無線局を開設するにあたっては、種別により総務省令無線局(基幹放送局を除く。)の開設の根本的基準又は基幹放送局の開設の根本的基準が適用され、その必要性が審査される。ここでは一般無線局に適用される無線局(基幹放送局を除く。)の開設の根本的基準第8条について掲げる。
その局は、免許人以外の者の使用に供するものでないこと。
その局を開設する目的、通信の相手方の選定及び通信事項が法令に違反せず、かつ、公共の福祉を害しないものであること。
その局を運用することがその局を使用する事業又は業務の遂行のために必要であつて、かつ、それにより公共の福祉を増進することができること。
通信の相手方及び通信事項は、その局を使用する事業又は業務の遂行上必要であつて、最少限[注 2]のものであること。
その局を開設することが既設の無線局等の運用又は電波の監視に支障を与えないこと。
その局を開設する目的を達成するためには、その局を開設することが電気通信業務用電気通信施設を利用する場合に比較して能率的かつ経済的であること。
その局を開設する目的を達成するためには、その局を開設することが他の各種の電気通信手段を使用する場合に比較して能率的かつ経済的であること。
その局が大使館、公使館又は領事館の公用に供する無線局であつて特定の固定地点間の無線通信を行うものであるときは、その局の免許を受けようとする者は、その国内において日本国政府又はその代表者が同種の無線局を開設することを認める国の政府又は代表者であること。
その局が890MHz以上の周波数の電波による特定の固定地点間の無線通信で法第102条の2第1項第2号に掲げるものを行うもの(その局の無線通信について同条同項の規定による伝搬障害防止区域の指定の必要がないものを除く。)であるときは、当該無線通信の電波伝搬路における当該電波が法102条の3第1項各号の1に該当する行為により伝搬障害を生ずる見込みのあるものでないこと。
上記第3項にもあるように、無線局は事業者が事業又は業務を遂行する為に開設するものである。その他、用途により例えば電気通信業務用無線局であれば「実施について適切な計画を有し、かつ、当該計画を確実に実施するに足りる能力を有するもの」、公共業務用無線局であれば「所掌事務の遂行のために開設するもの」等が要件とされる。すなわち、無線局の免許は実務上殆どが官公庁や私企業などの法人でなければ申請できず、免許人になれない。個人が事業あるいはレジャーや趣味で開設できるのは船舶局、航空機局、簡易無線局、アマチュア局などに事実上限られる。 無線局の開設には、予備免許を取得し落成検査を受けて違反がない場合に免許されるのが原則である。但し、簡易な免許手続による場合及び複数の特定無線局を包括して開設する場合や登録の場合は、予備免許や落成検査を省略して免許又は登録される。なお、一部の免許および登録の権限は、総合通信局長又は沖縄総合通信事務所長に委任されている。 無線局の免許は、電波法第20条の規定により譲渡することができる。免許人について相続があった場合の相続人と事業分割・合併などの場合の譲受人が対象である。なお譲受人については、総務大臣の許可を要する。 これを免許人の地位承継という。 電波法第4条および第4条の2に規定されるもので、免許不要局とも呼ばれる。 無線局の操作は電波法第39条により、無線従事者またはその監督による者が行うのが原則である。この例外を「簡易な操作」といい電波法施行規則第33条に規定される。 主要な簡易な操作の事例を掲げる。 電波法には、無線従事者について免許人との間の要件は定めておらず、外部委託することも可能[8]である。但し、アマチュア局は除く。 特定地上基幹放送局及び特定地上基幹放送試験局以外の電波法令にある「特定」の文言が付された無線局を掲げる。 電波法第27条の2に規定する包括的に免許を付与することができる無線局のことである。「特定無線局」も参照 電波法第71条の2に規定している。総務省告示周波数割当計画又は基幹放送用周波数使用計画の変更が公示された際に併せて、新割当区分の無線局の中から総務大臣が公示するものを特定新規開設局という。
開設
免許人の地位承継
免許を要しない無線局
第4条第1号 - 微弱無線局
第4条第2号 - 市民ラジオ
第4条第3号 - 小電力無線局
上記の三種類の入手後の手続きは不要[3]
第4条第4号 - 登録局
無線局登録状を交付された後でなければ運用できず、一部を除き無線従事者又はその監督下にある者による操作が必要[4]
第4条の2第1項 - 訪日外国人が持ち込むWi-Fi・Bluetooth端末
入国から90日以内の制限[5]がある。なお、携帯電話端末が日本国内で利用できることは、電波法第103条の5第1項に規定する「外国の無線局の無線設備を使用して開設する無線局」によるもの[6]で、法的根拠は異なる。
第4条の2第2項 - 技適未取得機器を用いた実験等の特例
一部の小電力無線局用の適合表示無線設備に相当する機器を実験・試験・調査に使用するためのもので、届け出ることで足る。届出日から180日以内の制限があり、同一目的の実験等で再度の届出はできない[7]。
「免許を要しない無線局」も参照
無線従事者
電波法施行規則第6条の第1号から第3号に規定される免許不要局
遭難自動通報局、簡易無線局、構内無線局
ラジオ・ブイ(無線標定移動局)、ラジオゾンデ(気象援助局)、アルゴスシステム(実験試験局)
適合表示無線設備のみを用いるギャップフィラー地上基幹放送局やエリア放送地上一般放送局
基地局、携帯基地局の無線従事者を宰領通信の管理者とした際に通信の相手方となる陸上移動局や携帯局
包括免許
特定が付された無線局
特定無線局
種別に特定を冠する無線局
特定船舶局 - 電波法施行規則第34条の6第1号に「無線電話、遭難自動通報設備、レーダーその他の小規模な船舶局に使用する無線設備として総務大臣が別に告示[9]する無線設備のみを設置する船舶局(国際航海に従事しない船舶の船舶局に限る。)と規定している。
「船舶局#特定船舶局」も参照
特定基地局 - 電波法第27条の12に「陸上に開設する移動しない無線局であつて、次の各号のいずれかに掲げる事項を確保するために、同一の者により相当数開設されることが必要であるもののうち、電波の公平かつ能率的な利用を確保するためその円滑な開設を図ることが必要であると認められるもの」と規定され各号が続く。
「基地局#特定基地局」も参照
特定実験試験局 - 無線局(基幹放送局を除く。)の開設の根本的基準第6条第2項に「総務大臣が公示する周波数、当該周波数の使用が可能な地域及び期間並びに空中線電力の範囲内で開設する実験試験局」と規定している。
「実験試験局#特定実験試験局」も参照
特定陸上移動中継局 - 電波法施行規則第33条第6号(2)に「設備規則第49条の6に規定する技術基準に適合する無線設備を使用するものであつて、屋内その他他の無線局の運用を阻害するような混信その他の妨害を与えるおそれがない場所に設置するもの 」と規定している。
「陸上移動中継局#特定陸上移動中継局」も参照
特定新規開設局および特定公示局
Size:78 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
担当:undef