漢字
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→字音
漢字(かんじ)は、中国古代の黄河文明で最初に発祥した表記文字。四大文明で使用された古代文字のうち、現用される唯一の文字体系である[12][13]。また最も文字数が多い文字体系であり、その数は約15万字に上る。古代から周辺諸国家や地域に伝わり漢字文化圏を形成し、言語のみならず文化上に大きな影響を与えた。
現代では中国語、日本語、朝鮮語(韓国語)、広西の東興市にいるジン族が使用するベトナム語の記述に使われる。現在、朝鮮語ではほとんど使用されなくなっている。20世紀に入り、漢字文化圏内でも中国語と日本語以外は漢字表記をほとんど廃止したが、なお約15億人が使用し、約50億人が使うラテン文字についで、世界で2番目に使用者数が多い文字体系である[14]。 ラテン文字に代表されるアルファベットが1つの音価を表記する音素文字であるのに対し、漢字は一般に、それぞれが個別の意味を持ち音節に対応している形態素である[15]。しかし現代中国語の単語は、大部分が2つ以上の漢字を組み合わせたものになっている[16]。 本来、1字が一義を表すことだけを重視して表意文字としてきたのだが、これは古代中国語の1音節が1つの意味を表す孤立語的な言語構造に由来するのであって、正確には音と意味両者を表記する表語文字である。つまり、1字が1語を表しているのである。このような漢字の特徴から伝統的な文字学では漢字を形・音・義の3要素によって分析してきた。 しかし、1つの音の持つ語が派生義を生んで、1字が複数の(まったく正反対の、あるいは無関係で一方の字義からは想像することはできないような)字義を持っていたり、読みが変わって、複数の字音を持っていたりする場合もある。また、外来語を表記する場合など、単純に音を表すために作られた漢字もあり、字義を持たない場合もある。字義の有無を問わず、1音節を表す文字という点において音節文字である日本語の仮名とは近い関係にある。 日本、朝鮮、琉球王国、ベトナムは、古代中国から漢字を輸入して使用した。また、シンガポール、マレーシアのように、中国から移住した人たちが多く住み、漢字を使用している地域がある。これらの漢字を使用する・していた周辺諸国を包括して漢字文化圏と呼ぶ。 日本では漢委奴国王印や古墳時代の稲荷台1号墳に埋蔵されていた鉄剣の銘文が、日本における初期の漢字事例とされており[17][18][19]、また近年の研究で、朝鮮半島を経由して伝来した文字・使用方法が存在する可能性が指摘されている[20][21][18]。 現在、漢字は、中国(中華人民共和国)・台湾(中華民国)・日本(日本国)で日常的に、韓国(大韓民国)・シンガポールなどで限定的で用いられている。しかし、20世紀後半の各国政府の政策で漢字を簡略化したり使用の制限などを行ったりしたため、現在では、これらの国で完全に文字体系を共有しているわけではない。 また、北朝鮮やベトナムのように、漢字使用を公式にやめた国もある。しかし、漢字は使わなくなっても漢字とともに流入した語彙が各言語の語種として大きな割合を占めている。 漢字音は地域・時代によって変化する。しかしながら、淵源となる中古音から各地域の音韻変化に従って規則的に変化しているため、類推可能な共通性を持っている。また地域により発音が違う場合でも同じ字で表すことができるため、国境を越えて漢字を使った筆談でコミュニケーションを取ることもある。字形の複雑さから、手書きする場合には、書き間違いや省略などによって字体は少なからず変化してきた。そうして変化した字体のうち、ある程度の範囲に定着した俗字が各国において正字に選ばれ、字形にわずかな差異が見られる場合がある。また地域音や地域特有の字義を表すための国字・方言字や異体字も多く作られてきた。 中国語の音節の数は、現代普通話の場合、声調の組み合わせを考えても1,600種未満であり、音節文字であれば、これだけの文字種があれば足りる計算になる。しかし、同音異義の語を、部首をつけるなどの手法を用いて区別する漢字は、5,000種前後が同時代的に使用されてきた。これに、時代の変遷による字体の変化、同じ字音、字義を表す異体字、地域変種などを加えて整理すると、簡単に1万を越す漢字が集まることになり、歴代の字書は時代が下るにつれて多くの漢字を集め、1994年の『中華字海』に至っては85,568字を収録している。
概要
漢字の特徴
漢字を輸入した国と、現在の使用状況「漢字廃止論」、「漢字復活論」、および「日本における漢字」も参照漢字文化圏における主な言語での「漢字文化圏」「東アジア文化圏」という概念の言い方と書き方
漢字の数