照準器
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日本法律ではレーザーポインターと同じ扱いを受ける(原理的には全く同じである)。

かつてはスコープ並の大きさだったが、のちに部品の小型化が進み、拳銃の銃口下に取り付けるタイプやグリップパネル内蔵型、自動拳銃のリコイルスプリングガイド内蔵型も実用化されている。
光像式光像式の一〇〇式射撃照準器を搭載した一式戦 「隼」二型(キ43-II)98式射爆照準器

ハーフミラーなどを用い、(無限)遠方に照準用の光像を投影する。光像には十字線、円環、円状に並んだ光点などが用いられる。戦間期に開発・実用化され、従来の眼鏡式(テレスコピックサイト)に代わり軍用機の固定航空機関銃砲の照準器に使用され始めた。また、第二次大戦後期には目標までの距離を手動で入力、かつ目標を追尾して旋回するすることで角速度を検出して見越し角を計算、表示するジャイロ式 (w:Gyro gunsight) が開発・使用された。戦中にはレーダーで測距するものが実用化されている。戦後は目標追尾までレーダーで可能となった。

後にベトナム戦争の時期から1970年代以降にはより多くの飛行、攻撃用の情報を映し出すヘッドアップディスプレイ (HUD) が開発され、以後主流となった。
ドットサイト(ダットサイト)M4カービンのアッパーレシーバに取り付けられたドットサイトと、その後ろで折りたたまれたバックアップアイアンサイト、ハンドガード側面に取り付けられたレーザーサイトドットサイトの光学構造

光像式の一種で、特に小火器に装着され、照準用の光像が点(ドット)状の物がこう呼ばれ、赤色のドットを表示するものは特に「レッドドットサイト」とも呼称される。アイアンサイトやピープサイトが照星、照門を合わせるのに対して、こちらは単純に覗いたときに見える光の点に目標を合わせるだけなので、素早い照準が可能となるほか、照準点が発光するため薄暮時や暗所でも照準が見やすいという利点もある。

ドットサイトは、原理的には光源から発せられた光を曲面状のハーフミラーに投影することで、光の屈折と直進性を利用し、擬似レーザー照射を照準対象へ行う形式の照準器である。構造が複雑で、LEDやレーザーなどを用いた機種ではバッテリーが必要なためメンテナンスが必要、トリチウムの蛍光を利用した機種には寿命がある(@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}放射線が尽きると全く光らなくなる[疑問点 – ノート])などの欠点がある。スコープのように筒型の外装を持つチューブ式と、外装を持たず、むき出しになったレンズにドットを映すオープン式の二種類がある。

想定外の利用法として、野鳥撮影や航空機撮影、天体撮影の補助照準器として使われるケースが増えている。これらの撮影では高倍率の望遠レンズで撮影対象を追跡しなくてはならず、視野の狭いファインダーの映像だけでは迅速な追跡が困難なためである。通常は銃器用のものを転用するが、中には撮影専用の製品やカメラ本体に内蔵した製品なども登場している[1]
ホログラフィックサイト(ホロサイト)EOTech 512 ホログラフィックサイトホログラフィックサイトの光学構造

ホログラフィックサイトでは、照準の光点が浮かび上がる点はドットサイトと同じであるが、ホログラフィーを用いたレンズにレーザーで像を投影する点が異なる。そのため、レンズやハーフミラーを使用するドットサイトと異なり、レンズに多少ダメージや汚れがあっても問題なく使用することができるほか、ドットサイトより投影部のレンズがクリアで明瞭な視界を得やすい。斜めから見た場合の照準もドットサイトより優れている。
ブースター(マグニファイア)

ドットサイト・ホログラフィックサイトの後ろに設置することで、通常無倍率であるドットサイトに倍率を与える拡大鏡。交戦距離の変化など、必要に応じ倍率の有無を使い分けることができ、ワンタッチで付け外しが行えるマウントによって設置される。
調整四種類のゼロイン距離が刻まれたH&K G36用の照準器
200mでの狙点

200m先をおおよそ8km/hの速度で左から右に移動する目標を射撃する際の狙点

円(400m先の1.75m等身大)

200m先をおおよそ8km/hの速度で右から左に移動する目標を射撃する際の狙点

水平線

400mでの狙点

600mでの狙点

800mでの狙点

Xm(200, 400, 600, 800m)における1.75m等身大の指標

弾丸などの投射物が放物線を描くのに対し、は直進する。そのため、狙点(狙いを定めた点)と着弾点は一致させることが難しい。そこで、照準器の調整は光学式であるかどうかを問わず、ある既知の距離で狙点と着弾点が一致するように合わせる。この調整をゼロイン(Zero-In、零点規正)という。「300mでゼロインした」という場合、標的と射手の距離が300mのときに、狙点と着弾点が一致するということになる。すなわち、斜め上向きに発射された弾丸は上昇しつつ照準線と交差し、さらに飛翔して放物線の頂点を過ぎてから下降し、300m先で再び照準線と交差する。この状態の銃を使って、300m以外の距離にある標的を正照準で狙った場合、距離が近い場合には高めに、反対に遠い場合には低めに着弾する。

一部には複数のゼロイン距離が刻まれた照準器も存在する。中央の狙点を調整するだけで複数の着弾点が利用できるため調整が容易となるが、の種類や実包のレシピごとに弾道特性が違うため、基本的に「対象の銃で特定の種類の実包を使用する場合」専用となる。特定の装備を大量に配備する軍隊では時間短縮に有効であるため、銃とセットで納品されることが多い。
火砲の照準器

砲身後座式装輪砲架においては、砲身の方向は砲架の旋回によって付与し得るが、架尾を固定したまま砲架の一部を移動し、迅速かつ容易に小角度の方向移動をする必要があり、このため通常は照準器を小架と揺架との間に装置し、垂直軸を中心に揺架よりも上を移動させ、砲身に方向を付与する。また、大架と小架との間に装置し、小架の軸を中心に小架よりも上を移動させる物、架身と車軸との間に装置し架尾を中心に大架よりも上を車軸上に移動させる物がある。

固定砲架においては、照準器を架匡と匡床または砲床、もしくは砲架と架匡との間に装置し、架匡よりも上もしくは砲架よりも上に旋回させ、砲身に方向を付与する。

採用された方向照準器は、その様式は一様ではないが、主要なものを以下に挙げる。

螺桿と牝螺とを主具とするもの - 三八式野砲三八式十五糎榴弾砲

螺桿と歯弧とを主具とするもの - 三八式十糎加農砲

歯輪または螺桿と歯弧とを主具とするもの - 二十八糎榴弾砲

歯輪と鏈鎖とを主具とするもの - 日清戦争勝利克式大、中口径海岸砲

爆撃用の照準器詳細は「爆撃照準器」を参照「水平爆撃」および「照準ポッド」も参照

爆撃機水平爆撃を行う際、爆撃手がコースを落下地点に合わせるために使用する。当初は単なるのぞき穴だったが、第二次世界大戦中には、アメリカ陸軍航空軍オートパイロットと連動することで爆撃手が機体の位置を調整出来るノルデン爆撃照準器を配備した。現代では位置情報をコンピュータが計算しより正確な爆撃が可能となった他、誘導爆弾ミサイルなど爆弾が目標へ向かうことも可能となった。
アーチェリー用照準器の位置を調整する選手

アーチェリーではハンドル(弓の持ち手)の上部に取り付ける。公式大会で使用するリカーブボウに使用出来るのは一点照準器のみであるため、倍率が異なる照準器が多数販売されている。また照準器はレンズと細かく位置を調整できる台座がセットになっており、選手自らが視力、体格、姿勢にあわせて調整する。軽量にするためマグネシウムやチタンが多用される他、サイトのドットを強調するサイトピンに集光用の光ファイバーを使うオプションも登場している。

公式大会のルールに対応した照準器は『リカーブサイト』の名称で販売されていることが多い。

大会では的に刺さった矢の位置を正確に把握するため、フィールドスコープを併用する選手が多い。

コンパウンドボウの場合は弦に取り付けたピープサイトも併用される
脚注[脚注の使い方]
注釈^ 長距離精密射撃では目標との距離に差があり過ぎて焦点が合わず照準は困難となる。
^ 「狙撃眼鏡」「照準眼鏡」「眼鏡」は、日本軍自衛隊での呼称。
^ 九七式狙撃銃九九式狙撃銃(九七式狙撃眼鏡・九九式狙撃眼鏡)などはそれらの調整機能が一切なく、生産時に造兵廠にてゼロイン調整を行ってから出荷・配備していた。複雑なアジャスターがない利点として眼鏡は小型・頑丈となっている反面、使用中に起きる全ての照準のずれに対して「レティクルの目盛を頼りに狙いをずらす」以外に現場レベルで補正する方法がなかった。

出典^ “ ⇒STYLUS SP-100EE”. オリンパス株式会社. 2015年2月1日閲覧。

関連項目.mw-parser-output .side-box{margin:4px 0;box-sizing:border-box;border:1px solid #aaa;font-size:88%;line-height:1.25em;background-color:#f9f9f9;display:flow-root}.mw-parser-output .side-box-abovebelow,.mw-parser-output .side-box-text{padding:0.25em 0.9em}.mw-parser-output .side-box-image{padding:2px 0 2px 0.9em;text-align:center}.mw-parser-output .side-box-imageright{padding:2px 0.9em 2px 0;text-align:center}@media(min-width:500px){.mw-parser-output .side-box-flex{display:flex;align-items:center}.mw-parser-output .side-box-text{flex:1}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .side-box{width:238px}.mw-parser-output .side-box-right{clear:right;float:right;margin-left:1em}.mw-parser-output .side-box-left{margin-right:1em}}ウィキメディア・コモンズには、照準器に関連するカテゴリがあります。


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