漸化式
[Wikipedia|▼Menu]
つまり、母函数に先の多項式を掛け合わせれば b n := a n − c 1 a n − 1 − c 2 a n − 2 − ⋯ − c d a n − d {\displaystyle b_{n}:=a_{n}-c_{1}a_{n-1}-c_{2}a_{n-2}-\cdots -c_{d}a_{n-d}}

が xn の係数となり、これは特に n ≥ d のとき(漸化式によって)0 となる。したがって、 ( a 0 + a 1 x 1 + a 2 x 2 + ⋯ ) ( 1 − c 1 x 1 − c 2 x 2 − ⋯ − c d x d ) = ( b 0 + b 1 x 1 + b 2 x 2 + ⋯ + b d − 1 x d − 1 ) {\displaystyle (a_{0}+a_{1}x^{1}+a_{2}x^{2}+\cdots {})(1-c_{1}x^{1}-c_{2}x^{2}-\cdots -c_{d}x^{d})=(b_{0}+b_{1}x^{1}+b_{2}x^{2}+\cdots +b_{d-1}x^{d-1})}

が成立し、両辺を割り算すれば a 0 + a 1 x 1 + a 2 x 2 + ⋯ = b 0 + b 1 x 1 + b 2 x 2 + ⋯ + b d − 1 x d − 1 1 − c 1 x 1 − c 2 x 2 − ⋯ − c d x d {\displaystyle a_{0}+a_{1}x^{1}+a_{2}x^{2}+\cdots ={\frac {b_{0}+b_{1}x^{1}+b_{2}x^{2}+\cdots +b_{d-1}x^{d-1}}{1-c_{1}x^{1}-c_{2}x^{2}-\cdots -c_{d}x^{d}}}}

という母函数の有理式表示を得る。

分母 xdp(1/x) は特性多項式を変換したもの(あるいは同じことだが、係数の順番を逆順にしたもの)である。これに何かを掛けたものを使うこともできるが、特性多項式から簡単に求められて、b0 = a0 となるように正規化してある。
狭義の差分方程式との関係

実数列 (an)n=1∞ が与えられたとき、この数列の第一階差 (first difference) Δ(an) は Δ ( a n ) := a n + 1 − a n {\displaystyle \Delta (a_{n}):=a_{n+1}-a_{n}}

で与えられ、第二階差 (second difference) Δ2(an) が Δ 2 ( a n ) := Δ ( a n + 1 ) − Δ ( a n ) {\displaystyle \Delta ^{2}(a_{n}):=\Delta (a_{n+1})-\Delta (a_{n})}

あるいは簡約化して Δ 2 ( a n ) := a n + 2 − 2 a n + 1 + a n {\displaystyle \Delta ^{2}(a_{n}):=a_{n+2}-2a_{n+1}+a_{n}}

で与えられる。もっと一般に、数列 (an) の第 k-階差 (kth difference) Δk(an) が Δ k ( a n ) := Δ k − 1 ( a n + 1 ) − Δ k − 1 ( a n ) {\displaystyle \Delta ^{k}(a_{n}):=\Delta ^{k-1}(a_{n+1})-\Delta ^{k-1}(a_{n})}

で帰納的に定義される。狭い意味での差分方程式とは数列 (an) およびその各階の階差数列との間に成り立つ等式のことをいう。広い意味では「差分方程式」を「漸化式」と同義に用いる(たとえば有理差分方程式(英語版)および線型差分方程式を参照)。

線型漸化式は狭い意味での差分方程式であり、逆もいえる。それはこれらが単純かつ共通した形の再帰性をもつからであり、文献によっては両者を逆に呼んでいるものもある。たとえば差分方程式 3 Δ 2 ( a n ) + 2 Δ ( a n ) + 7 a n = 0 {\displaystyle 3\Delta ^{2}(a_{n})+2\Delta (a_{n})+7a_{n}=0}

は、漸化式 3 a n + 2 = 4 a n + 1 − 8 a n {\displaystyle 3a_{n+2}=4a_{n+1}-8a_{n}}

と同値である。よって、多くの漸化式は差分方程式として読み替えて解くことができるし、差分方程式ならば常微分方程式の解法と類似の手法で解くことができる。しかし、アッカーマン関数などは差分方程式に直すことが非常に困難であり、微分方程式の観点から得られるものは少ない。

このような微分方程式に対する微分方程式論の一意化については時間尺度微分積分学を参照せよ。

微分方程式に対をなすように積分方程式が考えられるのと同様、差分方程式の対となる和分方程式が考えられる。
格子点と多重数列


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:78 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef