無限軌道
[Wikipedia|▼Menu]
多くの場合センターガイドも接地ブロックと一体化されている。
ゴム一体式
材質参照。
蛇腹方式
クローラのピンを左右にも折れ曲がるように接合した方式。イギリスMk.VIIテトラーク軽戦車など一部車両に使用された。ステアリング型の装甲車にも巻けるクローラとして開発され、前輪を左右に振る車輪に同期させるため、履帯自体も左右に折れ曲がるように設計されている。しかし強度が劣り許容荷重が低いため一般化しなかった。
建設機械等
ローラーチェーンのように組み上げられたリンクアッセンブリに多数の履板(シュー)を取り付ける方式。シューの形状は、乾地用では地面に食い込むように断面がT字型、泥濘地湿地用では断面が三角形[2]。また、舗装路を傷めるのを防ぐため、履板一枚一枚にゴム製のパッドを装着する場合がある。
転輪
大型転輪
BT戦車T-34T-54/55T-62など第二次世界大戦中から戦後しばらくのソ連戦車によく見られる転輪。イギリスのカヴェナンタークルセーダークロムウェルなどの巡航戦車陸上自衛隊74式戦車でも採用された。転輪上部で上側の履帯を支える(LT-38のように大型転輪を採用しなおかつ上部支持転輪も持つ車輛も存在する)。高速走行時に有効とされるが、転輪の装着数が必然的に少なくなり、転輪間の幅が大きくなるため不整地走行性能に難がでる。履帯幅の延長などで改善が可能。また、高速走行時に上側の履帯が振動で破損しやすい。なお、古い資料ではこの転輪形式を「クリスティー方式」と呼ぶこともあったが、正確にはサスペンションの形式を指すもので、転綸のサイズや上部支持転輪の有無は無関係である。
小型転輪
戦車の登場初期より存在した転輪方式。小さな転輪を数多く装着することで、転輪間の隙間を小さくでき、不整地走行性能が向上する。しかし、速度性能に限界が生じ、高速度を求める車両には向かない。チャーチル歩兵戦車が代表例。
中型転輪
大型と小型の良いところを妥協してとった大きさの転輪。上側の履帯を支えるための小さな上部支持転輪を持つ。両者の中間程度の可もなく不可もない性能で、現在主流の戦闘車両用転輪形態として落ち着いている。
挟み込み転輪・千鳥式転輪
大型転輪と小型転輪の良いところをすべて盛り込もうとして開発された。中型もしくは大型転輪を交互に左右半重ねにして配置したり、一個と二個を交互にはさみ重ね合わせるようにした形態の転輪である。これにより転輪の間隔を小型転輪並にし、不整地性能の向上を期待することができるうえ、高速高機動かつ大型の車体が製造可能な特徴を持たせようとした。しかし、破損した奥の転輪を交換する際に手前の無傷の転輪も外さなければならないこと、加えてトーションバーに損傷を受けた場合交換にはさらに煩雑さが増すこと、細かく入り組んだ転輪の隙間に泥などが入り込みやすく冬季には凍結しやすくなるなど、メンテナンス上重大な問題があり、なおかつ、接地圧の解消にはそれほどの結果を出せなかった。第二次世界大戦後期にドイツが生産したパンター中戦車ティーガー重戦車や各種ハーフトラックで挟み込み転輪、パンターIIやEシリーズで千鳥式転輪が採用されたが、大戦終結以後この形式を使う車両で実際に製造されたのはフランスのAMX-50を除けばほとんど存在しない。(そのAMX-50も最終的に戦力化は断念されている。)
動輪
起動輪(スプロケット・ホイール)
動力軸と繋がっている車輪。歯車状になっていて履帯と噛みあって動力を伝達する。エンジンが後部にあることにあわせて後端が起動輪であることが多いが、前端に存在する車両もある。
遊動輪(アイドラー・ホイール)
起動輪と反対側の端に位置し、位置を前後させて履帯の張り具合を調整する。金属履帯は使用と共に接続ピンと周辺の磨耗により伸びてくるため、調整が必要になる。
誘導輪(フロントアイドラ)
前方に配置された遊動輪の事をこのように呼ぶことがある。
歴史Lombard Steam Log Hauler(1901年特許取得)ホルト75型トラクター,1914年頃Hornsby製トラクター

1770年代、リチャード・ロヴェル・エッジワース(英語版)が原始的な無限軌道を設計した。1830年代にはポーランドの数学者で発明家のハーネー=ウロンスキーが同様のアイデアを思いついている[3]イギリス博学者ジョージ・ケイリー卿は無限軌道の特許を取得し、それを「万能鉄道 (universal railway)」と呼んだ[注 1]1837年ロシアの発明家 Dmitry Zagryazhsky は「移動式軌道つき車両」を設計して同年に特許を取得したが、資金がないために実働するプロトタイプを製作できず1839年に特許を取り消した。一種の無限軌道を使った蒸気機関トラクター1850年代クリミア戦争で西側勢力に使われていたという報告もある。1846年、イギリスの技術者ジェームス・ボイデル[注 2]が無限軌道 (endless railway wheel) の特許を取得した。

実用的な無限軌道の車両であるロンバード蒸気式木材牽引車(英語版)を発明し製作したのはアルヴィン・ロンバード(英語版)で、1901年に特許を取得した。彼は同年、メイン州ウォータービルで蒸気機関を動力にした木材牽引車を製作した。1917年までに83台を製作し、その後内燃機関に切り替え、1934年にはフェアバンクス・モース製ディーゼルエンジンを採用した。装軌車両の商業化という意味ではアルヴィン・ロンバードが疑いもなく世界初である。ロンバードの蒸気機関車は、現在も実働するものが少なくとも1台存在する[4]。ガソリンで駆動するものがオーガスタのメイン州立博物館に展示されている。

さらに、ロンバードからライセンス供与を受けてフェニックス・センチピード(英語版)が製作したものが倍以上あり、こちらはシリンダーを垂直に配置していた。1903年、ホルト・マニュファクチャリング・カンパニー(英語版)(以下ホルト社)の創業者であるベンジャミン・ホルト(英語版)はロンバードに6万ドルを支払い、ロンバードの特許を使った車両製作権を得た。ロンバードがカリフォルニアに移住した後もなんらかの合意があったと見られるが、この権利関係がどう決着したのかは定かではなく、それぞれの記録に若干の食い違いもある。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:40 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef