火薬
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ヘキソーゲン
シクロトリメチレントリニトラミン(1,3,5トリニトロ-1,3,5-トリアジナン)。ヘキソーゲンはTNTに代わる高性能爆薬として開発された。RDXの略称が用いられる。主に軍用。
オクトーゲン
正式名称 1,3,5,7-Tetranitro-1,3,5,7-tetraazacyclooctane(CAS).Octahydro-1,3,5,7-tetranitro-1,3,5,7-tetrazocine(IUPAC)。別名にシクロテトラメチレンテトラニトラミン, HMXなどがある。過酸化アセトン
過酸化アセトン
過酸化アセトン(かさんかあせとん、 Acetone Peroxide)は有機過酸化物の1種。高性能爆薬として使用される。過酸化水素水(日本ではオキシドールなどと呼ばれる)とアセトン触媒として塩酸もしくは硫酸)といった比較的容易に手に入る材料で製造可能かつ大掛かりな設備も不要であることから、アマチュア科学者や危険物マニアなどに密造されることが多い。日用品で製造できる手軽さ・秘匿性と十分な威力を併せ持つことからテロリストに悪用されることもあり、最近ではロンドン同時多発テロパリ同時多発テロ2016年ブリュッセル爆発事件で使用された。
笛薬
安息香酸カリウムと過塩素酸カリウムの混合物である。燃焼時に高い音響を発生し、「笛ロケット」という種類のロケット花火等に使われる。
ニトログリコール (nitroglycol)
二硝酸グリコールとも呼ばれる。ダイナマイトなどに使用される。
ピクリン酸
フェノールをニトロ化したものであり、上述の下瀬火薬などの主原料として知られる。トリニトロトルエン(TNT)より破壊力はあるものの、不安定で暴発の危険性が高いうえに腐食性や毒性もあるため扱いづらく、20世紀以降は多くの国で次第に他の火薬へ置き換えられていった。
液体酸素爆薬
液体酸素を木炭のようなものに充填し、雷管を使用して点火爆発させる。特別な薬品類を使用せずにダイナマイト程度の破壊力を示すが、迅速な処理を必要とする。
コンポジション爆薬
混合爆薬の一種で、A-3・B・C・C-4などの種類がある。
PBX爆薬
砲弾やミサイルの炸薬として広範囲に使用されている。
ヘキサニトロヘキサアザイソウルチタン (HNIW)
現時点で量産可能な爆薬としては最大の威力を持つ。
FOX-7
研究中の高性能爆薬、実用化はされていない。
トリアミノトリニトロベンゼン
実用爆薬中、最も安定性が高い爆薬で高い信頼性を要求される用途に用いられる。
オクタニトロキュバン
理論上最大の威力を持つとされ、爆発時に出るガスは無色透明なため完全な「無煙」の爆薬。しかし、製造までに四十もの工程があり、それに使用する機器等も非常に高価なため、コストや量産性などの問題から現時点では実用化されていない。
雷酸水銀
二価の雷酸水銀は別名として雷汞(らいこう)とも呼ばれる[2]。非常に高い感度と爆速値を持つことから、主に雷管・起爆薬として用いられる[3]。近似した性質を持つ雷酸銀(I)アジ化銀も同様に雷管・起爆薬として用いられるが、原料の違いによりこれらに比べ安価という利点を持つ。
ジアゾジニトロフェノール(DDNP)
爆速値の高さから雷管・起爆薬として用いられる。水中では起爆しないという特性を持つ[4]。また、雷酸水銀アジ化鉛と異なり、反応後に重金属汚染が発生しない。
ニトログアニジン

用途(による分類)

火薬類は主に、以下のような用途に用いられている。(それぞれの用途ごとに適した種類の火薬類が用いられる。)
火薬(発射用、推進用)
銃や砲

(狭義の)「火薬」が大砲に利用される場合、急激な燃焼(爆燃)により急激に多量のガスを発生させ、そのガスが銃弾砲弾)を押し、銃身や砲身内で加速させ、銃口や砲口から出るまでに大きな速度にする(初速度を大きくする)。
ロケット

(狭義の)火薬が、ロケット固体燃料として用いられる場合、燃焼ガスがロケット下部の噴射口(ロケットエンジンノズル)から高速で噴射され、その反作用によりロケット(の本体)に推進力が与えられる。(銃や砲と異なり、ロケットの場合は推力が長時間持続する必要があるので、燃焼も長時間持続する必要があり)所定の時間、所定の推力を安定して得るために、ロケット内部の火薬の固まり(グレイン)の断面の形状を(たとえば星型にするなど)最適化することが非常に重要である。
爆薬(破壊用)

爆薬は「爆轟」によって発生する衝撃波や破片によって周囲の物体を破壊する。爆弾砲弾魚雷手榴弾等の弾頭および弾体・核兵器における爆縮レンズの構成部品として軍事用に用いられる他、発破(はっぱ)として鉱物資源の採掘やトンネルの掘削に用いられる。こうした使用法は黒色火薬時代には爆発力が限られるため限定的な使用にとどまり、19世紀に入って安全で高性能な火薬が多数開発されたことで初めて一般化された使用法である。外国ではビルや野球場のスタンドなどの建造物の解体に際して、内部に爆薬を仕掛け、崩すように一気に解体する手法が行われる。ただし、この方法は日本においては環境基準や、地震に備えるための耐震基準によって建築物が頑強に作られているため実用性がほとんどなく、ほぼ行われることはない。

通常、爆薬に火をつけてもゆっくりと燃えるだけで「爆轟」にはならない。爆薬を起爆するには、雷管信管を用いて爆薬に衝撃波を与える必要がある。これを応用し、不要な爆発物や不発弾などを専用の爆薬で火薬ごと爆破して処分を行うことが各国の警察や軍により行われている。
起爆薬(点火用、起爆用)

ほとんどの火薬(類)は暴発しないよう感度が低く抑えられており、単に火をつけただけでは爆発しないものがほとんどである。そのため、感度が高く爆発力の低い火薬をはじめに小規模に起爆させることによって、本来の目的である高性能火薬を誘爆させるという方法が主に取られている。
火工品詳細は「火工品」を参照

導火線雷管などがあり、爆薬の起爆等に用いられる。
発光剤(照明・信号用)

強いを発生させる目的の特殊火薬。黒色火薬にアルミニウム微粉末を適切な量混合させ、燃焼することによって、強力な光を出すことが出来る。

軍事では照明弾、信号弾などで使用される。身近なところでは、車載されている発炎筒などがある。かつて写真のストロボ撮影の光源としても用いられた。
その他 応用
花火

花火は、火薬に金属塩や金属粉末を混合して燃焼させることで、その時に発する色や音、形を観賞するものであり、発射用と並んで火薬のもっとも古い使用法のひとつである。火薬をそのまま燃焼させるだけでは単色しか出ないが、火薬に炭酸ストロンチウム(紅色)や硫酸銅(青色)などを混ぜることで炎色反応により、様々な色で発光する。

「打ち上げ花火」の場合、上空に「玉」を打ち上げる際にも、筒にしかけられた黒色火薬を発射薬として用い玉を上空に打ち上げる。(これは、ほかの火薬類では感度が低すぎるうえ威力が高すぎ、適切な速度や威力を実現できないためである。)
エンジンの起動用

航空用エンジンの起動用として瞬間的に大きな力を発生させるため、空包を利用した点火装置コフマン・エンジンスターター)が開発された。
工業用途

金属容器などを作るとき、水中に爆薬を入れて爆発させて金型に押し付けるという方法がある。また、通常溶接できない2種類の金属を、爆薬の力でひとつにする接合させる爆発圧接もある。
発電

瞬間的な大電力を得る方法として爆薬発電機が開発されている。

分離ボルト

分離ボルト(爆砕するため爆砕ボルトともいわれる)を分離するためにつかわれる。
歴史「en:History of gunpowder」も参照1274年文永の役における戦いに描かれた「てつはう」(『蒙古襲来絵詞』)

中国の代(618年 - 907年)に書かれた「真元妙道要路」には硝石硫黄・炭を混ぜると燃焼爆発を起こしやすいことが記述されており、既にこの頃には黒色火薬が発明されていた可能性がある。

1132年との戦争中に起きた内乱に対して火薬兵器である火槍が投入したとされる[5][6][7]


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