濡れ
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この前進角と後退角の差 H = θA − θR を接触角のヒステリシスという[6]。固体表面が角度 α の傾斜面になっているとき、液滴にはたらく力の釣り合いより次の Furmidge の式が得られる[7]。 m g sin ⁡ α w = γ L G ( cos ⁡ θ R − cos ⁡ θ A ) {\displaystyle {\frac {mg\sin \alpha }{w}}=\gamma _{LG}(\cos \theta _{R}-\cos \theta _{A})}

ここで液滴は簡略化のため長方形であると仮定されており、w は液滴の幅である。

液滴が転落する最小の傾斜角 α を転落角と言う。上式から、前進・後退角の余弦の差が大きいほど転落角が大きく、液滴は転落しにくいことが分かる。便宜上接触角のヒステリシスが大きいほど転落しにくいと表現されることもある[注 1]
接触角の計測方法

液滴法
(英語版) (Sessile drop technique)

懸滴法 (The pendant drop method)

プレート法 (Wilhelmy method)

ウォッシュバーン法(英語版) (Washburn's equation capillary rise method)

メニスコグラフ法

ぬれの種類付着ぬれ  拡張ぬれ  浸漬ぬれ付着仕事の導出拡張仕事の導出浸漬仕事の導出

ぬれの形態は次の3つに分類される[8]
付着ぬれ
大きな固体に少量の液体が接することを付着ぬれという。液体が一定の形を保っている状態から、固体と液体を引き離すのに必要な仕事は、 W a = γ S G + γ L G − γ S L {\displaystyle W_{a}=\gamma _{\mathrm {SG} }+\gamma _{\mathrm {LG} }-\gamma _{\mathrm {SL} }} である。この式はデュプレの式[9]と呼ばれ、Wa を付着仕事という。
拡張ぬれ
液体が固体表面に拡がっていくことを拡張ぬれという。液体がぬれ広がっている状態から、ぬれていない状態にするのに必要な仕事は、 W s = γ S G − γ L G − γ S L {\displaystyle W_{s}=\gamma _{\mathrm {SG} }-\gamma _{\mathrm {LG} }-\gamma _{\mathrm {SL} }} である。Ws を拡張仕事または拡張係数という。Ws > 0であれば液体は表面エネルギーを減らすために無限にぬれ広がり、Ws < 0であればある接触角をなして不完全なぬれ状態となる[9]
浸漬ぬれ
固体全体が液体に浸りぬれることを浸漬ぬれという。固体が液体に浸かっている状態から、液体を退けるために必要な仕事は、 W w = γ S G − γ S L {\displaystyle W_{w}=\gamma _{\mathrm {SG} }-\gamma _{\mathrm {SL} }} である。Ww を浸漬仕事という。

各仕事が正のときに固体は自然にぬれることができる。ヤングの式をそれぞれの仕事の式に代入すると、

付着仕事: W a = γ L G ( cos ⁡ θ + 1 ) {\displaystyle W_{a}=\gamma _{\mathrm {LG} }(\cos \theta +1)}

拡張仕事: W s = γ L G ( cos ⁡ θ − 1 ) {\displaystyle W_{s}=\gamma _{\mathrm {LG} }(\cos \theta -1)}

浸漬仕事: W w = γ L G cos ⁡ θ {\displaystyle W_{w}=\gamma _{\mathrm {LG} }\cos \theta }

となるので、付着ぬれは0° < θ < 180°で、拡張ぬれはθ = 0°で、浸漬ぬれは0° < θ < 90°で起こる。
GirifalcoとGoodの式

GirifalcoとGoodはデュプレの式の付着仕事について、固体と液体それぞれの表面張力の幾何平均で表されるとした[10]: W a = 2 Φ γ S G γ L G {\displaystyle W_{a}=2\Phi {\sqrt {\gamma _{SG}\gamma _{LG}}}}

ここでΦは補正係数である。
表面構造によるぬれの変化
複合面Cassieモデル

Cassieは、2種類の表面で構成されている複合面の接触角について、以下の考えを提示した。ある液体に対して接触角がθ1 になる素材1とθ2 になる素材2で複合面をつくる場合を考える。液滴の大きさに比べて、素材一つ一つの十分に小さくよく混ざっている複合面ならば、界面張力は両素材の界面張力をその面積比で平均したものになると考えてよい。素材1単体での表面張力を γSG,1 、素材2単体での表面張力を γSG,2 、素材1と液体の界面にはたらく界面張力を γSL,1、素材2と液体の界面にはたらく界面張力を γSL,2 とし、複合面における両素材の表面積比を f1 : f2 (f1 + f2 = 1) とする。このとき、複合面としての表面張力 γSG 、液体との界面張力 γSL は、 γ S G = f 1 γ S G , 1 + f 2 γ S G , 2 γ S L = f 1 γ S L , 1 + f 2 γ S L , 2 {\displaystyle {\begin{aligned}\gamma _{\mathrm {SG} }&=f_{1}\gamma _{\mathrm {SG,1} }+f_{2}\gamma _{\mathrm {SG,2} }\\\gamma _{\mathrm {SL} }&=f_{1}\gamma _{\mathrm {SL,1} }+f_{2}\gamma _{\mathrm {SL,2} }\end{aligned}}}


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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