清水次郎長
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同年4月には養子の天田愚庵が次郎長の数奇な生涯を描いた『東海遊侠伝』を出版し、次郎長の名が全国に広まるきっかけとなった[6]。静岡県令・関口隆吉などの尽力などにより、明治18年(1885年)に刑期の満了を待たずに仮釈放になった。

明治19年(1886年)東京大学医学部別課を卒業した植木重敏と横浜から土佐に向かう船上で知り合い、植木と同じ土佐須崎鍛冶町出身の渡辺良三と共に清水へ招聘し、済衆医院を静岡県有渡郡清水町に開設した。明治21年(1888年)7月19日には山岡鉄舟が死去し、谷中全生庵で行われた葬儀には清水一家で参列している。同年8月4日には富士山南麓開墾官有地払い下げを受け、開墾地の一部を高島嘉右衛門に売却している。

明治26年(1893年)、風邪をこじらせ死去。享年74(満73歳没)。戒名は碩量軒雄山義海居士。墓碑に「侠客次郎長之墓」とあるは榎本武揚の筆である。
肖像画

次郎長翁を知る会には博徒時代の次郎長を描いた「清水次郎長肖像画」が所蔵されている。清水次郎長(山本長五郎)

画賛には文久3年(1863年)に孝明天皇が会津藩主松平容保に宛てた「孝明天皇宸翰」の年記・宛所を慶応2年(1866年)・山本長五郎に変えた内容が記されており、天皇と次郎長の結びつきの深さを強調させている。
村本喜代作の評価

駿州政財界の御意見番にして元県議会議長を務めた村本喜代作は山雨楼主人などの名で表裏の歴史を判りやすく筆にした。子母澤寛も取材の折に地方史を村本より教授されたとされる。昭和55年(1980年)、静岡の日赤病院(県議時代に同施設の設立に骨を折っている)に入院中の村本は作家の藤田五郎と面談した際に、遠州侠客伝を含む自身の著作を藤田の大著である『任侠百年史』に引用することを許諾し、病床の中で「安東文吉(駿河の大親分)は弟の辰五郎と浪人小泉が参謀にいなかったら大親分になれなかっただろう。次郎長は山岡鉄舟との出会いがなかったらここまで大物にはなれなかっただろう」という言葉を残している。
死後

梅蔭禅寺に銅像がつくられている。この寺には、清水次郎長、お蝶、大政、小政の墓もある。墓石は「博打に勝つお守りになる」とのうわさが立ち、墓石を少しずつ砕いて盗んでいくものが絶えなかった[7]
清水一家六代目継承問題

昭和41年(1966年)に清水次郎長の五代目の「正統清水一家」が解散後途絶えていた名跡を、平成19年(2007年)に山口組系二代目美尾組組長・高木康男が「六代目」として襲名するという記事が週刊誌に掲載された[8]

高木は闇金融の元締めとして逮捕された人物である(美尾尚利・初代美尾組組長が五代目の元若衆)。これにより、静岡市暴力追放推進協議会は、闇金融の元締めだった人物が清水次郎長の跡目を襲名するのは、清水の観光客減・イメージ悪化につながるとして清水警察署に継承阻止の要望書を送った。しかし、六代目清水一家が正式に襲名発足し、観光協会とみやげ物店の中には次郎長グッズを販売中止した店があり観光への影響が出ていた。
関連項目

森の石松

吉良の仁吉

黒駒勝蔵 - ライバル

日柳燕石 - 燕石の大胆さには舌を巻いて驚いたという。

広瀬武夫 - 大日本帝国海軍軍人。「軍神」。若き日に次郎長の挑発を受け、意地を張ったことがある。

美濃輪稲荷神社 - 現在の静岡市清水区にある神社。子供の頃によく遊んだ縁の場所といわれ、石柱には本名・山本長五郎の名前が刻まれている。2011年11月26日に本殿全焼[9]

高田明和 - 精神科医浜松医科大学名誉教授。子孫に当たる。

浪曲(浪花節)

広沢虎造 (2代目)


講談

神田伯山 - 3代目が「清水次郎長伝」を売りにした


清水範久 - サッカー選手。渾名が次郎長を模した「ジロー」である。

清水次郎長を題材とする作品

清水次郎長 (講談)(清水次郎長伝) - 作品の一覧はこの項目を参照。

ちびまる子ちゃん - 作者・さくらももこの出身地である清水市(1974年当時)を舞台としていることから、次郎長の名が頻繁に登場する[10]

秋の舞姫 - ヤクザと娼婦の駆け落ちに助力する[11]

ローカル女子の遠吠え - 静岡県を舞台としており、現在の静岡市清水区も含まれることから、単行本7巻に次郎長の活躍を取り上げた回が収録されている。


脚注[脚注の使い方]^沖縄はどう生きるか B誰にも知られたくなかった沖縄の戦前の謎と戦後の闇(5) 奈良原繁と清水次郎長の奇妙な関係佐野真一、web集英社文庫
^ 高橋敏『清水次郎長』(2010)
^ 次郎長を多分に美化して描いたこの著作を元に、「次郎長一家」の物語は、講談から更に浪花節の題材となり(特に二代目広沢虎造)、また小説や映画にも盛んにとりあげられて、国民的人気を博した
^ a b沖縄はどう生きるか B誰にも知られたくなかった沖縄の戦前の謎と戦後の闇(6)佐野真一、web集英社文庫
^ a b 『黒駒勝蔵対清水次郎長』、p.28[要文献特定詳細情報]
^沖縄はどう生きるか B誰にも知られたくなかった沖縄の戦前の謎と戦後の闇(8)佐野真一、web集英社文庫
^ 文藝春秋刊『文藝春秋にみる「坂の上の雲」とその時代』2009年。
^ 徳間書店刊『アサヒ芸能』2007年2月15日号。
^次郎長ゆかりの美濃輪稲荷神社本堂が全焼スポニチ 2011年11月27日
^ 4コマ版の『ちびまる子ちゃん』では、小さい頃に次郎長を見たことがあると友蔵が言っている。
^ “エリス来日事件を題材とする「秋の舞姫」、おすすめです。おすすめですが「講.. 。樺太労働局 さんのマンガ”. ツイコミ(仮). 2023年12月16日閲覧。

参考文献.mw-parser-output .ambox{border:1px solid #a2a9b1;border-left:10px solid #36c;background-color:#fbfbfb;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .ambox+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+link+.ambox{margin-top:-1px}html body.mediawiki .mw-parser-output .ambox.mbox-small-left{margin:4px 1em 4px 0;overflow:hidden;width:238px;border-collapse:collapse;font-size:88%;line-height:1.25em}.mw-parser-output .ambox-speedy{border-left:10px solid #b32424;background-color:#fee7e6}.mw-parser-output .ambox-delete{border-left:10px solid #b32424}.mw-parser-output .ambox-content{border-left:10px solid #f28500}.mw-parser-output .ambox-style{border-left:10px solid #fc3}.mw-parser-output .ambox-move{border-left:10px solid #9932cc}.mw-parser-output .ambox-protection{border-left:10px solid #a2a9b1}.mw-parser-output .ambox .mbox-text{border:none;padding:0.25em 0.5em;width:100%;font-size:90%}.mw-parser-output .ambox .mbox-image{border:none;padding:2px 0 2px 0.5em;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-imageright{border:none;padding:2px 0.5em 2px 0;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-empty-cell{border:none;padding:0;width:1px}.mw-parser-output .ambox .mbox-image-div{width:52px}html.client-js body.skin-minerva .mw-parser-output .mbox-text-span{margin-left:23px!important}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .ambox{margin:0 10%}}

出典は列挙するだけでなく、脚注などを用いてどの記述の情報源であるかを明記してください。記事の信頼性向上にご協力をお願いいたします。(2022年2月)


高橋敏『清水次郎長-幕末維新と博徒の世界』(岩波新書、2009年)ISBN 978-4-00-431229-1 

永六輔『次郎長伝・伝・伝』(話の特集、1982年3月)ISBN 978-4826400534 (次郎長の実像と虚像を追いかけ戯曲化した台本。


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