日本国外務省は調査結果をまとめ、引き続き「同意は無かった」としつつ、当日の領事館の対応に、次の3点の問題があったことを認めた[5]。
警備員の人数の不足
警備実施上の不備
物理的警備体制の不備
事件前日の5月7日に、中国北方航空6136便放火墜落事件が発生しており、領事はこの墜落事件に遭遇した日本人のために大連市に出張しており、不在であったことも背景として挙げられる。 5月14日になり、阿南大使が、北京の大使館で週1回行っている定例ミーティングで「亡命者は追い出せ」と発言したと報じられた[6]。これに対し、外務省は次のように説明した。報道官会見記録 瀋陽総領事館事件 (引用註:阿南大使は、亡命する北朝鮮人の増加に伴う中国当局の警備強化を踏まえ)大体以下のような発言をしたということです。 同年5月22日、中国当局は一家5人をフィリピンへ出国させた[3]。翌5月23日に、韓国への亡命が認められた[8]。 このことで本事件は「人権」「人道」問題としては解決を見たものの、「主権」問題は日中両国の主張が一致しないままとなった[3]。 亡命した金高哲一家は、韓国での適応訓練プログラムを経て、2002年8月から同国全羅南道に定住した[9]。訪日、訪米による講演や執筆活動を行っている。 北朝鮮と同盟関係にある中華人民共和国は、この事態を重く見て、今後同様なことが起こらないよう、領事館の廻りを中国人民解放軍により厳重警備し、城壁・堀を構築するなど対応を強めている。 2002年(平成14年)7月4日、下記の通り、12名に行政処分等が下され、川口外相も給与を自主返納した。
5月14日:阿南大使発言を巡って
脱北者は中国に不法入国している者が多いが、一旦館内に入った以上は人道的見地からこれを保護し、第三国への移動等、適切に対処する必要がある。他方、大使館としては、昨秋以来、テロに対処するという観点からも、警戒を一層厳重にすべきことは当然であり、不審者が大使館敷地に許可なく侵入しようとする場合には、侵入を阻止し、規則通り、大使館の門の外で事情を聴取するようにすべきである。
<中略>
従って、北朝鮮の人が大使館に入ってきた場合追い出すとかですね、そのような発言があったというようなことはございませんので、確認させて頂きたいと思います。 ? 報道官会見記録 (平成14年5月15日(水) 17:00? 於:会見室)[7]
5月22?23日:一家の5人の亡命
その後一家の最年少の少女と、日本人拉致事件被害者の横田めぐみの家族を、ホワイトハウスに招き会見するジョージ・W・ブッシュ米大統領(2006年4月28日)
日本側関係者への処分
川口順子外務大臣 - 給与20%・1月自主返納[10]
在瀋陽総領事館
岡崎清総領事 - 懲戒減給20%・1月、帰朝命令[10]
西山厚主席領事 - 訓戒、帰朝命令[10]
千葉宏二領事 - 訓戒[10]
馬木秀治副領事 - 厳重注意処分[10]
宮下謙副領事 - 厳重注意処分[10]
在中国日本大使館
阿南惟茂中国大使 - 厳重訓戒処分・給与20%・1月自主返納[10]
高橋邦夫中国公使 - 訓戒処分・給与10%・1月自主返納[10]
内局
竹内行夫事務次官 - 厳重訓戒処分・給与20%・1月自主返納[10]
北島信一官房長 - 訓戒処分・給与10%・1月自主返納[10]
田中均アジア大洋州局長 - 訓戒処分・給与10%・1月自主返納[10]
堀之内秀久中国課長 - 訓戒処分[10]
平松賢司北東アジア課長 - 厳重注意処分[10]
抗議
在日本大韓民国民団
同年5月13日に全国地方団長・傘下団体長会議を開催し、「中国瀋陽の日本総領事館亡命者連行事件の早期人道的解決を求める決議」を行い、日中両国政府に対し人道的解決を求めた[11]。
日本弁護士連合会
同年7月31日 、本事件が非人道的かつ難民条約等に反する違法行為であるとして、外務大臣宛勧告・内閣総理大臣宛要望をした[12]。
脚注[脚注の使い方]
注釈^ 要旨のみ。全文は日本国外務省>身元不明者による日本総領事館侵入に関する談話(外交部孔泉報道官)
出典^ ???? 5? ?? ????? ????
^ a b c d e f g h i j k (在瀋陽総領事館事件 2002)