3 の地震が発生したことを受けて気象庁は同日、後者(16日未明)の地震が本震で、前者(14日)の地震は前震であったと考えられるとする見解を発表している[16][17]。過去に当初の発表から訂正され、本震と余震が入れ替わる事態は海溝型地震である2011年の東北地方太平洋沖地震においても起こっているが、内陸型(活断層型)地震でマグニチュード6.5以上の地震の後にさらに大きな地震が発生するのは、地震の観測が日本において開始された1885年以降で初めての事例であり、また同じ地点で震度7が2回観測されるのは、初めてのことであった[12][18]。一方で、静岡大学客員教授の吉田明夫は14日と16日の地震のメカニズムが異なるとし、「『前震 - 本震』ではなく独立した活動とみた方がいい」と指摘している[19]

14日の地震は日奈久断層帯の北端部の活動、16日未明の地震は布田川断層帯の活動によるもので、隣接する二つの断層帯が連動することで発生した連動型地震とみられている[19][20]東京大学地震研究所教授の纐纈一起は、「活発な断層帯が隣り合う特別な条件下において一連の地震が発生した」と指摘している[12]。一方、名古屋大学教授の鈴木康弘は「別々の断層帯でなく、一続きの断層帯とみるべき」と主張しており、前震の割れ残りが動いたことで本震が発生したとしている[21]

さらに16日の本震以降、熊本県熊本地方の北東側に位置する阿蘇地方から大分県西部にかけての地域と、大分県中部[注釈 2]別府-万年山断層帯周辺)地域においても地震が相次ぎ、熊本地方と合わせて3地域で活発な地震活動がみられた(詳細は後節)。熊本地方の大地震が離れた地域の地震活動を誘発した可能性(誘発地震)が考えられているが、このような例は気象庁の担当官も「(日本の)近代観測史上、聞いたことがない」としている[22]。これらの理由により、前震・本震・余震の区別が難しいとされ[19]、気象庁は「16日のものが本震とも言えるが、3種の区別をせずに見ていきたい」と説明している[12]。なお、研究者の石橋克彦は、前震と本震の大きさに関して厳密にM6.5で区切らなければ観測時代でも内陸の浅い地震にも多くの類似事例があり、歴史時代には近い時期に地震が連続した例として慶長豊後地震前後の一連の地震、寛文近江・若狭地震善光寺地震伊賀上野地震など多くの事例があるとしている。メディアなどは本地震の特異性を強調しすぎているが、この様な事例は決して不思議でもなく地震現象を冷静に理解しておくことが地震対策の基本であると指摘を行っている[23]遠田晋次も地震が連続した例として、2002年のデナリ断層帯の地震をはじめとして、過去には天正地震、慶長豊後地震-慶長伏見地震の一連の地震など遅れ破壊型の連鎖地震の例を挙げている[24]
名称

気象庁は最初の4月14日21時26分の地震を「平成28年(2016年)熊本地震」(英語: The 2016 Kumamoto Earthquake)と命名し、4月15日に発表した[25]。4月16日には、さらに規模が大きい地震が発生し、同庁は4月17日、今後の状況を見た上で名称を再検討する意向を表明[26]。しかし4月18日に、気象庁地震津波監視課課長の青木元が、記者会見で一連の地震について「熊本地震と引き続く地震活動と捉えている」との見解を示し、名称を変更しない考えを明らかにした[27]。4月21日に気象庁は、「平成28年(2016年)熊本地震」は「4月14日21時26分以降に発生した熊本県を中心とする一連の地震活動」を指すとする説明を発表した[28][29]

報道においては朝日、産経、毎日、読売の各全国紙の電子版で熊本県外への地震の影響に言及する記事(2016年5月1日以降)でも見出しなどで「熊本地震」という呼称を使用している例がある[30][31][32][33]


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