潜入捜査官
[Wikipedia|▼Menu]
□記事を途中から表示しています
[最初から表示]

このため憲法裁判所による同党の結社禁止手続が中止に追い込まれた[18]。詳しくは記事"ドイツ国家民主党の結社禁止措置(ドイツ語版)"を参照。
オランダ

オランダでは刑事訴訟法(オランダ語版)(Wetboek van Strafvordering)[19] において、「合理的な嫌疑(英語版)」がある場合、潜入捜査、情報提供者の運用、秘密捜査等の「特別な捜査の権限」(: Bijzondere bevoegdheden tot opsporing)を捜査員に与えると規定している[20]
リスク

秘密任務に携わるエージェントにとって大きな影響を与える可能性のある問題が主に2つ存在する。1つは、親しい者や捜査関係者との人間関係の維持("maintenance of identity")について、もう一つは通常任務に戻る際に関する問題である。
人間関係

捜査員が全く別の環境で二重生活を続けることは多くの問題を惹起する。隠密捜査は特殊な任務を請け負う捜査官といえども非常にストレスの多い捜査の一つである[21]

このうち判明しているストレスの最大の原因は、捜査員が友人や家族、そして通常の環境から離れて任務を行うことにある。このような些細な離別であっても抑うつや不安を招き得る。捜査員の離婚率に関するデータは存在しないが、人間関係についての大きな障害となっているのは事実である[22]。業務の秘匿性が必要とされること、そして仕事上の問題を同居者に打ち明けることができない結果このようなことが起きる可能性がある。なおかつ予定を立てることが出来ないほどの突発的な仕事のスケジュール、個人の性格や生活様式を無理やり変更するよう迫られること、長期間の別居の状態に置かれることは人間関係に全くもって悪影響を及ぼす結果となる[22]

捜査員のストレスは、捜査の方向性の明確な欠如、言い換えればいつ終わるか分らない捜査活動が原因で生じることもある。入念な計画立案、リスク、少なからぬ自己犠牲などは捜査を成功させようとする捜査員の重圧となり、のちに相当のストレスを招く可能性がある[22]。秘密捜査員が直面するこのようなストレスは、彼らとは対照的に通常任務に携わる捜査員とは決定的に違う。と言うのも通常の任務に携わる捜査員のストレスの主たる原因となるものは、管理部門と官僚機構だからである[23]。秘密捜査員は通常官僚機構から遠ざけられているため、場合によってはそれ以外の捜査員とは全く別の問題を生じる。彼らは制服、記章、決まった一定の上司などによる定常的な監督下にはないが故に、逆に固定された職場が与えられたり、もしくは(頻繁に)決まりきった仕事に携わる場合では、組織犯罪との恒常的な関わりも相まって、汚職の可能性が高まるとの説もある[24]

一部の捜査員はこのようなストレスが引き金となって薬物乱用アルコール乱用を引き起こす可能性がある。彼らはその他警察官と比べ夥しいストレスにさらされ、自身は孤立しており、加えてドラッグなどを容易に手に入れられる環境にあるために、ともすれば彼らが薬物依存症に陥ってしまうのである[25]。その他多くの職業に比べ、一般に警察官の多くはアルコール依存症を患うものが多いとされ、おおよそその原因はストレスであると言及される[25][26]。捜査員が職務を行う環境は、何かにつけて酒類に触れることを余儀なくされ[1]、ストレスや孤立感も伴うことで結果的にアルコール依存症を誘発する可能性が高くなる。

ある捜査対象者が捜査員を信頼するに至ったとしても、捜査の遂行によりその信用を裏切る場合もある。この結果、捜査員はいくばくか良心の呵責に苛まれることとなる。このような罪悪感は捜査対象者への気遣いや、または非常に稀なケースではあるが、彼らへの同情心すらも思い起こさせる可能性もある[27]。政治的志向を持つ組織への潜入活動の場合、社会階層年齢層民族性、または宗教観といった潜入対象組織の有する性格を捜査員が熟知しなければならないケースがあるというのは当然と言えるが、この場合先述のケースが特に当てはまる。そしてこのような同情心が捜査員の一部を翻意させることにもなり兼ねない[28]
通常任務への復帰

秘密捜査員が送る生活様式というのは、他領域の法執行職員と比較して大変異なっており、このことが通常任務に戻るのを非常に困難にさせている。秘密捜査に携わる職員の勤務時間は自由裁量であり、彼らは直接の指揮監督下からは遠ざけられており、場合によっては服装規則や儀礼規則の遵守を免ぜられる[29]。このため、彼らを通常の警察任務に再び落ち着かせるには以前の捜査活動での癖や言葉遣い及び服装などの各習慣を捨てさせる必要がある。今まで自由な生活習慣のもと職務を行ってきたが為に、捜査員の復帰直後は規律上の問題を起こしたり、または神経質な反応の兆候を示す場合もある。彼らは不快に思うだろうし、かつ場合によっては冷笑的な態度を取ったり、疑心暗鬼に陥り、または偏執的なものの見方をするようにさえもなり、警戒心を絶やさなくなるケースもある[30]


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:64 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef