タイの国籍は、タイ国内で出生するもしくは両親がタイ国籍を有していれば取得することができる。しかしながら、国境地帯や山岳部の少数民族を中心に国籍を取得しない住民が約48万人存在しており社会問題となることがある。2018年に発生したタムルアン洞窟の遭難事故では、洞窟から救出された数人が無国籍であったためパスポートが取得できず、国際サッカー連盟によるイベントに出席することが難しくなったことで話題となった[6]。 バルト三国(ラトビア・リトアニア・エストニア)などのように、歴史的な経緯等により無国籍者が総人口の相当割合を占める例もある。 中東には定住しないで中東の広い範囲を遊牧して生活してる遊牧民で特定の国家に属さないベドウィンと呼ばれる無国籍者がいる。彼らはサウジアラビア、クウェート、オマーンなどの中東湾岸諸国では自由に国境を越えて移動することを認められており、イラク戦争後にはイラクとサウジアラビアの間でも協定が結ばれ認められるようになった。ベドウィンは特定の国家ではなく、アラブのイスラム教国という大きな枠の中に属していることになっており、ベドウィンが犯した犯罪については逮捕した国の法律で裁かれる。中東湾岸諸国は欧米や日本とは法理の異なるイスラム法を基準としているため、国籍を重要視せず、どこの部族、氏族の出身であるか、イスラム教徒であるかどうかが問題となる。社会福祉を受けられるかどうかという問題についても属人主義のイスラム法ではイスラム教徒であれば援助を受けられるとしているため、無国籍であってもアラブ人のイスラム教徒であれば深刻な問題は生じない。ベドウィンにとって国籍という欧米法の法理の問題は遠い異国の話であり、自分自身の問題とは捉えられていない。 国籍が存在しない船舶は『無国籍船』と呼ばれる。無国籍船とは登録国から登録していることを否定された船舶、登録国の提示の求めに応じない船舶、登録国が当該国の船舶であると肯定しなかったり明白に主張しなかった船舶などである。 沿岸警備隊による登録国の提示の求めに応じない場合は臨検の対象となる。 国連海洋法条約第110条では無国籍船の疑いがある船舶について海軍艦艇による臨検を認めている。 アメリカでは麻薬密輸用潜水艇対策として、2008年から船籍が不明な船舶の乗組員に最大で20年の懲役を科す法律が制定されている。 国籍が存在しない航空機は『無国籍機』と呼ばれる。無国籍状態では飛行許可は下りず、無許可での飛行すると国籍不明機による領空侵犯となり警告を受け、最悪の場合は撃墜される。 航空機は多重国籍が禁止されており、外国へ売却する前に登録を抹消して無国籍とし、購入者が自国で新規登録する[7]ため、登録抹消後に船や航空機に積載して輸送する際に無国籍状態となっていることは多い。 特定の国のもので無いという状況を示すために「無国籍」という語が用いられることがある。使用例としては「無国籍文化」、「無国籍料理」などである。
欧州
中東
船舶
航空機
その他
註^ “無国籍 ? UNHCR Japan
^ “国籍・地域別 在留資格(在留目的)別 在留外国人
^ “法相「大変な問題」 無国籍の乳幼児急増:朝日新聞デジタル”
^ “平成十九年十一月三十日提出 質問第二八〇号 パレスチナ人の子どもの国籍等に関する質問主意書
^ “法務省、パレスチナ国籍認める”
出典は列挙するだけでなく、脚注などを用いてどの記述の情報源であるかを明記してください。記事の信頼性向上にご協力をお願いいたします。(2017年9月)
本田英郎『存在しない子どもたち―沖縄の無国籍児問題』(汐文社、1982年)
月田みづえ『日本の無国籍児と子どもの福祉』(明石書店、2008年、ISBN 9784750328232)
陳天璽『無国籍』(新潮社、2005年、ISBN 9784104740017)
中薗英助『無国籍者―ドキュメンタリーノベル 日本人の証明』(社会思想社、1995年、ISBN 9784390115728)
関連項目
国籍
難民
朝鮮籍
台湾(中華民国)
ターミナル (映画)
戸籍
出生届
孤児
Category:無国籍の人物