液化石油ガス
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なお、通常のLPガスの代わりに一般用のLPガス機器に供給する機器も発売されているが、一般用のLPガス機器で使用した場合、赤炎量が増えるなど通常と燃焼状態が異なる[22]。また、ユーザーが爆発事故を起こしたため[23]、岩谷産業はこの種の供給装置の製造・販売から撤退した。現在は東邦金属工業製「TOHO サンパワー」以外、日本のメーカーでは販売していない。海外製のものが入手可能であるが、これらはJIA認証を受けていない。

アウトドア器具向けには形状の異なるカセットボンベ(概ね通常のカセットボンベより背が低く、容器自体の直径が広く、かつ上記の一般的なカセットガスボンベと異なりネジ式の口金となっている)もあり、OD缶と呼ばれる(対して、一般的なものはCB缶と呼ばれる。焜炉#カセットコンロおよびポータブルストーブ#ガスカートリッジ式ストーブも参照)。一般的なもの同様に使用する場所の気温や地域等の環境に合わせてブタン100 %からイソブタンやプロパンを混合したものが存在する。

容器入りのガスという点でカセットガスに類似するものに、ガスライター用の詰め替え用ガスがある。こちらは煙草の香りを損なわないためにガス漏れ検知用の臭い成分を含まないか、カセットガスよりは少な目になっているほか、低い気温でも着火できるようにブタンを主成分にイソブタンを混合している。上記のカセットガスボンベより変換してライターに充填するアダプターは存在するが、その場合は着火時に臭い成分を感じることがある。

使用済みのカセットガスボンベの廃棄については、スプレー#廃棄時の注意を参照。

家庭用カセットボンベ(CB缶)をアウトドア向けカセットボンベ(OD缶)に変換するアダプターにさらにガスライター用ノズルに変換するアダプターを接続した例

災害に対する特性
利点

LPガスは加圧するだけで液体にできるため、容器による輸送が可能である。そのため容器で輸送した場合は以下の特性がある。ただし、都市ガスと同様に配管で各家庭に送る場合は都市ガスと同じ問題が発生する。

LPガスを容器(ボンベ)で各家庭に設置した場合、配管が短く災害後の点検が容易である。このため復旧が早く、点検が完了した家庭からすぐにガスの使用を再開することができる。またプロパンガスボンベを保有していればすぐに炊き出し等を行うことができ、被災時に活用できる。

阪神・淡路大震災新潟県中越地震の時にも、プロパンガスは短期間での復旧を果たし避難所などでも利用された。
脆弱性

1972年7月9日梅雨前線豪雨により広島県豊田郡安芸津町(当時。現:東広島市)内でがけ崩れが発生。この際、土砂がプロパンガスの貯蔵施設を直撃してガスが漏出したところに何らかの火が引火、ガスボンベ約120本が次々と爆発して付近の住民6人が重軽傷を負う出来事となった[24]

2011年に発生した東日本大震災では、津波によって流された家庭用プロパンガスボンベからガスが噴出、炎上爆発する津波火災が数多く目撃された[25]。これが津波被害に伴う港湾火災などでの火種の一つとなった。その後の被災地では爆発し焼け焦げたボンベが多く残された。

また東日本大震災は広域災害であったため、流通網と供給基地自体が被災により広範囲で機能停止あるいは寸断され、速やかな復旧とはならなかった。とはいえ茨城県土浦市などでは都市ガスが半年から1年の復旧期間を要したのに対し、プロパンガスの方が復旧が早かったのは事実である。茨城県も全域が激甚災害指定地域であり、県南地区の土浦市でも家屋の全半壊は多数発生した。
関連団体

日本LPガス団体協議会

日本エルピーガス連合会

高圧ガス保安協会

脚注[脚注の使い方]
注釈^ 代表的な混合割合はブタン8:プロパン2の割合。なお気化性の問題から地域によってブタンとプロパンとの混合割合を変えて販売している[5][6]
^ 30°Cではブタン0.28 MPa(約2.8気圧)、プロパン1.11 MPa(約10.9気圧)である[10]
^ a b 一般的に、ガスの供給元(タンクやボンベ、カセット等)が冷えていると気化不良を起こし出力が低下する。また、容器に充填したりする際も吐出側より受け入れ側が冷えている方が効率よく(多く)充填することができる。

出典^ a b c d “総合エネルギー / 基礎知識 各種燃料比較”. 岩谷産業. 2023年4月13日閲覧。
^ 発熱量は水蒸気のエネルギーも含む高位発熱量である[1]。なお燃料ガスを容積単位で扱う場合の温度・圧力は、0°C・1気圧での値を用いる。
^ “ ⇒LPガスの基礎知識 - LPガスとは?”. LPガス安全委員会. 2023年4月13日閲覧。
^ “第4章 第1節 液化石油ガス(LPガス) - ENEOS石油便覧”. ENEOS株式会社. 2023年4月13日閲覧。
^ a b c “LPガスの規格”. 日本LPガス協会. 2023年4月13日閲覧。


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