ハーバード大学のアラン・ウォーカー博士は、善玉菌を多く摂取するために、味噌、漬物、ヨーグルトなどの発酵食品を食生活の一部にすることは、非常に良いことだと考えている。ただし、酢を使った漬物は善玉菌の増殖を妨げる[11]。 IARC発がん性リスク一覧では、「アジア式野菜の漬物 (Pickled vegetables (traditional in Asia) )」が、Group2B(ヒトに対する発癌性が疑われる(Possibly Carcinogenic)、化学物質、混合物、環境)としてとりあげられている。アジア式野菜の漬物とは、中国、韓国、日本の伝統的な漬物を意味しており、低い濃度のニトロソアミン等が検出されている[12]。 使用する調味料や漬物床によって、例えば塩漬け、味噌漬け、糠漬け、粕漬けなどさまざまな漬け方がある。漬ける目的は、保存、風味付け、調味の3つが主たるものである。漬ける時間は、数分から数十年にも及ぶものまである。長期間にわたって漬ける場合には、発酵を利用する場合が多い。食卓にそのまま上る最終的な調理技法としても用いられるが、下拵えの技法としても多用される。
悪性腫瘍
国立がん研究センターの調査では、漬物をたくさん食べる人の胃癌の発生率は、高くも低くもならなかったとの報告があるものの、漬物は塩分を多く含むため胃癌の危険因子だといわれており、胃癌を予防するためには、漬物以外の新鮮な野菜の摂取が望ましいとしている[13]
亜硝酸塩
野菜類に主に肥料由来の硝酸塩、亜硝酸塩が多く含まれることがある。詳細は「亜硝酸塩#毒性について」を参照
衛生管理
日本では漬物による食中毒が相次いだことから食品衛生法の改正が行われ、2024年までを目途に漬物製造業は登録制から営業許可制に改められた。以前は、農家が道の駅や農産物直売所など販売ができた漬物であったが、基準に沿った製造施設や食品衛生責任者の設置などが必要となり、製造販売から撤退する農家が相次いだ[14]。
漬ける方法「漬け方一覧」を参照
期間
数日しか漬けていないものは「一夜漬け」「新漬」と呼び、それ以上の場合は「古漬」「ひね漬け」という。
代表的な漬物
日本の漬物
赤かぶ漬
あちゃら(アチャラ、阿茶羅)漬
浅漬(一夜漬け)
いぶりがっこ
梅干し
柴漬
青菜漬け
山海漬
塩ウニ・塩数の子・塩鮭(新巻鮭)
すぐき(すぐき漬)
すんき漬け-生産量は少ない物の無塩で漬けられる珍しい漬物
千枚漬け
沢庵漬け
高菜漬け
たまり漬け
壺漬け
奈良漬け(奈良漬)
鉈漬
野沢菜漬
鰊漬け
糠ニシン・糠サンマ・糠ホッケ
広島菜漬
福神漬
古漬け
愛知県あま市には、日本に唯一漬物の神としてカヤノヒメを祭った萱津神社がある。毎年8月21日には「香の物祭」が催され、全国の漬物業者が参詣する[15]。
漬物組合では毎月21日を「漬物の日」と定めている。
脚注[脚注の使い方]
注釈^ 香(こう)は味噌のことを指す。
^ 「雅香」の訛り。
出典^ 小泉武夫『漬け物大全』鈴木哲、2017年10月10日、17頁。
^ 意匠分類定義カード(C5)