漢字
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日本では漢委奴国王印古墳時代稲荷台1号墳に埋蔵されていた鉄剣の銘文が、日本における初期の漢字事例とされており[17][18][19]、また近年の研究で、朝鮮半島を経由して伝来した文字・使用方法が存在する可能性が指摘されている[20][21][18]

現在、漢字は、中国(中華人民共和国)・台湾(中華民国)・日本(日本国)で日常的に、韓国(大韓民国)・シンガポールなどで限定的で用いられている。しかし、20世紀後半の各国政府の政策で漢字を簡略化したり使用の制限などを行ったりしたため、現在では、これらの国で完全に文字体系を共有しているわけではない。

また、北朝鮮ベトナムのように、漢字使用を公式にやめた国もある。しかし、漢字は使わなくなっても漢字とともに流入した語彙が各言語の語種として大きな割合を占めている。

漢字音は地域・時代によって変化する。しかしながら、淵源となる中古音から各地域の音韻変化に従って規則的に変化しているため、類推可能な共通性を持っている。また地域により発音が違う場合でも同じ字で表すことができるため、国境を越えて漢字を使った筆談でコミュニケーションを取ることもある。字形の複雑さから、手書きする場合には、書き間違いや省略などによって字体は少なからず変化してきた。そうして変化した字体のうち、ある程度の範囲に定着した俗字が各国において正字に選ばれ、字形にわずかな差異が見られる場合がある。また地域音や地域特有の字義を表すための国字方言字異体字も多く作られてきた。
漢字の数

中国語音節の数は、現代普通話の場合、声調の組み合わせを考えても1,600種未満であり、音節文字であれば、これだけの文字種があれば足りる計算になる。しかし、同音異義の語を、部首をつけるなどの手法を用いて区別する漢字は、5,000種前後が同時代的に使用されてきた。これに、時代の変遷による字体の変化、同じ字音、字義を表す異体字、地域変種などを加えて整理すると、簡単に1万を越す漢字が集まることになり、歴代字書は時代が下るにつれて多くの漢字を集め、1994年の『中華字海』に至っては85,568字を収録している。ただし、ほとんどの文字は歴史的な文書の中でしか見られない使用頻度の低いものである。研究によると、中国で機能的非識字状態にならないようにするには、3,000字から4,000字の漢字を知っていれば充分という[22]

一般に非文明化部族の言語語彙が多すぎて整理されていない傾向にあり、漢字は発生当時の時代の非合理性をそのまま引き継いでしまったという批判がある[23]。このように近代以降、異体字を整理したり使用頻度の少ない漢字の利用を制限しようとする動きは何度もあったが、現在でもその数は増え続けている[注釈 1]。常に新しい字が創作されるため、過去から現在に至る過程で、どれだけの数の漢字が作られたかは明確ではない。たとえば、既存の中で考慮される漢字がない何かしらの意図を表現するために、新しい種類が作られてきた。漢字の理論とは万人に開かれたもので、適当と思われれば新たな漢字をつくる事が誰にでもできる。しかしながら、このように発明された漢字は、公的に認められた一覧からはしばしば除かれて行く[24]。以下に、主要な歴史的中国語辞典(字書)が採録した漢字数を表す。

中国語辞典に記された漢字の数[25][26]年辞書名漢字数
100説文解字9,353
543玉篇12,158
601切韻16,917
997龍龕手鑑26,430
1011広韻26,194
1039集韻53,525
1208五音篇海54,595
1615字彙33,179
1675正字通33,440
1716康熙字典47,035
1916中華大字典(英語版)48,000
1989漢語大字典(第一版)54,678
1994中華字海85,568
2001異體字字典(正式一版)105,982
2010漢語大字典(第二版)60,370
2014漢字海102,447
2024異體字字典(正式七版)106,303

コンピュータで処理するための文字集合では、Unicode 13.0が92,856字以上を[注釈 2]、日本の企業のソフトウェア今昔文字鏡』が(漢字以外の文字も含むが)約16万字を[28]収録するなど、さらに多くの漢字を集めているものもある。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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