渡邊亮徳
[Wikipedia|▼Menu]
仮面ライダー』企画時は、当時ヒットしていた『タイガーマスク』を参考にしつつ、ブームが過渡期にあったスポ根ものではなく『月光仮面』に代表される仮面ヒーローとすることを直感したという[1]。また、「モーレツ」や「ビューティフル」に代わるものを作ろうという意気込みもあり、「変身ブーム」が社会現象となった時には自分たちの努力が実ったことを感じたという[18]

東映プロデューサーの平山亨は、渡邊について映画の営業を勤めていた経験から、作品の当否について鋭い勘を持っていたと評している[20]。『仮面ライダー』の企画時では、強力な裏番組に対して勝算のない仮面ヒーロー物をぶつけるという渡邊の提案に対し、平山は半信半疑であったが最終的には渡邊の勘を信じたと述べている[20]

『仮面ライダー』の開始当初、赤字を理由として役員会で叱責された際、社長の大川博に対して「将来100億売ってみせる」と大見得を切った[1]。その後、渡邊はテレビ作品の制作を拡大し、最高で300億円売り上げるに至った[1]。多忙な中でも同シリーズの試写はほとんど立ち会ったという[18]

人造人間キカイダー』では、脚本[注釈 1]も担当している。東映プロデューサーの吉川進によれば、内容に対する批判が多かったため、渡邊が自ら執筆に名乗りを挙げたという[22]

『キカイダー』に登場するライバルキャラクターであるハカイダーは、渡邊が組織の脱走者であるキカイダーに対して怪獣型の追手よりもさらに凶悪な追手を登場させて追い込む、という考えから発案したものである[22]

交際費支出問題

前述の通り、東映ビデオの社長在任中に交際費の不正支出問題が明るみに出ているが、その内容はカンヌの出張など年数回の海外出張に夫人や子息を同伴させ[16]、仕事は1日か2日で終わるのにもかかわらずそのまま会社持ちでヨーロッパを2週間も旅行し、飛行機はファーストクラスでホテルも超一流のスイート[16]。移動はすべてリムジンを使用し[6][7]、贅沢三昧の食事に買い物のし放題[16]。東映ビデオの法人名義になっているするがカード(駿河銀行)を家族で使い[16]、海外出張1回あたり、300万円前後の金が会社口座から引き落とされた[16]。また6年前にも銀座のクラブなどの偽造領収書で会社から約5,000万円を不正に所得し[6][7]修正申告には応じたが追徴課税は会社に負担させた[6][7]。また会社に三越松屋商品券を月額50万円前後購入させ[16]、私用に使ったり、さらに念の入ったことに、買い物の際の領収証を使って会社から金を受け取った[16]銀座で購入した時計を経費で落とした[6][7]、渡辺の自宅近くの書店から子息用の美術全集を購入し、月額5万円の支払いを会社にさせた[16]などといったものが挙げられる。その他、東映ビデオの販売代理店や下請け制作プロダクションからの賄賂や収奪もあったとされ[16]背任横領罪が充分に成立するケースとされた[16]

これが翌1996年2月に怪文書として東映社内は勿論、取り引き銀行や系列のテレビ朝日にもばら撒かれ、1996年3月には東京国税局特別国税調査官が、渡邊が社長を務める東映ビデオに税務調査に入り[8][10][14]、渡邊が社長在任中の1990年から1995年までに約1億3,000万円の申告漏れを指摘された[8][9][10][14]。この中の約6,000万円については、交際費を別の項目に付け替えるなどの仮装・隠ぺい行為による所得隠しがあったと認定され[10][16]重加算税をかけられた[10]。また、渡邊が私的に流用した交際費の一部や、家族連れで出掛けた海外出張の経費を役員賞与と認定し[8][11][12]、約6,000万円の申告漏れを指摘[8][10][13]。渡邊個人にも重加算税など約1,900万円が追徴された[10][16]。東映の内部調査では、1991年から3年間の東映ビデオの総交際費は4億5,400万円で、うち計約9,000万円が後に関係のない高級呉服や高級時計などの領収書をつけるなど不明朗な支出だったことが判明[10][15][23]、ずさんな経理処理を恒常的に行っていたと判断した[24]

これらは当時のマスメディアも大きく取り上げる事態となった[6][7][14][16][25]。税務署の調査で怪文書の内容が驚くほど正確で、税務署も感心するほどだったが[6]、渡邊は『FOCUS』の取材に対して悪びれることなく、「全部会社の接待で使った経費だから、会社に支払わせるのは当然。海外のレセプションは夫人同伴は自然で、妻同行は業務のうちと判断して会社の総務も金を出した。税務署が払えと言うから、オレが使った金だから追徴金を払ったよ。私はいままで体を張って東映を儲けさせて来た。このやり方で40年間うまく行ってるんだから、カネの使い方は変えようがない。"仮面ライダー"は日本で20億円儲けたし、"パワーレンジャー"はアメリカで50億円儲けた。だから怪文書なんてゴミみたいな話をするな! 私は最後の活動屋だよ。いまの若い官僚みたいな社員には分からないかも知れないが、私のやり方は岡田茂会長は理解してくれてるハズだ」などと話した[6][16]


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:63 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef