無人偵察機
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2015年1月には、アメリカの政府職員が、個人所有のDJI製ドローンの操作を誤り[38]ホワイトハウスの敷地内に墜落させる事故が発生、周囲一帯が封鎖される騒ぎとなった[39]。更には同年の4月にも日本の首相官邸の屋上で放射性物質を載せた同機種が墜落した状態で発見される事件も起こっている。詳しくは首相官邸無人機落下事件を参照。2017年には同機種などの商用無人機に爆弾を搭載してシリア・イラクでテロリストに使用される事例が多数報告されて問題となった[40][41][42]。また、多くの電波が行き交う都市部では、無線の混線を引き起こし、意図しない動作が起きる可能性もある[35]

2017年5月18日には中国海警局の船舶が尖閣諸島の日本領海に侵入し、無人機を飛行させたため、自衛隊F-15スクランブルし、領空侵犯と認定された[43][44]

2024年3月には横須賀基地ドローン侵入撮影事件が起こっている。
分類

分類のためのいくつかの観点について述べる。
用途による分類

UAVは、その機体の任務により以下のカテゴリーに分類され、マルチロール(多用途)の機体も多い。

用途備考
標的対空戦闘訓練において、味方の地上部隊や航空部隊から敵航空機役として標的になる。
偵察戦場で情報を収集し、味方に提供する。
戦闘攻撃能力を持ち、高い危険を伴う任務に投入される (UCAV)。
兵站輸送や兵站任務用に設計されている。
研究開発UAV技術の開発や実証など実験目的で使われる。

性能による分類

UAVは、機体の性能で以下のカテゴリーに分類される。

名称最高高度航続距離備考
handheld2,000ft (600m)2km程度
Close5,000ft (1,500m)10km程度
NATO type10,000ft (3,000m)50km程度
Tactical18,000ft (5,500m)160km程度
MALE[45]30,000ft (9,000m)200km以上
HALE[46]30,000ft以上—
HYPERSONIC50,000ft (15,200m)200km以上最高高度としては弾道飛行可能なものも含む。高速、超音速 (M1-5) もしくは極超音速 (M5+)。
ORBITAL——低軌道を飛行可能 (M25+)
CIS Lunar——月遷移軌道を飛行可能であること。
Train Cable UAV——UAV、UGV列車の3つの技術を複合したシステム

なお、アメリカ軍の各軍種では、ティアなどの独自の分類法を用いている。
サイズによる分類ブラック・ホーネット・ナノ

明確ではないものの、以下のような分類を使用することがある。

名称要件
Strategic UAV戦略無人機、長時間長距離を飛行するもの。
Tactical UAV戦術無人機。
Vertical Takeoff/Landing UAV垂直離着陸無人機
Small UAVMAVよりは大きいが、比較的小型のもの。
MAV「マイクロ・エア・ビークル(micro air vehicle)」の略で、狭義にはDARPAの定義した最大の長さが150mm以下のサイズのUAVを指す。
NAV「ナノ・エア・ビークル(nano air vehicle)」の略で、MAVよりさらに小型のUAV。DARPAによると最大の長さが75mm以下で、最大離陸重量は10グラム以下。

軍用無人機の種別
標的機「ターゲット・ドローン」も参照母機であるDC-130のパイロンに吊されたファイヤービー艦上から発射されるBQM-74

標的機とは、 空対空ミサイルや地対空ミサイル、対抗手段、レーダー、その他のセンサーを含む兵器や、それらシステムのテストと評価を行うときに、標的となる無人機である[47]

従来標的は、標的曳航機の機体後部から吹き流しを曳航したり、有人機にミサイルシーカー(目標捜索装置)を搭載して操縦により機動を再現していた。しかし吹き流しでは有人機の至近へ射撃するため幾度となく誤射が発生し、有人機をミサイルに見立てる場合には捕捉の訓練しか出来ないため、標的そのものを飛行させる標的機が考案された。

地上から無線操縦されるラジコン式の標的機は臨機応変に動きを変えられるが電波の届く範囲での運用となる。プログラムにより制御される標的機は運用範囲は広いが事前に設定されたコースしか飛べない。

航空機の動きを高度に再現する場合には有人機を改造した機体が利用されるが、高価であるため老朽化などで退役する機体が選ばれる[48]

帰還する必要がないため降着装置を有しない機体も多く、ミサイルのように管制機のパイロンから投下する物もある。また標的機のGAF ジンディビック初期型は10時間ほどで寿命を迎える使い捨てエンジン(アームストロング・シドレー ヴァイパー)を採用するなど、割り切った設計となっている。しかしコストダウンを徹底しても吹き流しに比べ遙かに高価であるため、現代でも標的曳航機による訓練が行われている。


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