地球温暖化対策として大気中の二酸化炭素濃度を減らすため、海水中の二酸化炭素をカルシウムイオンと共に晶出させ、炭酸カルシウムとして二酸化炭素を固定する「人工サンゴ」「人工珊瑚」というものが研究されている[6][13]。 無色結晶または白色粉末であり、中性の水にほとんど溶けないが、塩酸などの強酸と反応して、二酸化炭素を放出する。 CaCO 3 + 2 HCl ⟶ CaCl 2 + H 2 O + CO 2 {\displaystyle {\ce {CaCO3 + 2HCl -> CaCl2 + H2O + CO2}}} 25 ℃ における溶解度積は以下の通りであり、炭酸バリウムよりやや小さく炭酸ストロンチウムよりやや大きい[14]。 CaCO 3 ↽ − − ⇀ Ca 2 + ( aq ) + CO 3 2 − ( aq ) , {\displaystyle {\ce {CaCO3 <=> Ca^{2+}(aq) + {CO3}^{2-}(aq),}}} K sp = 3.6 × 10 − 9 [mol/L] 2 {\displaystyle \ K_{\textrm {sp}}=3.6\times 10^{-9}\,{\textrm {[mol/L]}}^{2}} 加熱することにより酸化カルシウムと二酸化炭素に分解する。二酸化炭素の解離圧が1気圧に達するのは 898 ℃ である。 CaCO 3 ⟶ CaO + CO 2 {\displaystyle {\ce {CaCO3 -> CaO + CO2}}} 水酸化カルシウム水溶液(石灰水)に二酸化炭素を吹き込むと炭酸カルシウムの沈殿が生じる。さらに過剰の二酸化炭素を吹き込むと炭酸水素カルシウム Ca (HCO3)2 となり水に溶解する。 CaCO 3 + CO 2 + H 2 O ⟶ Ca ( HCO 3 ) 2 {\displaystyle {\ce {CaCO3 + CO2 + H2O -> Ca(HCO3)2}}} 多少吸い込んでも、肺の中に蓄積しない。血液の中には二酸化炭素があり、炭酸カルシウムは炭酸水素カルシウムに変化して溶解するからである。 固体結晶には常温常圧で最安定なカルサイト(三方晶系菱面体晶のもの、(方解石として産出)および準安定相であるアラゴナイト(直方晶系、霰石として産出)、不安定なヴァテライト(六方晶、ファーテル石)の構造多形が存在する[15][16]。三方晶系の格子定数は a = 6.36 A、α = 46.4°であり、斜方晶系では a = 7.92 A、b = 5.72 A、c = 4.94 A である[17]。 屈折率は三方晶系では通常光線に対して 1.6585、異常光線に対して 1.4864 の複屈折を示す。斜方晶系では 1.681(a軸に平行)、1.685(b軸に平行)、1.530(c軸に平行)と3軸不等である。 室温で塩基性の水溶液から炭酸カルシウムを析出させるとカルサイト結晶が生じるが、高温で析出させるとアラゴナイトが析出する。また、中性付近の溶液からだと最初はヴァテライトが析出する。 また、天然に産出する含水塩としてモノハイドロカルサイト 自然界では、主にかつて海だった場所で、炭酸カルシウムを成分とする球状の岩石がしばしば見つかり、コンクリーション(Concretion 水中の炭酸カルシウムの析出傾向(腐食性)を示す数値にランゲリア係数がある[18]。理論的pH(pHs:水中の炭酸カルシウムが溶解も析出もしない平衡状態時のpH)との差を数値化したもので、数値が小さいほど腐食性が強い水であることを示す[18]。
性質
結晶構造カルサイト構造の模式図
コンクリーション(ノジュール)
ランゲリア係数
脚注・出典^ Benjamin, Mark M. (2002). Water Chemistry
^ Aylward, Gordon; Findlay, Tristan (2008). SI Chemical Data Book (4th ed.). John Wiley & Sons Australia. ISBN 978-0-470-81638-7
^ Rohleder, J.; Kroker, E. (2001). Calcium Carbonate: From the Cretaceous Period Into the 21st Century. Springer Science & Business Media. ISBN 978-3-7643-6425-0. https://books.google.com/books?id=pbkKGa19k5QC&pg=RA1-PR2
^ Wagman, D. D.; Evans, W. H.; Parker, V. B.; Schumm, R. H.; Halow, I.; Bailey, S. M.; Churney, K. L.; Nuttal, R. I.; Churney, K. L.; Nuttal, R. I. (1982). "The NBS tables of chemical thermodynamics properties". Journal of Physical Chemistry Ref. Data 11 Suppl. 2.
^ 白石恒二、1914年、日本特許第26117号。
^ a b 神戸賢 (2016). “新しい浮皮軽減剤クレント”. 柑橘 68: 16.
^ 長谷川博 (1973). “軽質および極微細炭酸カルシウム工業の現状”. 石膏と石灰 122: 33.