演劇が台本そのままではなく、観客の目の前で行われることで成立する性質は演劇の現前性(presence)と呼ばれる[12]。演劇を収録したビデオは演劇そのものではなく演劇の記録作品とされる[12]。ウィリアム・シェイクスピアの作品は世界中で上演されているが、同じ台本であっても解釈が異なれば別の作品となる[12]。ウィリアム・シェイクスピアやジャン・ラシーヌの作品を特設スタジオで映画製作の手法で記録した作品もあるが、これらは演劇とは異なる新しい形態の映像芸術とみなされている[12]。
また、演劇は映画のように複製的機械的に繰り返されることができない「一回性」の芸術である[1]。毎回の舞台は微妙に違い、同じ芝居は二度とないことから、演劇の本質的一回性とも呼ばれている[1][12]。
演劇の上演シチェチンの夏の劇場, ポーランド
古典歌舞伎などの場合は、セリフや動きが型にはまっており、幼少時からの稽古で演目や演技の「型」が役者の身体に染み付いているためか、(上演直前の)稽古期間は数日であるという。新作歌舞伎でも、その稽古期間は現代劇に比べて圧倒的に短い。また、古典歌舞伎に演出家はいない。
現代演劇の場合の上演前の流れは、演目決定後、オーディションまたはオファーで演者決定。顔合わせ(演出家、演者などスタッフ一同)、読み稽古(セリフ)、立ち稽古(演技)、通し稽古、集中稽古等の稽古を経て、小屋入り(公演する劇場へ)。仕込み(劇場の準備)、場当たり(衣装、メイク、音響・照明)、ゲネプロ(舞台セットでの予行)などの行程をへて本番の公演となる。これらの公演前の準備期間は通常1 - 2か月である[13]。
最初の開演日を「初日」といい、(上演期間が長い場合、ほぼ中間に当たる上演日を「中日(なかび)」といい)、最終公演を「千秋楽」という。 主に戯曲の内容(展開)による分類である。ただし何をもって悲劇とするか、喜劇とするかの明確な基準はない。たとえば一般に、主人公の死など哀しい物語が展開される作品は悲劇とされる。古代ギリシャの『オイディプス王』やシェイクスピアの『マクベス』などがその一例である。シェイクスピアの作品には「四大悲劇」と呼ばれるものもある。一方で、祝祭的様相に満ちたシェイクスピア『お気に召すまま』は喜劇とされる。 一方で、物語にドラマ 現代の日本では、プロによる演劇を商業演劇、アマチュアによる演劇を小劇場演劇と呼ぶことが多い。
演劇の分類
物語内容による分類
悲劇
喜劇
不条理劇
会話劇
演出手法(表現手法)による分類文楽
音楽劇
オペラ
オペレッタ
ミュージカル
人形劇
時代による分類
日本の伝統芸能
能
狂言
文楽
歌舞伎
落語
近現代の日本の演劇
新派劇
浅草オペラ
大衆演劇
軽演劇
剣劇
レヴュー
新劇
現代の日本の演劇
小劇場演劇
アングラ演劇
商業演劇
演じ手による分類
商業演劇
小劇場演劇
市民劇団
学生演劇(大学生による演劇と、大学生以下の学生による演劇と2つの意味を持つ)
高校演劇・中学演劇
児童演劇
演劇祭
エディンバラ国際フェスティバル(イギリス)
ロンドン演劇祭
アヴィニヨン・フェスティバル(フランス)
コンクール
全国高等学校演劇大会(日本)
四大学英語劇大会(日本)
演劇をテーマとした作品「Category:演劇を題材とした作品」を参照