火垂るの墓
[Wikipedia|▼Menu]
□記事を途中から表示しています
[最初から表示]

日本テレビ系列(一部の局を除く)で放送の『金曜ロードショー』で1989年と1990年に2年連続で放送した後、1993年以降は2年に1度(奇数年)[注釈 18]、8月の終戦の日前後[注釈 19]にこの作品を放映していた。2009年に放送された後、2013年11月22日に高畑勲監督作品『かぐや姫の物語』公開記念で約4年ぶりに放送された[46]。本作はジブリ唯一の戦争作品[注釈 20]であるため、基本的には8月中に放送されるが、9・11・13回目は8月以外に放送された[注釈 21]。このうち、11回目の放送は11月であり、『かぐや姫の物語』の公開記念という要素以外に特別の理由もなく[47]夏以外の時期に放送された唯一の例外である[注釈 22]。戦後70年にあたる2015年には、終戦の日前後としては6年ぶりとなる8月14日に放送された[48]。3年ぶり13回目の放送である2018年は、4月5日に逝去した高畑の追悼特別番組として同月13日[49][注釈 23]に放映された。高畑の死去以降、追悼放送された13回目の放送を最後に現在まで5年以上放送されていない。
視聴率

数値はビデオリサーチ調べ、関東地区・世帯・リアルタイム。

回数放送日視聴率備考
11989年8月11日20.9%
21990年8月17日10.7%
31993年8月13日14.5%
41997年8月8日19.1%
51999年8月6日18.8%
62001年8月10日21.5%
72003年8月22日15.1%
82005年8月5日13.2%
92007年9月21日7.7%
102009年8月14日9.4%
112013年11月22日9.5%『かぐや姫の物語』公開記念放送
122015年8月14日9.4%
132018年4月13日6.7%高畑の追悼放送
[注釈 24]

反響・評価など作中に登場する神戸市立御影公会堂(現存)

原作者の野坂は、映画公開前年に発表した文章「アニメ恐るべし」の中で、「いわゆるアニメの手法で飢えた子供の表情を描き得るものかと、危惧していたのだが、これはまったくぼくの無知のしるし、スケッチをみて、本当におどろいた。(中略)ぼくの舌ったらずな説明を、描き手、監督の想像力が正しく補って、ただ呆然とするばかりであった」とその緻密さに驚き、場所も含めたその描写によって自分が「眼をそむけつづけてきた」過去と「今は、少し正直に向き合っている」と記している[50]

『となりのトトロ』のような楽しいアニメを見ようと映画館を訪れ、楽しいトトロを見た後に『火垂るの墓』を見て、衝撃を受ける、涙が止まらない、茫然自失で席から立ち上がれない観客が続出したという[51][注釈 25]。当時は入れ替え制ではない映画館が主流であったため、1日中交互に上映されている映画館であれば2本の鑑賞順は観客が自由に選択することができた。ただそれでも時期や時間帯によっては選択の余地がない場合もあり、(『となりのトトロ』→『火垂るの墓』の順で終わる上映に対しては)「上映の順番を逆にしてくれればよかったのに」という声も少なくなかった。実際には『火垂るの墓』→『となりのトトロ』の順で終わる上映も存在していた。

舞台となった西宮市の西宮回生病院、香櫨園浜・夙川駅夙川公園、ニテコ池(貯水池)、神戸市の御影公会堂御影小学校、石屋川などを、モデルとなった場所を訪ねる人は絶えず、地域史研究の一環として地元の教育委員会が見学会を催すこともある[注釈 26]

日本で「ジブリがいっぱいCOLLECTION」シリーズとして発売されたセルビデオは、40万本を出荷した[52]。海外でも多く視聴されており、英国の映画雑誌『エンパイア』誌が発表した「落ち込む映画ベスト10」の第6位にランクインされた。

黒澤明は『火垂るの墓』を見て感動するが、宮崎駿監督の作品と勘違いしてしまい、宮崎に賞賛の手紙を送っている。受け取った宮崎は複雑な顔をしたという[53]。ただ、一番好きだというわけではなく、最近の作品の中ではよかったということで褒めていたのだと、娘である黒澤和子が語っている。

日本国外ではベネット・ザ・セージのオンラインレビュー[54] を元に高畑勲の悪評も様々なサイトで事実として広められている[55][56][57]。その内容は、高畑がバブル景気で豊かに暮らしてる若者を憎み、反抗行為を罪悪感で捻じ伏せ年長者の言いなりにさせようと戦争時代の苦しみを見せ、全ての責任を若い主人公に被せるよう被害者の野坂昭如を唆しその物語を書換えたなど、ネガティブ・キャンペーンも含んだ個人仮説である。この他、DVDコラムニストのジョシュア・クラインは、本作を子供だけのものと思われがちなアニメを高度な芸術に仕上げた作品であると評しており、また、アニメが生身の俳優を凌ぐ場合もあることを、本作が証明しているのも述べている[58]。また海外レビューに多くは映画レビューサイト「Rotten Tomatoes」の評価で『火垂るの墓』97%という高評価が多い。[59]一方で「二度と見たくない名作」という声がよく占める。[60]

一方で、反日的な思想特に日本軍に侵略されたアジア人からは「この映画は日本軍の戦争犯罪・侵略などの行為の隠蔽しているように見える」と指摘される。[61]特に韓国では、他の多くのジブリ作品が上映済みの中、「日本は戦争加害国なのに、戦争被害者を装うための映画だ」として、反日感情の高まりとともに当初2005年の上映予定が無期限延期となり、2014年になってようやく上映された[62]
関連商品
作品本編に関するもの
映像ソフト


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:210 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef