無所属
[Wikipedia|▼Menu]
□記事を途中から表示しています
[最初から表示]

政党と候補者の関わりは一般的に「公認」>「推薦」>「支持」の順に弱くなる[1][3]

なお、いずれの政党にも属さない(党籍などを有さない)議員を無所属議員と呼ぶ場合もある。

参議院議員通常選挙は、第1回参議院議員通常選挙から第12回参議院議員通常選挙までは比例代表制が存在せず、日本全国を一つの大選挙区とする全国区制を採用していた(単記非移譲式投票)。この制度では、政党・政治団体に加えて無所属で立候補することが可能であった。第13回参議院議員通常選挙以降は全国区制に代わり参議院比例区が導入された。第13回参議院議員通常選挙から第18回参議院議員通常選挙までは政党名を記入する厳正拘束名簿式の比例代表制を採用しており、政党・政治団体の比例名簿から立候補することが必須となった。第19回参議院議員通常選挙以降は個人名又は政党名を記入する非拘束名簿式を採用しているが、この制度でも政党・政治団体の比例名簿から立候補することが必須である。公職選挙法上は参議院比例区に限っては、比例名簿の政党・政治団体に所属していなくても当該政党・政治団体の推薦があれば当該政党・政治団体の比例名簿から立候補することが可能である(第八十六条の三 参議院比例代表選出議員の選挙における名簿による立候補の届出等)[5]2016年参院選の比例区において、小野次郎柴田巧民進党に所属せず同党推薦で同党の比例名簿から、山田太郎新党改革に所属せず同党推薦で同党の比例名簿から出馬した[6][7][8][注 3]

自由民主党など保守政党では、追加公認前提で、党員としての籍を持ったまま無所属として立候補する人物が多く、特に保守系無所属と呼ばれる。中選挙区制の時代は、候補者数調整のために自民党の公認を受けられなかった候補が無所属として立候補し、当選すると即座に追加公認を受けるという例が少なくなかった。このような候補の中には、無所属であるにもかかわらず自民党の派閥のメンバーとして活動し、選挙報道においてもそのように分類されていた例もあった。しかし、衆議院選挙での小選挙区比例代表並立制の導入と参議院の一人区の増加により、民主党など自民党以外の政党から出馬する保守系候補もあらわれるようになったため、公認漏れ候補が無所属で立候補して当選する例は減少している。2017年の衆院選では、小選挙区において自民党籍を有したままの2候補が共に無所属出馬し、当選した候補を追加公認する例が見られた(山梨2区埼玉11区岡山3区など)。なお、右翼団体系候補は、保守系無所属とは呼ばれないケースが多い。例外として、国際勝共連合系の阿部令子は、1990年の総選挙で選挙途中に自民党の追加公認を受けたことがあるためか、保守系無所属と報じられていた。「追加公認」も参照

革新政党系または左翼団体を基盤とする無所属は革新系無所属と呼ばれるが、保守系ほど立候補した数も、当選者数も多くない。また保守系無所属のほとんどが自民系であるのに対し、革新系は日本共産党日本社会党系が多いものの、出身政党はバラバラである。革新政党の衰退で、「革新系無所属」の用語はあまり使われなくなっている。

また、小選挙区制導入以降、新潟方式(参議院選挙が主)や2016年以降の野党共闘のように、一つの選挙区において複数の野党が無所属候補(党籍を保有している場合と離脱している場合がある)を共同で推薦するケースがある。第48回衆議院議員総選挙においては、希望の党への合流のため民進党自由党から公認候補を出さなかったことから、両党において党籍を保有したまま無所属で出馬した候補が続出した。公職選挙法上は、政党公認候補が有利な仕組みとなっているが、この場合は複数の政党の支持層からの集票、また票割れを防止することにより与党候補が漁夫の利を得ることを防ぐ効果がある。

また、元々ある政党に所属していて、何らかの理由で政党から除名(または離党)となり無所属で再出馬する例もある(例として田中眞紀子柿澤弘治田野瀬太道松本純)。またスキャンダルによって名目上離党を余儀なくされたものの、旧所属政党の派閥への影響力などで実質的には旧所属政党に属しているのと同様な活動を行う例もある(田中角栄中曽根康弘)。これらの候補は、小選挙区制の場合は旧所属政党から対立候補を立てられない例が多く(見かけ上旧所属政党の空白区となる)、無所属で当選することでみそぎを果たしたとすることもある(第49回衆議院選挙における田野瀬は自身の不祥事で離党していたが保守系無所属で当選し、公示日に遡って追加公認ならびに選挙後すぐに復党まで認められた)。

無所属議員が政府の職に就いた例はほとんどないが、2011年菅直人内閣に入閣した与謝野馨はその数少ない例である。

大日本帝国憲法下に存在した貴族院の場合は更に複雑で、貴族院議員は非政党員であることが事実上の慣例となっていたため、ほとんどの議員が法律上においては無所属であった。だが、実際にはその大半が政党に替わって組織された院内会派に属しており(政党系・非政党系など会派によってその位置付けは異なる)、一般にはこうした会派に属していない議員のみを慣習的に無所属と呼んだ。だが、会派所属の議員に比べて議員活動に不利な会派無所属の議員が活動しやすいように、一部の会派無所属の議員達が便宜的に「無所属」を正式名称とした会派を結成した時期もあった。勿論、こうした会派にも参加しなかった議員もおり、紛らわしいことから無所属会派を「無所属団」、後者の議員を「純無所属」と呼称して区別を行った。

2010年7月11日に行われた第22回参議院議員通常選挙では無所属の当選者はゼロとなった。

2016年に結党した民進党では旧みんなの党の比例代表選出議員ゆえに公職選挙法第99条の2の規定により改選まで国会議員職を維持したまま民進党に参加できない旧みんなの党の参議院議員5名(小野次郎川田龍平柴田巧寺田典城真山勇一)は共同会派所属国会議員の地位に関する経過規定(党規約附則2条2項[9])により、2019年9月まで無所属でありながら党役員への就任や両院議員総会での議決権行使を許されて民進党所属国会議員に準ずる地位を有するものとされたが、同年の第24回参議院議員通常選挙に伴い該当者は川田のみとなり、その川田も2017年12月には立憲民主党に入党。同項は2018年2月4日の改訂に伴い削除された。

2019年4月以降は1人区で立憲民主党や日本共産党が参加する民共共闘の一環として無所属で立候補する例が見られるようになった。2019年4月の大阪12区の補欠選挙では日本共産党の衆議院議員だった宮本岳志が無所属として立候補するも落選し、供託金を没収された。2019年7月の第25回参議院議員通常選挙では1人区で野党統一の無所属候補が32ある1人区の選挙区中10人当選したが、僅差で与党候補に勝利する事例もあり一定の成果を上げた。

現在無所属である国会議員については、日本の政党一覧を参照のこと。
地方政治

地方議会首長でもかつては政党公認候補が珍しくなかった。しかし、首長は複数政党による相乗り・共闘が前提になることから、候補者の推薦・支持が行いやすいように、無所属での立候補が常態になった。

1995年平成7年)の統一地方選挙では、無党派層が既成政党以外の無所属候補(代表例として青島幸男東京都知事横山ノック大阪府知事)を当選させたため、それ以降は政党の党員による無所属立候補は一層進み、推薦・支持も表向きは受けない例が増えるようになった。

地方議会では、都道府県議会では政党・政治団体公認が主流だが、無所属も2022年12月31日現在で2570人中595人、23.2%を占める[10]。市区町村議会では、特に大都市圏以外で無所属の比率が高く、2022年12月31日現在で29155人中20279人、69.6%を占め、2位公明党の9.2%(2681人)に大差を付けている[10]


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:42 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef