スタジオメイツ時代には一川孝久(その後、スタジオコメットに所属)、シンエイ動画時代には中村英一(元同社作画部部長)に師事。スタジオメイツからシンエイ動画へ移籍する際には『ドラえもん』制作を通じてつながりのあった中村やシンエイの演出家たちに自分を売り込み、中村の推薦もあって採用試験に合格した[2]。
小さい子供が見て、いつまでも記憶にこびりついて離れないような作品作りを常に意識している[4]。
渡辺の作画はシンエイ動画の前身であるAプロダクションの作品『ど根性ガエル』『ガンバの冒険』などを彷佛させるけれん味に溢れた動きで、演出もやや過剰であり「"ドラクラッシャー"と呼ばれて賛否両論を生んだ」と自身で語っている[7]。しかし、原作の魅力を最大限に生かす作風や、キャラクターの表情や動きを豊かに表現する演出は高く評価されている。また、しずかについては極力可愛らしく描くなどのこだわりを持っている[8]。
シンエイ動画の監督作品では『ドラえもん』などの他に映画『パーマン』2作を手がける。2005年以降『パーマン』の続編が制作されていないが『ファミ通』のインタビューで「完結させたい」との発言をしている。
アニメはごく一般的な子供として楽しんでいた[4]。影響を受けた作品に『アルプスの少女ハイジ』や『赤毛のアン』、『あしたのジョー』(特に『あしたのジョー2』)、『エースをねらえ』などを挙げている[4][9]。『アルプスの少女ハイジ』と『あしたのジョー2』は、『ドラえもん』の劇場版の監督として初めて作品に責任を持たなければいけない立場になった時、自分がなぜこれらの作品を良いと思うのかを検証しようと見直してみた[4]。アニメーションとして『アルプスの少女ハイジ』の動きや音、色がついて表現されたものが今でも自分の中に残っているという[4]。また『ハイジ』や『赤毛のアン』における高畑勲の構成の巧みさには圧倒された[4]。『あしたのジョー』や『エースをねらえ』では単純に作品を楽しんだが、『あしたのジョー2』では出ア統のいわゆる出崎演出に魅せられ、セリフで観客に分かりやすく伝えるのとは違う、エモーショナルな部分、感情に訴えかけることの大切さに気付かされたという[9]。
『ドラえもん』に参加することになった時には、実は藤子・F・不二雄へのリスペクトゆえに仕事としては関わりたくないという気持ちがあった[2]。
参加作品
テレビアニメ
1987年
エスパー魔美(-1989年、#118原画)
1988年
ドラえもん (1979年のテレビアニメ)(-2005年、絵コンテ・演出・作画監督・原画・#7,8OP絵コンテ[注 3])
1990年
八百八町表裏 化粧師(-1991年、作画)
2001年
機動天使エンジェリックレイヤー(#12,21絵コンテ)※渡辺カケル名義
2002年
あずまんが大王 THE ANIMATION(#19絵コンテ)※渡辺カケル名義
あたしンち(-2009年、#10Bパート絵コンテ)
2003年
スクラップド・プリンセス(#3絵コンテ)※渡辺カケル名義
2005年-
ドラえもん (2005年のテレビアニメ)(キャラ設定[注 4]・脚本[注 5]・絵コンテ・#4OP絵コンテ[注 6])
2012年
謎の彼女X(監督・#1,2,8絵コンテ・OPED絵コンテ・ED演出)
宇宙兄弟(-2014年、監督・#1,52-54絵コンテ・OPED絵コンテ・ED演出・#97声の出演[注 7])
2013年
団地ともお(-2015年、監督・#1,39,66,78,SP絵コンテ)
2014年
彼女がフラグをおられたら(監督[10]・#1、OP、ED絵コンテ)
大図書館の羊飼い(OP絵コンテ)
2015年
ガンスリンガー ストラトス(OP絵コンテ)
コトリサンバ(監督)
2016年
逆転裁判 ?その「真実」、異議あり!?(監督・#1,13,18,24絵コンテ、OP絵コンテ)