他の職業と比べると引退したのかどうかが曖昧になりやすく、長期に亘って新作を発表していなかった漫画家でも突然新作を発表することがあるため、引退したことを明言している場合を除いて、引退したかどうかの判断が難しい。ただし、岡崎京子のように今後、漫画家として活動できる見込みがない状態の者や、10年以上も新作を発表していなかった漫画家は本格的に活動を再開することは稀であるため、事実上引退したと言える。一方で、引退を明言している漫画家であっても、現役時代に発表した作品の再販などでイラストを描き下ろすこともある。
一部の歌手など、有名人の中には素顔を公表していない者もいるが、漫画家は知名度の高い者でも素顔を公表していない場合が少なくなく、過去に素顔を公表していた者でも途中から非公開に切り替える場合もある。漫画家のさくらももこは2018年に死去したが、葬儀に使用された遺影は自画像であった[3]。
公的な証明ではないが、日本漫画家協会では会員に写真入りの身分証を発行しており、これを漫画家の証明としている[4]。 アメリカン・コミックスにおいては、大手の漫画出版社による漫画作品の場合、ライター(スクリプト)、ペンシラー(下書き バンド・デシネにおいては、長編の漫画作品においても全ての作業を1人で行うか、シナリオと作画、場合によっては彩色を担当するものに別れて2、3人程度で制作を行うのが一般的である。フランス語圏では漫画家はデシナトゥール・ド・バンド・デシネ(バンドデシネの画家)やオトゥール・ド・バンド・デシネ(バンドデシネの著者)のように言い表され、「漫画家」「コミック・アーティスト」「カトゥーニスト」のように特有の名詞で表すことはされない。 漫画家やアシスタントは長時間座って作画作業を行う典型的な座業であり、その作業上利き腕や目を酷使するため、職業病として腰痛・腱鞘炎・書痙・近視などを発症する者が少なくない。また、多忙などから治療を疎かにした場合などには往々に深刻な状態に陥り、これら(特に腰痛)によって長期休業を余儀なくされたり、最悪の場合には引退(廃業)に追い込まれる者もいる。長時間のデスクワークでの運動不足かつネームや締め切りのストレス、不規則な睡眠時間や食生活等に陥る漫画家・アシスタントも多く、中年で過労死・突然死する短命な漫画家もいることからもわかるように、不健康な生活習慣になりがちな職業でもある。また、吾妻ひでお、鴨川つばめ、桜玉吉、山田花子、ねこぢる、田中圭一など、精神的な病を抱える者もいる。 週刊連載では漫画家・アシスタントだけでなく、編集業務を行う編集者も多忙を極める職業で、集英社入社以来週刊少年ジャンプ編集部7代目編集長・高橋俊昌が2003年に東京湾内の船上で行われていた同誌『ONE PIECE』のアニメ映画『ONE PIECE THE MOVIE デッドエンドの冒険』の製作発表会見の席でクモ膜下出血を発症して倒れ、突然死した例もある[5]。
アメリカン・コミックス
バンド・デシネ
漫画家の職業病
脚注[脚注の使い方]
注釈^ 「Mangaka(マンガカ)」は「漫画化」と混同されるおそれもある。