SIの放射量の単位
[編集]物理量SI単位記号備考 ワットは放射束の単位で、ルーメンは光束の単位である。ワットとルーメンを比較することは、放射単位と測光単位を比較するうえで役に立つ。 ワットは電力の単位であり、現代の人々は電球などの照明器具の明るさをワットで表記することに慣れている。この表記において電力は放出された光の量を計測しているのではなく、その照明器具が消費した電力の量を表している。それでも、一般家庭用の白熱電球はどれも似たような特性(同じエネルギースペクトル分布)を持っているため電力同士の比較は光量同士の比較と良く対応しており、一般消費者にとっては電球の絶対的な光量は問題ではなく電球間の明るさの相対比較しか行わないためこの違いは問題にならない[13]。 ワットは出力量の直接的な尺度にもなる。放射測定の観点で測定すると、白熱電球のエネルギー効率は80%で、残りの20%は光以外の形で失われる(ランプのベース回路の抵抗など)。このため、60 Wの電球からの放射の総量は45 Wとなる。ここで注意すべきは、白熱電球の場合放射はほとんどが赤外線であることである。実際に白熱電球の用途としてほとんどは照明としてであるが、中にはひよこの孵化器のように熱源として使うこともある[14]。照明の観点では白熱電球はほとんどを光源として役立たない赤外線として消費するので非効率である。実際、電球形蛍光灯は15 Wの消費電力で、60 W白熱電球と同じだけの可視光を放射できる[15]。 一方でルーメンは測光における出力光の単位である。ほとんどの国の消費者は照明器具の明るさを電力ベースの単位で考えていたが、アメリカ合衆国では数十年にわたり、電球の出力表示はルーメンで表記することが流通の上で要求されている。60 Wの白熱電球や、15 Wの電球型蛍光灯はこのような国では900 lmと表記されて販売される[16]。 ルーメンは1 Cdの点光源
放射エネルギージュールJ光における光度エネルギー
放射束ワットW光における光束
放射強度ワット毎ステラジアンW/sr光における光度
放射輝度ワット毎ステラジアン毎平方メートルW/sr/m2光における輝度
放射照度ワット毎平方メートルW/m2光における照度
放射発散度ワット毎平方メートルW/m2光における光束発散度
分光放射輝度ワット毎ステラジアン毎立方メートルW/sr/m3
分光放射照度ワット毎立方メートルW/m3
ワットとルーメン
これらの関係は単純な倍率では変換できないが、おおよそ60 Wの白熱電球や15 Wの電球型蛍光灯が900 lmという目安で広く認識されている。この定義は1 Wの純粋な555 nmの光が683 lmに相当するというだけで、他の波長については言及していない。理由は、ルーメンはあくまで測光の単位なので、ワットとの関係はその波長が人間の眼にどのように見えるかに依存するからである[18]。極端な例だと、紫外線や赤外線は目に見えないのでそもそもルーメンには数えられない。1 Wの赤外線は0 lmなのである。可視波長の中でも光の波長は前述の光度関数で重みづけされ、たとえば700 nmの赤色光は555 nmの緑色光に対して0.4%の感度しかないため、1 Wの赤色光はわずか2.7 lmにしか相当しない[19]。この重みづけの一部である電磁スペクトルの可視部分を合計しただけであるので、ルーメンの単位からは色は分からない。 測光は、光に当たると種類によって様々なプロセスで電気信号を発する、光検出器と総称される装置を用いて行う。この検出器の応用先として簡単なものには、ある一点に入射する光の総量を測定する光度計や、周囲の明るさに応じて照明器具のスイッチを切り替える自動点灯装置などがある[20]。 照明器具の業界などではさらに複雑な形態の測光が行われている。たとえば、測定対象の照明を中心に配置し、それを全方位から覆う大きなグローブ状の測定器で照明の光の指向性を測定する球面光度計(積分球)などがある。また、同様の測定が、照明の周囲を3軸で回転し照明からの光を全方位から測定するタイプのフォトセルも使われている[21]。 照明器具をゴニオフォトメーター
測光の技術
非SI単位での測光の単位
輝度
ランバート (単位)(L)- 1 L= 10 4 π {\displaystyle {\frac {10^{4}}{\pi }}} cd/m2(約3183.1 cd/m2)に相当する。
スチルブ(sb)- 1 sb=10-4cd/m2に相当する。
照度
フットキャンドル(英語版)(fc)- 1 fc=10.76 lxに相当する。
フォト(ph)- 1 ph=104lxに相当する。
関連項目
光源の一覧
フォトメトリア(英語版)
測光_(天文)
放射計
反射率
分光器
カラリメトリー
TTL露出計
脚注[脚注の使い方]^ “CIE Scotopic luminosity curve (1951)”. 2023年4月8日時点の ⇒オリジナルよりアーカイブ。2023年4月3日閲覧。
^ “CIE (1931) 2-deg colour matching functions”. 2023年4月8日時点の ⇒オリジナルよりアーカイブ。2023年4月3日閲覧。
^ “Judd-Vos modified CIE 2-deg photopic luminosity curve (1978)”. 2023年4月8日時点の ⇒オリジナルよりアーカイブ。2023年4月3日閲覧。
^ “Sharpe, Stockman, Jagla & Jagle (2005) 2-deg V*(l) luminous efficiency function”. 2023年4月8日時点の ⇒オリジナルよりアーカイブ。2023年4月3日閲覧。
^ a b c d e Bass, Michael, ed (1995). Handbook of Optics: Volume II – Devices, Measurements and Properties (2nd ed.). McGraw-Hill. pp. 24-40-24-47. .mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}ISBN 978-0-07-047974-6