液化石油ガス
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液化石油ガス法では、い号・ろ号・は号の3種類に分類しており、それぞれJISの1種1号・1種2号・1種3号に相当するものである[5]。この他に自動車用として、日本LPガス協会自主規格がある。
関係法令

液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律(昭和42年法律第149号)

高圧ガス保安法(昭和26年法律第204号)

ガス事業法(昭和29年法律第51号)

計量法(平成4年法律第51号)

消防法(昭和23年法律第186号)

日本国内におけるカセットガス

携帯用のガス熱機器の燃料として、日本では一般的なカセットガスだが、カセットガスの成分は他の液化石油ガスと異なりJIS規格で規定されていない。LPガスの業界団体である日本ガス機器検査協会が認証を発行している。この為、カセットガスは商品名に「プロパンガス」「LPガス」と言った表記をしていない。

成分はブタンが主成分で、ホームセンタードラッグストアで安価に販売されているカセットボンベはほぼブタン100 %である。プロパンに比べて容易に液化する反面、その際の気化熱でボンベ温度が急激に低下し気化不良を起こすことが多い[注 3]。特に高出力のコンロや暖房用ストーブなどで連続使用したり、寒冷地で使用したりすると、出力が低下したり、ボンベの内容分が残りやすい傾向にある(ドロップダウン)。

このため、カセットガスコンロ等の機器によってはカセットガスの設置部にボンベ温度の低下を抑えるプレートを設置した製品が存在する[注 3]。また、自身が燃焼機器メーカーであるイワタニと東邦金属工業ではレギュラー仕様のボンベでも10?20 %のイソブタンを混入しているほか、寒冷地用に30?50 %をイソブタンとした「イワタニ カセットガスゴールド」「TOHO スーパーブタンガス」も発売されている。

また、極寒冷地向けにプロパンを配合しているカセットボンベも存在する(新富士バーナー ST-760、TRUSCO TB-760、など)が、これらはカートリッジ構造こそブタンガスボンベと同じだが、日本ガス機器検査協会のJIA認証を取得していない。熱量も同一容積比で約20 %高い[21]。これらの用途はガストーチや屋外で使用するアウトドア用のコンパクトストーブで、屋内用の機器での使用は推奨されない。パッケージにも屋外用と明記されている。

なお、通常のLPガスの代わりに一般用のLPガス機器に供給する機器も発売されているが、一般用のLPガス機器で使用した場合、赤炎量が増えるなど通常と燃焼状態が異なる[22]。また、ユーザーが爆発事故を起こしたため[23]、岩谷産業はこの種の供給装置の製造・販売から撤退した。現在は東邦金属工業製「TOHO サンパワー」以外、日本のメーカーでは販売していない。海外製のものが入手可能であるが、これらはJIA認証を受けていない。

アウトドア器具向けには形状の異なるカセットボンベ(概ね通常のカセットボンベより背が低く、容器自体の直径が広く、かつ上記の一般的なカセットガスボンベと異なりネジ式の口金となっている)もあり、OD缶と呼ばれる(対して、一般的なものはCB缶と呼ばれる。焜炉#カセットコンロおよびポータブルストーブ#ガスカートリッジ式ストーブも参照)。一般的なもの同様に使用する場所の気温や地域等の環境に合わせてブタン100 %からイソブタンやプロパンを混合したものが存在する。

容器入りのガスという点でカセットガスに類似するものに、ガスライター用の詰め替え用ガスがある。こちらは煙草の香りを損なわないためにガス漏れ検知用の臭い成分を含まないか、カセットガスよりは少な目になっているほか、低い気温でも着火できるようにブタンを主成分にイソブタンを混合している。上記のカセットガスボンベより変換してライターに充填するアダプターは存在するが、その場合は着火時に臭い成分を感じることがある。

使用済みのカセットガスボンベの廃棄については、スプレー#廃棄時の注意を参照。

家庭用カセットボンベ(CB缶)をアウトドア向けカセットボンベ(OD缶)に変換するアダプターにさらにガスライター用ノズルに変換するアダプターを接続した例

災害に対する特性
利点

LPガスは加圧するだけで液体にできるため、容器による輸送が可能である。そのため容器で輸送した場合は以下の特性がある。ただし、都市ガスと同様に配管で各家庭に送る場合は都市ガスと同じ問題が発生する。

LPガスを容器(ボンベ)で各家庭に設置した場合、配管が短く災害後の点検が容易である。このため復旧が早く、点検が完了した家庭からすぐにガスの使用を再開することができる。またプロパンガスボンベを保有していればすぐに炊き出し等を行うことができ、被災時に活用できる。

阪神・淡路大震災新潟県中越地震の時にも、プロパンガスは短期間での復旧を果たし避難所などでも利用された。
脆弱性

1972年7月9日梅雨前線豪雨により広島県豊田郡安芸津町(当時。現:東広島市)内でがけ崩れが発生。この際、土砂がプロパンガスの貯蔵施設を直撃してガスが漏出したところに何らかの火が引火、ガスボンベ約120本が次々と爆発して付近の住民6人が重軽傷を負う出来事となった[24]

2011年に発生した東日本大震災では、津波によって流された家庭用プロパンガスボンベからガスが噴出、炎上爆発する津波火災が数多く目撃された[25]。これが津波被害に伴う港湾火災などでの火種の一つとなった。その後の被災地では爆発し焼け焦げたボンベが多く残された。

また東日本大震災は広域災害であったため、流通網と供給基地自体が被災により広範囲で機能停止あるいは寸断され、速やかな復旧とはならなかった。とはいえ茨城県土浦市などでは都市ガスが半年から1年の復旧期間を要したのに対し、プロパンガスの方が復旧が早かったのは事実である。茨城県も全域が激甚災害指定地域であり、県南地区の土浦市でも家屋の全半壊は多数発生した。
関連団体


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