源氏物語
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^ 光源氏は3歳で母親の桐壺を亡くしており、当時、母方の後ろ盾がないと即位し天皇になることは極めて困難だったため、母を亡くした光源氏が、宮中の勢力争い、権力闘争に巻き込まれることを避けるために、父は光源氏のことを思い皇族から籍を外した[14]
このコンプレックスがその後の光源氏の上昇志向の源になり、天皇に近い高貴な女性を自分のものにすべく[15]、「藤壺」や「六条御息所」などと関係を持ち、ついに天皇「朱雀帝」の后妃(こうひ)に内定していた「朧月夜」(光源氏の政敵の娘)と関係を持ったことから(第8帖)、流刑など報復を予期し26歳の時に自ら須磨に流れた(謹慎した)(第12帖)。しかし、2年弱で都に帰ることができ(第13帖)、結局、39歳の時に「准太上天皇」(じゅんだいじょうてんのう)となった(第33帖)。「天皇になれない宿命を背負った皇子」であった光源氏が、「天皇と同じか、それを超える存在」となった(ただしこの件は光源氏が実の父親だと知った「冷泉帝」の尽力で実現したことだった)[14]
ちなみに、千年前の読み手にとって、「光源氏」の「光」が意味することは、「かぐや姫」などに見られるように”超越的な素質”、”光り輝いている人”を意味する一方で、”天皇になりそこなった皇子”を意味した。すなわち「源氏」の前に置かれた「光」という言葉は、当時は、”天皇以上にすばらしい才能を持っているが天皇になりそこなった皇子たち”を意味する形容詞でもあった[16]。古代より大勢実在し、後継者争い(壬申の乱)に破れ死亡した大友皇子もその一人で、生前は才能があり眼が光り輝くようだと伝えられている[16]。(参考文献)『源氏物語 - 天皇になれなかった皇子のものがたり』新潮社(2008/9/1)
^ 894年遣唐使停止で大陸文化の流入がなくなったことで、日本独自の文化が発展。その一つが文字で平仮名片仮名が誕生した(発明された)。
古事記日本書紀万葉集等々、漢字のみで全文を記述していた時代に比べ、特に平仮名によって日本語を話し言葉で書けるようになり繊細な感情や雰囲気を表現する自由度が大きく増し[18]、源氏物語の誕生以前から平仮名(変体仮名)を用いた創作活動が展開され、『竹取物語』『大和物語』『伊勢物語』『うつほ物語』など作者不詳の物語作品をはじめ、紀貫之の日記文学『土佐日記』、和歌集では『古今和歌集』(真名序漢文) 等々、貴族階級の男女によりあるいは天皇の命により生まれた。
10世紀末からは紫式部清少納言なども平仮名を積極的に和歌物語随筆などの創作物そして手紙や日記などに使った。この平仮名の成立と浸透で平安期には女性作品が多数生まれ、その後の国文学の発展へと繋がった[19][20]
「男手」(おとこで)、「女手」(おんなで)については、この当時、漢字(漢文 万葉仮名)を主に男性が使用したことから漢字は「男手」と呼ばれ、それとは対象的に平仮名を主に女性が積極的に使ったため平仮名は「女手」と呼ばれた[21]
^ 一例として、第5帖「若紫」で、光源氏が10歳の少女(*)を家に迎え「書」や「琴」など教え教養豊かに育て少女が成人し14歳の夜に突如男女の関係にしてしまう場面は(第9帖「」)、文章にはその夜の描写・記述は一切ない。朝、枕元のすずり箱に置いてあった和歌『あやなくも隔てけるかな夜を重ね さすがに馴れし夜の衣を(*2)』のみが読者にその夜の出来事を知らせている。ちなみに少女は父親のように慕った相手から突然思いもしないことをされて心に負った傷は深く以後かなり長く光源氏を拒絶することになる[22]
(*)後の「紫の上」。(*2)今まで仲良くして来たが、なぜもっと早く一線を超えなかったのか、一線を超えた今はすばらしい関係になれた[22]
^ 源氏物語は一般的に「宮廷での恋愛感情が美しく描かれる」[23]と紹介されることが多いが、実際はそこから連想される直接的な性的描写はゼロに等しい[24]。それらの場面は季節・四季の変化等々にたとえて描かれる。読者はそこから話の展開、事の顛末を察することができないと、「宮廷の美しい恋愛感情」の観賞どころか、早々に物語の展開自体がわからずついていけなくなる[24]。なお、現代語訳版の中には注釈など付けある程度わかりやすく読者へ配慮がされているものもある。
^ 都では放火と見られる火災が異常なほど激増、政治への不満が放火として爆発、中でも宮中の内裏は巨額の国費で何度再建しても燃え再建を諦めた[27]
^ 一条天皇は源氏物語を女房に読ませそれを聞いて述べた言葉、『この人は日本紀(*)をこそ読みたるべけれ、まことに才あるべし』(作者は日本紀(*)を読んでいるはずだ、かなりの学者のようだ)[29]
(*)日本紀、漢文で書かれた日本の歴史書で、6つの史書「六国史」を指す。
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