滑走路
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国際民間航空機関(ICAO)が発行する第14付属書(ICAO Annex 14)により、滑走路長、翼長により着陸帯等の等級を定めたコード (ICAO Aerodrome Reference Code) が付けられている[4]。日本では、航空法施行規則第75条にて定められている。

コード滑走路長利用可能な機種
1800m未満DHC-6、PA-31(英語版)
2800m以上 1,200m未満ATR-42Q300
31,200m以上 1,800m未満サーブ 340CRJ-200
41,800m以上ボーイング737エアバスA320

コード翼長外側主脚車輪間隔利用可能な機種
A15m未満4.5m未満PA-31、セスナ 404(英語版)
B15m以上 24m未満4.5m以上 6m未満CRJ-200、DHC-6
C24m以上 36m未満6m以上 9m未満ボーイング737、エアバスA320、E-190
D36m以上 52m未満9m以上 14m未満ボーイング767エアバスA310
E52m以上 65m未満9m以上 14m未満ボーイング777787エアバスA330
F65m以上 80m未満14m以上 16m未満ボーイング747-8エアバスA380

滑走路の表面・舗装成田国際空港A滑走路の断面(「成田空港 空と大地の歴史館」展示)芝生の滑走路(ワコンダビーチ州営飛行場(英語版) - アメリカ オレゴン州

1930年代後半に大型単葉機が登場するまで、600m未満の芝生の上で離着陸可能であった。ダグラス DC-3のような大型機の登場と共に900m以上の滑走路に舗装が必要となった[5]

近代化された空港では滑走路の路面は舗装してある。舗装のために用いられるアスファルトは一般の道路で用いられるものよりも遙かに高強度であり、重量の巨大な航空機の離着陸に十分耐えられるよう改良されたものが用いられている。また、大型機では離陸速度が時速300 kmにも達するため、振動を抑えるために極めて平坦な舗装が施される。排水性を高めるために、センターラインから滑走路端にかけて極僅かに傾斜し、山なりになっている。

通常はアスファルトによる舗装となるが、戦闘機アフターバーナーによる影響が大きい場合には、熱に強いコンクリート舗装とする。郊外や僻地の小さな飛行場、大きな空港でも軽飛行機用の短い滑走路では、土や芝生などの舗装されていない滑走路もある。

ブレーキ性能の向上のため、滑走路の全面にわたって、滑走路の長手方向と直角に細い溝切りを施す。これをグルービングという。グルービングは降雨時にタイヤと路面の間の排水を助ける役割ももつ。グルービングの溝は、幅・深さが6ミリメートル、溝の間隔が32ミリメートルとなるよう[6]に、ダイヤモンドカッターで削り取り作業が行われる。

cm程度の物体であっても、航空機の車輪が巻きあげて機体に当たるなどして損傷を受けたり、エンジンに吸い込んで故障や不具合を招いたりする恐れがある。実際に滑走路上の異物が原因の墜落事故も発生しているため、特に大型機のように異物を吸い込みやすいジェットエンジンを利用する航空機が利用する滑走路では、常に異物の監視・清掃がされている。
複数滑走路の配置

1つの空港に2本以上の滑走路を設置する場合、3種類の配置方式がある。
オープンパラレル方式成田国際空港の滑走路配置図

オープンパラレル方式(open parallel)とは、2本の滑走路が平行して配置されており、かつ、両滑走路間に十分な距離がとっている配置方法である。両滑走路間の距離は1,310 m以上離れていなければならない[7]。離着陸ともに完全に分離して行える[7]ため、運用効率が高まり、運航回数を最も多く出来る利点がある。

日本国内においては成田国際空港東京国際空港(羽田空港)、関西国際空港新千歳空港千歳基地を含んだ場合)、那覇空港などがこの方式を採用している。このうち、成田国際空港はかつてB滑走路が2,180 mしかなく、長短2本の滑走路が平行している状態であった。このため、短い滑走路が空いているにもかかわらず、大型航空機が着陸出来ない、という状況が生じることがあった。
セミオープンパラレル方式

セミオープンパラレル方式とは、2本の滑走路が平行して配置されており、かつ、両滑走路間に比較的距離をとっている配置方式である。両滑走路間は760 m以上離れているか、前後にずれていなければならない[7]。この方式を採用した場合、両滑走路に同時着陸はできないが同時離陸が可能となる[7]ため、クロースパラレル方式よりは高い運用効率となり、オープンパラレル方式より敷地面積が少なくてすむという利点がある。
クロースパラレル方式大阪国際空港の空中写真

クロースパラレル方式(close parallel;closeは形容詞であり近くのの意である)とは、2本の滑走路が平行して配置されているが両滑走路間の距離を760 m以上とれていない配置方式である。この方式を採用した場合、両滑走路間は至近であるため、安全上の理由から両滑走路で同時離着陸はできない[7]ため、運用効率は落ちるが、敷地面積が狭くとも2本目の滑走路を設けることが可能という利点がある。

日本国内においては新千歳空港大阪国際空港(伊丹空港)が、日本国外においてはフランクフルト空港ローガン国際空港などがこの方式を採用している。同時離着陸は出来ないが、一方の滑走路で着陸を行うと同時に、もう一方の滑走路で離陸に備えて待機するといった運用は可能であり、特に伊丹空港、ローガン国際空港では長短2つの滑走路が平行して配置されており、航空機の状態・性能により使用滑走路の制限を受けるものの、空港の地上交通・離着陸機の調整を行うことで運用効率を上げている。
横風用滑走路東京国際空港の滑走路配置図

運航回数の特に多い空港では、横風での離着陸の安定を期するため、主要な滑走路とは別に向きを変えた滑走路を設けている。このような滑走路のことを横風用滑走路という。@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}主要滑走路より短いものである場合がほとんどといってよい[要出典]。世界の大規模空港は着陸用・離陸用の並行滑走路に加え、横風用の3本の滑走路をもつものが多い[要出典]。D滑走路建設以前の東京国際空港を一例とすると、通常使う滑走路が A 滑走路 (16R/34L, 3,000 m) と C 滑走路 (16L/34R, 3,000m) であり、 B 滑走路 (04/22, 2,500 m) は横風用滑走路である。
路面標示

空港で使われる標識として、飛行場名標識、滑走路標識、過走帯標識、誘導路標識、エプロン標識がある[8]

滑走路の方位と区別表示滑走路に記されている番号 "09" は、滑走路が方位を 36 等分したときの(磁方位の)北から時計回りに 9 つめ、つまり東を向いているという意味(時計回りに10度ずつ回転させ、一の位の0を省略して表す。ただし真北は0ではなく36となる)。"R" は、平行滑走路の右側であることを示している(英語で右を表すRightの略)。反対側の表示は27Lとなる(180度逆方向になるので1以上18以下の数字に18を足して表す。右側も逆向きだと左側になる)。三本の滑走路が平行する場合は、一番右側はR、一番左側はL(Leftの略)、それらに挟まれる滑走路はC(Centerの略)と表される。なお滑走路1本のみで運用されている、または同一角度の滑走路が存在しない場合、L・Rは省略される。
路面標示の説明図

ブラストパッド (Blast pad)通常、大型航空機が運行されている滑走路の両端に設けられる。着陸時のオーバーラン、離陸時の滑走取り止めによるオーバーランなど非常時のみ進入可能。また離陸のためのタキシングや、ターニングパッドのない滑走路での転回時にこの部分を用いることもある。大型機から排出される排気熱(ジェットブラスト)から滑走路の路面を保護する役割も兼ねる。滑走路に比べ路面は硬くなく、この位置での離着陸はできない。黄色の山形模様で表示される。
ブラストパッド

ディスプレイスド スレッシュホールド (Displaced threshold)離陸のためのタキシング、離陸、着陸滑走のための進入で使用することはできるが、この位置への着陸は禁止されている。滑走路開始位置付近に障害物などが存在し有効な滑走路長がとれない[注釈 11]場所や、騒音軽減目的などでの設置がされている。また、この箇所を有効利用することにより最大離陸重量での離陸や最大着陸重量での着陸などが可能となる。白色の矢印で表示される。
ディスプレイスド スレッシュホールド

滑走路には標示があり、この滑走路の標示に書かれていることはほとんどの空港で共通である。滑走路の標示は以下のようなものが書かれている。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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