深海救難艇
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ただし、DSRVを運用している国は日米韓3カ国のみで、オーストラリアは潜水艦のみ、シンガポールは艦艇を派遣する予定だったが、最終的に人員のみの参加となった。オブザーバー派遣国はカナダチリ中国フランスインドインドネシアマレーシアタイイギリスベトナムの10カ国に達した。第四回はオーストラリアのフリーマントル沖合いで2007年に開催された。

海上自衛隊は第一回から第四回まで、全ての演習にDSRV搭載の潜水艦救難艦他の自衛艦を派遣している。第一回ではアメリカ海軍の救難装置が海上自衛隊の潜水艦「あきしお」SS-579から乗員を収容している。第二回では掃海母艦「ぶんご」を第2掃海隊群から借り受けて総指揮艦とし、各国の連絡士官も同乗。潜水艦救難艦「ちはや」、潜水艦「あきしお」、あめ型護衛艦2隻(海域警戒)、掃海艇 2隻(機雷用ソナーによる沈底潜水艦の捜索訓練)、SH-60J哨戒ヘリコプター 2機(艦艇間の人員輸送用)、MH-53E 1機(陸上との人員輸送用)を参加させた。本訓練中は、東シナ海が非常に時化た為、艦尾のAフレームクレーンでDSRVを出す方式の韓国海軍は全ミッションを実施できない中、方式は違うものの水中発着式の海上自衛隊とアメリカ海軍のDSRVは全ミッションを成功させた(ハッチを開けないソフトメイトの指示にもかかわらず、ハッチを開けるハードメイトまでおこなった回もあった)。第三回では潜水艦救難母艦「ちよだ」と潜水艦「ふゆしお」SS-588が参加し、「ちよだ」搭載のDSRVが韓国海軍209型潜水艦「チェ・ムソン」SS-063(崔茂宣)に接合し、乗員3名の救出を実演している。パシフィック・リーチ演習では遭難艦へ接合できず救難に失敗する国も出る中、海上自衛隊は優秀な成績を示し、その救難能力は世界でトップレベルと評価されている。

また大西洋ではNATO主催で潜水艦救難演習Bold Monarchが開催されており、2008年にはロシア海軍を加えて14カ国(米、英、、仏、イスラエルウクライナギリシャノルウェーポーランド)が参加した。2008年演習は5月26日から6月6日にかけて北海で開催され、ロシア海軍の救難艦「チトフ」(RFS Titov)搭載のDSRV AS-34がオランダ海軍の潜水艦「ドルフィン」(HNLMS Dolfijn S-808)とノルウェー海軍の潜水艦「ウートハウグ」(HNoMS Uthaug S-304)から乗員救難を実演している。
各国の深海救難艇
アメリカ合衆国DSRVの内部構造の模式図C-5で輸送されるアヴァロンDSRV-2フランスのブレスト空港に到着し、C-5A輸送機からカードトラックによって運び出される深海救難艇アヴァロンDSRV-2。1999年7月撮影

アメリカ海軍では4隻の深海救難艇(DSRV)と4隻の支援母艦による救難態勢を計画したが、予算の関係で2隻態勢となり太平洋大西洋沿岸の基地にDSRVとピジョン級潜水艦救難艦のペアを一隻ずつ配備した。ピジョン級は双胴で船体間に渡された幅広の甲板を作業甲板としてDSRVを運用した。その後ピジョン級は廃され、事故現場近くまでアメリカ空軍C-5輸送機によりDSRVを空輸し、攻撃型原子力潜水艦セイル後方の救難ハッチ上方に設置したラックに背負い式(ピギーバック)にDSRVを搭載し事故現場に向かう方法に改められた。

2000年10月、アメリカ海軍はMystic DSRVを基にした有人深海救難艇と支援船を加圧式救難モジュールと呼ばれる有索式無人潜水機を基にした潜水艦救難潜水再加圧システム(SRDRS)への転換を始めた。

DSRVは遭難艦と救難潜水艦との間を往復して乗員を救助する。救難母艦は可能であれば遭難艦の至近にまで接近し往復の時間を節約する。米国のDSRVは下部のスカート以外に突起物のない細長い魚雷形をしており、最後部にはシュラウドに囲まれた推進プロペラが取りつけられている。船体は塗装されておらず素材の色に由来する暗い灰色をしている。


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