漢籍
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江戸時代の各藩などが学問ために漢籍を収集しており、その蔵書は明治時代に設立された書籍館から帝国図書館に受け継がれた。明治12年(1879年)、漢学者の岡千仞が幹事に就任した後から、漢籍の収集、受け入れが積極的に行われた。国学者の榊原芳野や公卿醍醐忠順から寄贈された和刻本等の受け入れ、京都円光寺からは仏書・漢籍・朝鮮本が購入された。さらに東京帝国大学教授の服部宇之吉清国並びに周辺国で、明治33年(1900年)から新刊購入を行うなど、国費による新刊の収集も進み、現在の国立国会図書館所蔵「漢籍」の大半が明治時代に形成された。

唐本 - 以前に刊行された古典籍。

和刻本 - 古鈔本(古写本)を覆刻・翻刻して、日本国内で新たに出版した漢文の書籍。書写本と和刻本がある。

安南本 - ベトナムで出版された書籍。例として『大越史約』などがある。

朝鮮本 - 李氏朝鮮時代まで朝鮮半島で刊行された漢文の書物。

出版技法による分類

漢籍は印刷方法により、次のような種類に分けられる。

刊本 - 木版印刷によるもの。多くの漢籍がこれに属する。刻本・版本とも言う。

鈔本(抄本) - 手書きによって書き写された本。写本

活字印本 - 古活字によって印刷されたもの。古活字には泥活字・錫活字・木活字・銅活字・磁活字がある。

石印本 - リトグラフ。薬品入りの墨で紙に手書きし、それを石版に転写して印刷した本。清末民初に流行した。

排印本 - 近代活字によって印刷されたもの。装幀は線装も洋装も、どちらも存在する。特に鉛活字のものを鉛印本と呼ぶ。

いったん出版された本を複製する場合には次のような用語が使われる。

景刊(えいかん) - 底本を版木にかぶせ彫りして印刷したもの。原寸大で字体・字数など全く同じもの。

景照(えいしょう) - 底本を写真撮影し、それをとじ合わせ本にしたもの。学術利用が主である。

景印(えいいん) - 底本を写真撮影してオフセット版などを作り、それを大量印刷したもの。縮小・拡大印刷することができ、洋装本のかたちで出版されることが多い。影印とも書く。

装幀による分類

漢籍は装幀法により、次のような種類に分けられる。

巻子本 - いわゆる
巻物

帖装本 - 折子本とも。いわゆる折り本

龍鱗装 - 巻子本と冊子本の中間形態で、紙の両面に字を書き、前葉の裏に少しずつずらして貼り付けたもの。書物全体は巻物と同じように巻くことができるが、紙をめくって見られる。故宮博物院蔵の『王仁?刊謬補欠切韻』(完本王韻)によって知られる[6]

冊子本 - いわゆる

蝴蝶装本 - 粘葉装とも。紙を二つ折りして重ね、折り目部分を背にして糊付けしたもの。

列帖装本 - 綴葉装とも。数枚の紙をまとめて二つ折りし、折り目部分に穴を開けて糸で綴ったもの。日本独自の装幀法。

包背装本 - いわゆるくるみ表紙。紙を二つ折りにして重ね、折り目部分を下綴じの後、一枚の表紙でくるんで表・背・裏全体に糊付けしたもの。『永楽大典』『四庫全書』がこの装幀方法をとる。

線装本 - 袋綴本とも。いわゆる和綴。紙を二つ折りにして重ね、折り目と反対側を下綴じの後、表紙で挟んで糸で綴じたもの。

明朝綴 - 四つ目綴。

朝鮮綴 - 五つ目綴。

康熙綴 - 六つ目綴。



脚注[脚注の使い方]
注釈^ 「かんじょ」と読むと歴史書の『漢書』を指す。
^ 各国で糸の綴じ方が違い、日本のものを和装本と言う。

出典^ 武田(2008)。
^ 京都大学人文科学研究所附屬漢字情報研究センター編(2005)
^ 武田(2008) p.9
^ 王 2022, p. 156.
^ 王 2022, p. 154.
^ ““??装”的?制”. 故宮博物院. 2016年3月6日時点の ⇒オリジナルよりアーカイブ。2016年2月25日閲覧。

参考文献

京都大学人文科学研究所附屬漢字情報研究センター 編『漢籍目録:カードのとりかた』朋友書店、2005年。.mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}ISBN 9784892811067。 

武田時昌 著「総説 漢籍の時空と魅力」、京都大学人文科学研究所附属漢字情報研究センター 編『漢籍はおもしろい』研文出版〈京大人文研漢籍セミナー 1〉、2008年。


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