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こうした加熱消毒は現代においても調理の重要な一側面である[23]土器が出現すると、食材と水を入れて加熱することで煮ることが可能になった。さらに金属器が登場すると食材をより効率的に加熱することが可能となり、で炒めたり揚げるといった調理法も開発された[24]

20世紀になると、電磁調理器電子レンジなどの登場で、火を使わない加熱調理が可能となった。

豚のまる焼き

焼き魚

肉を焼く

農業

山火事などで焼けた土地には草原ができ、これは草食動物のエサ場となり、当時まだ狩猟のみに頼っていた人類においては見逃せないほどの食糧供給の増大をもたらした。山火事が幾度も繰り返されるうちに人々はこのことに気づき、こうして人類の一部は適当な時期を見計らって野焼きを行って人為的に草原を維持するようになった。やがて森林地域においてもこの方法が持ち込まれたが、立木や生木を燃やすのは困難を極めるので、あらかじめ木を切り倒しておき、それを乾燥させてから火を放つようになった。さらに農業がこの地域に持ち込まれると、この野焼きによって空いたところに穀物などを植え、とするようになった。これが焼畑農業の起源とされている[25]。火を放つことによって地面に残された灰は良い肥料となり、このため焼畑を行った土地においては数年間は良い収穫を得ることができた[26]。やがて地力が落ちてくるころになると畑は放棄され、新たな土地の木を切り倒してそこを新しい畑とする。放棄された畑には数十年後には再び森林が生い茂り、数か所を回ってきた人間がふたたびそこに火を放って畑にするといった形で循環がおこなわれていた[27]。焼畑農業は現代においても熱帯地域を中心に広く行われているが、サイクルが短くなったため地力の消耗を招き、また森林火災を招き地球温暖化にも悪影響をもたらすとされ、しばしば問題となっている[28]

また、焼畑以外にも火を農業に利用する例はある。日本においては収穫後の水田に火を放って枯れた収穫後のを燃やす、いわゆる火入れが行われることがあるが、これは害虫の駆除と燃えた後の灰を肥料化するという二つの目的で行われている。
工業

火は、高熱によって物質の状態を変化させることができるため、この性質を利用してさまざまな工業に利用されてきた。こうした用途における最も古い利用法は粘土を焼いた、いわゆる土器の焼成である。土器はより高い温度で焼き上げると陶器、さらには磁器となり、より硬度を増すようになった[29]。土器に次いで、人類は金属の精錬を覚えた。まず最初に開発されたものは融点の低いの利用であり、やがてと混ぜ合わせることで硬い青銅を作り上げることができるようになった。青銅の利用は人類を石器時代から一段階進歩させ、青銅器時代という一時代となった。さらにその後、人類はを精錬できるようになり、鉄器時代が始まった[30]。その後も火は工業にとってなくてはならないものであり、各種工業において広く使われている。
兵器・武器1943年7月、焼夷弾を投下された後のハンブルク市街。約5万人の一般市民が亡くなった[31]

火は歴史上様々な形で戦争に利用されてきた。古くは狩猟採集社会で、野原や森林を焼き払うことで敵を傷つけ食料を得にくくするなど、火は人類がその制御に関する知識を得たころから戦争に利用されている[要出典]。ホメーロスの『イーリアス』には、トロイの木馬に隠れていた兵士たちがトロイを焼き払う様子が描かれている。東ローマ帝国では戦争にギリシア火薬を用いた。第一次世界大戦では歩兵が初めて火炎放射器を使い、第二次世界大戦ではそれを車両に装備した。また、焼夷弾による爆撃が東京、ロッテルダム、ロンドン、ハンブルク、ドレスデンなどで行われた。それによって火災旋風が起きた都市もある[要出典]。大戦末期には米軍が日本の各都市を焼夷弾で爆撃した。日本の家屋は木造が多かったため、焼夷弾の効果が大きかった。1945年7月、大戦終結直前にナパーム弾が投入されているが[32]、ナパーム弾が一般に知られるようになるのはベトナム戦争のときである[32]。また、火炎瓶という武器も使われてきた。
エネルギー源

燃料に点火することで利用可能なエネルギーが放出される。先史時代から木材が燃料として使われている。石油天然ガス石炭といった化石燃料火力発電で使われており、今日の発電量の大きな部分を占めている。国際エネルギー機関によれば、2007年時点で全世界のエネルギー源の80%強が化石燃料だという[33]発電所では火によって水を熱し、蒸気を発生させてタービンを駆動する。タービンが発電機を駆動し、発電が行われる。外燃機関内燃機関では火が直接仕事をする。
火の扱い方


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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