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なかでも小正月に行われる左義長(どんど焼き)は、日本各地にほぼまんべんなく存在する[8]。信仰の場以外でも、例えばキャンプファイヤーなど多くの行事、象徴的な場などで火は用いられている。現代でも火は象徴としての力を持ち続けている。四元素説における元素の関係図。

前6世紀、ヘラクレイトスは、流転する世界の根源に火を位置づけ[9][10]を神的な火とみなした。前5世紀のエンペドクレスは、火を四元素のうちのひとつとし、プロメテウスに因んで「パイロ(古代ギリシア語: πυρ)」とした。デモクリトスは、魂と火を同一視し、原子は無数あるとしつつ、「球形のものが火であり、である」とした。アリストテレスの『自然学』において、火は四元素のひとつと位置づけられていた。古代ギリシャ哲学の流れを汲むイスラム科学でも火は元素の1つであると考えられた。(また中国大陸哲学でも類似の考えかたがされていた)。18世紀ころまでのヨーロッパでも、おおむね主にアリストテレスの『自然学』における火の理解のしかたを継承したと考えてよい。ただし、他方で錬金術においては、火は物質や物質に仮託された精神の統合や純化を促す力、と考えられていた[7]ゲオルク・エルンスト・シュタール

18世紀になると、多くの思想家は、熱やに火の本質を求めようとした[7]カントは、温度上昇を火の元素の移動と関連付けて理解した。

ゲオルク・エルンスト・シュタールは、火というのは可燃性の原質「フロギストン」によって起きていると考え1697年の著書『化学の基礎』でこれを表明した。この説(フロギストン説)は多くの人々に支持され最大の影響力を持っていた。同説に対抗する諸説はあったが、18世紀末にラヴォアジエが行った批判や同氏の理論の説得力などにより、燃焼を酸素との結合現象とする説を採用する人が増え主流となってゆくことになった。
火の構造、しくみ

火は炎心と内炎と外炎によって構成されている[11]。最も明るいのは内炎である。これは、炭素(すす)が最も多く含まれているためである。最も熱いのは、外炎である。これは、酸素と最も多く接触しているためである。また、内炎は、不完全燃焼をおこしている。

近年では「燃焼によって解放されたエネルギーのために、燃焼している物体(や気体)は発光する」と説明することがある。
燃焼詳細は「燃焼」を参照火には、燃料と酸素と熱が必要である。

火を付けるには、可燃物、酸素ガスのような酸化剤、それらの混合物が引火点を越えるための熱が必要である。火が点火すると、燃焼によって発生した熱エネルギーがさらなる燃焼を起こすが、燃焼し続けるには連鎖反応を生み出すよう燃料と酸素が連続的に供給される必要がある[12]。火はこれらの要素が揃わない環境では存在しない。燃料と酸素だけでなく、触媒が必要な場合もある。触媒はそれ自体が燃焼するわけではないが、化学反応を促進する役目を果たす。

火を消すには、上述の要素のいずれかを取り除けばよい。例えば天然ガスの火を消すには以下のいずれかを行えばよい。

ガスの供給を止める - 燃料を除去する。

炎を何かで完全に密閉する - 酸素供給を断ち、炎の周囲にCO2を充満させる。

水を大量にかけ、炎が熱を発生するよりも素早く熱を奪う。冷気を吹き込んでも同じ効果が得られる。

ハロメタンのような反応遅延剤を使う。燃焼の化学反応そのものを遅延させ、連鎖反応できなくする。

逆に、燃焼効率を高めることで火を強めることができる。そのためには化学量論的につりあいのとれた形で燃料と酸素の供給量を調整する。これによって火の温度も高くなって連鎖反応も強まるが、同時に触媒を必要とする場合もある。
炎詳細は「」を参照ろうそく高く上がる炎

は可視光や赤外光を放つ化学反応中の気体と固体の混合物であり、その周波数スペクトルは燃焼物や中間生成物の化学組成によって異なる。木などの有機物を燃やしたり、ガスを不完全燃焼させると、すすと呼ばれる白熱した固体粒子を生じ、赤からオレンジ色の火になる。火の発する光は連続なスペクトルを有する。ガスが完全燃焼すると、炎の中では励起された分子の電子が様々な遷移を起こして単一の波長の光を発するため、やや暗い青色の光になる。一般に火には酸素が必須だが、水素塩素が化学反応して塩化水素となる場合も炎を生じる。他にも、フッ素水素ヒドラジン四酸化二窒素の化学反応でも炎を生じる。

炎の発する光は複雑である。すす、ガス、燃料の粒子などが黒体放射するが、すすの粒子は完全な黒体として振舞うには小さすぎる。また、ガス内で下方遷移した原子や分子が光子を放出する。放射のほとんどは可視光と赤外線の範囲にある。色は黒体放射の温度や燃焼に関わる物質の化学組成によって変化する。炎の色を最も左右するのは温度である。山火事の写真を見ると、様々な炎の色が見てとれる。地表付近は最も激しく燃焼しているため、有機物が最も高温で燃焼しているときの白または黄色の炎が見える。その上にはやや温度の低いオレンジ色の炎があり、さらに温度の低い赤い炎が見える。赤い炎の上では燃焼は起きず、燃焼しきらなかった炭素粒子が黒い煙となっている。

アメリカ航空宇宙局 (NASA) は、炎の形成に重力もある役目を果たしていることを発見した。重力の条件が異なれば、炎の形状や色が変化する[13]


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