火炎瓶
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第二次世界大戦後の日本においては、1950年代日本共産党が組織した山村工作隊中核自衛隊による武装闘争で多用され、爆発物取締罰則違反として公判が行われたが、1956年(昭和31年)6月27日の最高裁判所判決において「同法の規制対象となる『爆発物』とは、その爆発作用そのものによって公共安全を攪乱し、または、人の身体や財産を傷害・損壊するに足る破壊力を有するものであり、……(火焔瓶は)いわゆる爆発物に該当しない」として、最高検察庁の主張を退けた[14]。これは、刑法では国家が人を罰するという性質上、厳密な解釈が求められるために罪刑法定主義にもとづき、類推解釈が禁じられているからである。

その後、1971年(昭和46年)11月19日、沖縄返還協定反対デモ日比谷公園内で激化し、その中で過激派の学生の投じた火炎瓶が松本楼を直撃し、2代目の建物を焼失させるなど、1970年代学生運動三里塚闘争でよく使われたが、当時の法律では火炎瓶自体については規制することができなかった。そのため、火炎瓶について前述の通り定義して規制する「火炎びんの使用等の処罰に関する法律」を制定し、1972年(昭和47年)5月14日に施行した。

昭和50年版犯罪白書によれば、1968年(昭和43年)10月の日本大学工学部校舎放火事件を皮切りに、火炎瓶は過激派集団の主たる凶器としてしばしば用いられるようになり、1969年(昭和44年)から1971年(昭和46年)までの3年間に使用された火炎びんの総数は約1万2000本、押収された火炎びんの総数は約1万7000本に上った。こうして1972年(昭和47年)の火炎びんの使用等の処罰に関する法律の制定、さらにはその原材料として使用されるおそれのある毒物及び劇物の規制を強化するため、毒物及び劇物取締法の一部改正が行われた。その後、火炎瓶事犯は著しく減少したものの、1975年(昭和50年)の沖縄海洋博阻止闘争など、使用例自体は以後も見られた[15]
画像

タイにおけるデモで火炎瓶を投げる参加者(2010年)

火炎瓶を使用した訓練を行うホーム・ガードの隊員

布の代わりに写真フィルムを使った火炎瓶(ホームガードの個人装備)。

2014年のベネズエラにおける抗議活動で投げられる火炎瓶

2022年ロシアのウクライナ侵攻に際し、火炎瓶を作るウクライナの市民(2022年)

オランダ王立保安隊の機動部隊の訓練で火炎瓶に着火した様子(2021年)

脚注[脚注の使い方]
出典^ a b c d e f g “ウクライナ市民が自作する「弱者の武器」モロトフ・カクテルとは”. natgeo.nikkeibp.co.jp (2022年3月16日). 2022年3月16日閲覧。
^ “特定通常兵器使用禁止制限条約の概要(Convention on Certain Conventional Weapons:CCW)|外務省”. 外務省(日本) (2018年10月9日). 2022年4月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年4月6日閲覧。
^ 新井京. “過度に傷害を与え又は無差別に効果を及ぼすことがあると認められる通常兵器の使用の禁止又は制限に関する条約”. 同志社大学. 2022年4月6日閲覧。
^ a b c d “「火炎瓶 作り方」ウクライナで検索回数急増 当局が市民に呼びかけ”. 朝日新聞デジタル (2022年2月26日). 2022年2月28日閲覧。
^“「日本人の彼女が手伝った」 日本大使館火炎瓶事件の男が明かす” (日本語). 東亜日報. (2012年1月10日). ⇒http://japanese.donga.com/srv/service.php3?biid=2012011016078 2012年1月10日閲覧. "火炎瓶の作り方は、オンライン上の百科辞典サイト、ウィキペディアを検索して知った。" 
^ マクシム・コロミーエツ、鈴木邦宏(監修)、小松徳仁(翻訳)『ノモンハン戦車戦―ロシアの発掘資料から検証するソ連軍対関東軍の封印された戦い(独ソ戦車戦シリーズ)』大日本絵画、2005年、127頁。.mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}ISBN 978-4-499228-88-6


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