演奏家
[Wikipedia|▼Menu]
□記事を途中から表示しています
[最初から表示]

これに伴って、多くの人々に楽曲が持つ芸術性を伝えると同時にそれを生み出す演奏技巧を誇示することを専門とする人々も現れ、作曲者と演奏者の分離が図られた[注釈 1]

演奏者は目に見えない楽曲を出来るだけ客観的な図式の形で表現した楽譜[注釈 2]を元にしてその作品の持つ芸術性を正当に再現することが求められる。そのためには、楽譜を音として実現する技能(楽器を扱う能力に留まらず、表現の統制能力や音楽性も必要とされる)とその作品の精神性・芸術性を理解して表現する能力が求められる。ただし、作曲者による創作の追体験が不可能である以上、演奏者自身が楽譜から作曲者の意図を読み解く必要性があり、それによって複数の作品に対する「解釈」が生み出される可能性が存在するし、演奏家自身が持つ個性によって実際に演奏される楽曲に微妙な変化が加えられる場合もある。

楽器の即興演奏が一般的でモーツァルトベートーヴェンに代表されるように作曲者が演奏を兼ねることが珍しくなかった18世紀までと違い、19世紀になると演奏を専門とするものが現れ、中期から後にかけては先人の曲を優れた演奏技巧で再現する「大演奏家」が出現するようになった。ピアノにおけるフランツ・リスト(彼は作曲者としても名声があるが)はその代表的な人物であった。だが、演奏技術への過度の評価は、19世紀の末になると大演奏家による主観的な解釈による楽曲自体の改変すら許容されるようになった。20世紀に入るとこうした演奏者の振舞いに対する批判から、即物主義の客観的演奏様式が生み出されるようになり、作品への忠実さが重んじられるようになる。今日において作品に対して忠実的かつ客観的な演奏態度が主流派となる一方で、前衛音楽の世界では作曲者が演奏者による自由な演奏態度を許容して作品に新たな芸術的可能性を付与させようとする動きが見られ、更に録音技術の発達によって演奏会に直接赴かなくても、場合によっては聴衆の誕生前に死去して直接聴くことが不可能となった演奏家の演奏を間接的な手段で聴くことが可能となるなど、演奏を巡る多様化が進んでいる。
脚注[脚注の使い方]
注釈^ ただし、今日においても即興演奏が全く行われなくなった訳ではない。
^ ただし、それを100%表現することは困難で不完全な指示力しか有しない。

参考文献

渡辺護「演奏」(『標準音楽辞典 ア-テ』(音楽之友社、2008年) ISBN 978-4-276-00007-0

関連項目

音楽家










音楽
西洋音楽史

古代

古代ギリシア

古代西洋

中世西洋

ルネサンス

バロック

古典派

ロマン派

近代音楽

現代音楽

地域別の動向


西洋音楽年表

作曲

作曲家

編曲家

楽式

記譜法

楽譜

歌詞

作詞

音楽理論

リズム

拍子

シンコペーション

メロディ

音名・階名表記

音程

音階

音律

旋法

対位法

和声

非和声音

テンション

セクションの書法

ポピュラー和声

調

関係調

限界

無調


演奏

音楽家

演奏者

歌手

指揮者

オーケストラ

吹奏楽

バンド

調律

ソルフェージュ

絶対音感

固定ド

相対音感

移動ド

即興演奏

演奏会

ライブハウス

カラオケ

PA

音響機器


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:38 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef