渡来は一時期に集中して起こった訳ではなく、幾つかの移入の波があったと考えられている。また、そのルーツに関しては、朝鮮半島、中国大陸、満洲にシベリア大陸、中東諸国などさまざまである。帰化人との違いについては、後述の#「帰化人」と「渡来人」を参照 3世紀末 - 6世紀、古墳時代にはヤマト王権に仕える技術者や亡命者として朝鮮半島から人々が渡来した。4世紀後半から5世紀にかけて、ヤマト王権は百済と同盟のために百済が海を渡って遼西経略をした時、繰り返し出兵するなど大陸を侵略しており、このことは宋書の百済傳にも記録されている。渡来人の中には大王を中心とするヤマト王権において重要な位置を占めた者や文化の発展に寄与した[† 2] 者がいた。 また飛鳥時代には百済より貴族が日本を頼って渡来した。中でも最後の百済王義慈王の王子の禅広は、持統天皇より百済王(くだらのこにきし)の氏姓を賜り、百済系氏族の代表的な存在となった。 大和朝廷では優遇され、官人として登用された者も少なくなく、弘仁6(815)年に編纂された「新撰姓氏録」に記載される1182氏のうち、326が諸蕃すなわち渡来系氏族であり、全体の3割を占めている[1]。諸蕃の出身地は漢が163、百済が104、高麗(高句麗)が41、新羅が9、任那が9であった[1]。 帰はもと歸であり、元いた場所に戻る意味のほかに、従い服従すること、嫁に行くなどの意。帰化は他国の国籍に入りその臣民となること、臣服すること(魏志ケ艾傳「発使告以利害、呉必歸化可不征而定也」。あるいは教化に服し従うこと(高僧伝「感徳歸化者、十有七八焉」)。一方で渡という用語は水(江)や海を渡る意義であり、大陸間での移動は移(うつしかえること)をもっぱら用いた。「移住」。また「定居(定住すること)」。「移民」は人の少ない場所に民をうつし住ませること。「遷」は上下関係の中での移動を特にさす。 「帰化」という語句の本来の意味は、「君主の徳に教化・感化されて、そのもとに服して従うこと」(後漢書童恢伝)で、歴史学的な定義としては、以下のものがある[4]。1..mw-parser-output ruby.large{font-size:250%}.mw-parser-output ruby.large>rt,.mw-parser-output ruby.large>rtc{font-size:.3em}.mw-parser-output ruby>rt,.mw-parser-output ruby>rtc{font-feature-settings:"ruby"1}.mw-parser-output ruby.yomigana>rt{font-feature-settings:"ruby"0}化外(けがい)の国々から、その国の王の徳治を慕い、自ら王法の圏内に投じ、王化に帰附(きふ)すること2.その国の王も、一定の政治的意思にもとづいて、これを受け入れ、衣料供給・国郡安置・編貫戸籍という内民化の手続きを経て、その国の礼・法の秩序に帰属させる一連の行為ないし現象のこと 平野邦雄によれば、『日本書紀』の用法において、「帰化」「来帰」「投下」「化来」はいずれもオノヅカラモウク、マウクと読み、概念に違いはない[5]。また古事記では三例とも「参渡来」と記し、マイワタリツ、マウクと訓む[5]。
概説
「帰化人」と「渡来人」
帰化と渡来の語義
古代における「帰化」の語義
史書における用法
脚注[脚注の使い方]
注釈^ 日経サイエンス8月号 「特集ヤポネシア 47都道府県人のゲノムが明かす 日本人の起源」
^ 5世紀後半?6世紀に朝鮮半島から移住した技術をもった人々を『日本書紀』では「古渡才伎(こわたりのてひと)」に対して「今来才伎(いまきのてひと)」と呼んでいる。『日本書紀』「雄略紀」によれば今来才伎は百済から派遣人々である(雄略天皇七年「集聚百済所貢今来才伎於大嶋中」)。
出典^ a b c d ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「渡来人」[1]
^ 横田健一「白鳳天平芸術精神史研究序説 : 群像形式と憂欝性の表現を中心として
^ 州浜昌利「秦氏の性格について」『法政史学= 法政史学』第11号、法政大学史学会、1958年11月、103-108頁、doi:10.15002/00011858、ISSN 0386-8893、NAID 120005626029。
^ 平野邦雄『帰化人と古代国家』(吉川弘文館 2007年)pp.1-10
^ a b 平野邦雄『帰化人と古代国家』(吉川弘文館 2007年) p.2
関連項目
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騎馬民族征服王朝説
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