澪つくし
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モデルの一つとなっている千葉県の入正醤油は「澪つくし」というタイトルそのものの醤油を販売している[14]
評価

大正末期から終戦後の昭和にかけての激動の時代、醤油醸造家を舞台に、純愛を軸に描かれたストーリーが人気を博し、関東地区では、1985年の放送で最高視聴率55.3%、平均視聴率44.3%を記録する大ヒット作品となった(ビデオリサーチ調べ)[15]。また、ヒロインを演じた沢口の出世作となった。

朝日新聞2010年9月25日付のbeランキング「心に残る朝ドラヒロイン」アンケート結果では、沢口靖子が第4位だった。なお、第1位は樫山文枝(『おはなはん』)、第2位は田中裕子(『おしん』)、第3位は国仲涼子(『ちゅらさん』)。また、週刊ポスト2018年8月24日号の「最高の朝ドラヒロインを決めよう?ベスト30女優を大発表!」では、沢口は6位(同誌読者300人のアンケート)。
反響

ドラマには銚子電気鉄道や漁師町の外川などが登場していることもあり、ロケ地には、放送終了後も当時の番組の案内が設置されている。ヒゲタ醤油は、本作のモデルとされ、撮影協力を行った同社が運営する銚子市にある歴史資料館「ヒゲタ史料館」には沢口靖子ら出演者が同館を訪問した際の写真とサインが展示されている[16]

銚子電鉄がドラマの舞台として登場したことから、同社では自社の保有する鉄道線「澪つくし」号というトロッコ列車を運行していた。2009年4月時点では、安全面の配慮から運行はされていない[17]
エピソード

ラッパの弥太郎を演じた明石家さんまは、立っているだけのシーンにもかかわらず、リハーサルへの参加を強制されることに腹を立ててリハーサルだけではなく本番もサボった(実際のシーンではトイレに行っている設定として処理された)。さらに、出演することに嫌気も差してきたため「自分の役の人物を殺してしまおう」と脚本になかったが醤油樽の中に自ら落ちて自殺を図った(樽から引き上げられた後、脚本を担当した三木からは弥太郎のモデルは自分であることなどを打ち明けられるなど、コーヒー一杯で2時間あまり説教をされ、後に徐々に出演回数やセリフが減っていったという)。

撮影中にNGが出たときには大物共演者へは何の注意もなかったが、当時新人の沢口だけはディレクターから何度も叱責された。さんまが沢口の尻を触るシーンでは、沢口に配慮して最初触るふりだけをしていたのだが、沢口の演技に納得がいかないディレクターは本当に尻を触るように指示した。しかしそれでも納得がいかなかったため、最後には尻を掴むようさんまに指示、何テイクも撮り直しをしたこのシーンが最も大変だったとさんま本人が述べている[18]。その影響からか、さんまは本作以降30年ほど、NHKの番組へはほとんど出演しなかった[注 2]

本作の出演者には、のちの1987年大河ドラマ独眼竜政宗』に出演した俳優が非常に多い。沢口靖子が主人公・伊達政宗の長女(五郎八姫)役、桜田淳子が妻(愛姫)役、津川雅彦徳川家康役、村田雄浩鷲生功伊達家家臣役などである(なお、脚本も本作と同じくジェームス三木であり、語りも同じく葛西聖司アナウンサーであった)。詳細は独眼竜政宗の登場人物を参照。

醤油屋を舞台とした本作で演出を担当した西村与志木は、8年後の1993年放送の連続テレビ小説第50作『かりん』で初めて連続テレビ小説の制作統括を担当した際に、作品の舞台として老舗の味噌屋を選んでいる[19]
あらすじ

大正15年(1926年)、銚子の浜で画家の絵のモデルをしていた銚子高女の女学生・かをる(沢口靖子)は、たまたま通りかかった青年漁師・惣吉(川野太郎)に指に刺さったとげを抜いてもらい、乙女心に淡いときめきを覚える。このことがきっかけとなり、やがて相思相愛の間柄になったかをると惣吉だったが、二人の前には双方の家の壁が立ちはだかる。

当時、醤油屋と漁師とは犬猿の仲であり、の子とはいえ、銚子でも屈指の醤油醸造元「入兆」の当主・坂東久兵衛(津川雅彦)を父に持つかをると、何人もの漁師を抱える外川の網元・吉武一家の総領である惣吉とが一緒になることなど、到底考えられなかったからである。

「坂東家の娘として嫁に出してやりたい」という久兵衛の愛情から、卒業と同時に正式に認知されたかをるは「入兆」に引き取られ、時を同じくして和歌山から銚子へ移ってきた本妻や異母姉弟達と、同じ屋根の下で暮らすことになる。だが嫁入りのための行儀見習いという名目で、かをるを女中同然に扱い、何かにつけつらく当たる女中頭のハマ(根岸季衣)や、気まぐれで何を考えているかわからない異母姉・律子(桜田淳子)に振り回され、時として涙する日々が続く。

半年後、辛い行儀見習の日々を経て、名実共に「入兆」の娘として扱われるようになったかをるの元に縁談が持ち込まれる。ところが、諦めつつも絶ち切れない惣吉への未練を察した律子の策略で破談となり、これによってかをるは久兵衛に惣吉のことを打ち明ける羽目になる。烈火のごとく激怒し聞く耳を持たない久兵衛や、事情を知らない周りの者達からの中傷に耐え切れなくなったかをるは、ついに「入兆」を飛び出し実母・るい(加賀まりこ)の元へ身を寄せる。しかし、ある日ふいに訪ねてきた久兵衛の言葉に、娘に対する父親の愛情と、それがうまく噛み合わないことへの苦悩や寂しさを感じ取り、「入兆」へ戻る決心をする。

再び「入兆」で暮らしはじめたその矢先、今度は、かをるの正直な気持ちを知った惣吉が「入兆」へ訪れ、久兵衛にかをるとの結婚の承諾を申し込む。しかし久兵衛は頑として会おうとせず、意を決した惣吉は来る日も来る日も、ずっと坂東家の門の前に立ち続ける。そんなある日、かをるは律子が起こした思想犯への密通事件に巻き込まれて投獄され、警察の厳しい取り調べを受けることとなり、更にはそれが新聞沙汰にまでなってしまう。

律子のことは最後まで口をつぐみ、濡れ衣を着せられたまま釈放されて戻ってきたかをるは、すでに事の真相を知って頭を下げる久兵衛に、涙ながらに「ひとりだけ本当のことを話したい人がいる」と懇願する。それでも首を縦に振らない久兵衛だったが、惣吉の母・とね(草笛光子)に助言を受けたるいの説得もあって考えを変え、ある日突然かをるに勘当を言い渡す。一連の出来事で惣吉の人柄やお互いの一途な思いを知り、「入兆の娘」という立場から解放してやることで、事実上、惣吉との結婚を認めるという、久兵衛の苦渋の決断だった。

こうして、さまざまな困難を乗り越えて無事祝言を挙げ、正式に網元の親方を継いだ惣吉と新妻・かをるは、待望の新婚生活をスタートさせる。だが、かをるの波乱万丈な人生はこれからであった。浜での暮らしや人々に溶け込んでいく一方で、可愛がってくれた叔父である高神村村長と地元漁師たちとの間に勃発した騒擾事件に始まり、最愛の夫・惣吉の絶望的な状況下での遭難、そして惣吉とのことを完全にふっ切れないままでの再婚と、わずか数年の内に、かをるの人生は激しく流転していく。

惣吉の遭難から日にちが経ち、遺体が見つからないまま執り行われた葬式では、利根川丸の漁師達が無念さのあまり、弔問に訪れた久兵衛に筋違いな怒りをぶつけてこぜり合いが始まる。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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