液化石油ガス
[Wikipedia|▼Menu]
□記事を途中から表示しています
[最初から表示]

LPGは重量あたりの典型的な発熱量は50.8 MJ/kg[7]でA重油の39.1 MJ/kg[8]、灯油の36.7 MJ/kg[9]より高い。
生産・供給・消費
生産と供給LPGタンクローリー

油田天然ガス田または製油施設などの副生ガスから不純物を取り除き、圧縮装置や冷却容器で液化する。20°Cでの圧縮圧力はブタン0.21 MPa(約2.1気圧)、プロパン0.86 MPa(約8.5気圧)であり[注 2]低い圧力(2 - 8気圧)で常温で液化でき、耐圧の低いタンクで貯蔵・輸送が可能である。また体積は気化ガス時の250分の1になり、可搬性に優れる。このときのガス自体は無色、無臭の気体である。LPGの大量輸送の場合は、専用船LPG船)・タンクローリーが使用される。

気体としてのLPガスは空気より重く、空気の1.5 - 2倍の重さになる(100 %プロパンの場合、15°C・1気圧で1.865 kg/m3)。比重が空気より重く下に滞留する性質がある。このためガス漏れに備えて設置するガス警報器は、主に天然ガスを材料とする都市ガスと異なり床面近くに設置する必要がある。ガスが漏れると爆発を起こしやすく危険なことから臭いで感知できるようメルカプタン等を添加して着臭タマネギの腐ったような臭いと表現されることが多い)した上で最終消費者へ供給される。
用途

家庭用の
コンロ給湯器、業務用機器などの熱源。近年、LPガスを燃料とする高効率のガス機器(SIセンサーコンロ、エコジョーズエコウィルエネファーム)が普及してきている。ガス漏れ検知のため着臭剤によりタマネギが腐ったような臭いを付けてある。供給形態は、シリンダー(ボンベ)供給、小規模導管供給、簡易ガス(中規模導管供給)、バルク供給などがある。長所は災害時の復旧が早いことや火力が強いことで、短所は一般的に都市ガスよりも価格が高いことである、特に競争原理が働かず、前もって単価が確認できない賃貸住宅では顕著で、都市ガスの数倍になることもある。

携帯用燃焼機器用(カセットコンロ・発電機・ライターガスなど)- 主成分はブタン。

LPG自動車の燃料(オートガス

土木工事用の加熱バーナーの燃料

一部地域での火葬場の火葬炉の燃料あるいは緊急用燃料

火力発電の燃料の1つ
家屋火災にてプロパンガスが爆発した瞬間(右横に噴出している)。

テレビ朝日が放送した『西部警察』の爆破シーンでは、ボンベを建物内に持ち込み、ガスを充満させて爆発させる手法も使われた。
プロパン#LPガスとしての利用」も参照
各国での利用と法規制
アメリカ合衆国

アメリカ国内の主な生産地は、南西部のテキサス州ルイジアナ州の天然ガス田である[11]。1979年輸出管理法に基づき、商務長官は石油製品の輸出を制限できる裁量権限を有している[12]

アメリカでは、LPG業界に適用される法令(連邦法や州法)が数多く存在する[11]。LPG業界でとりまとめられた作業準則であるNFPA58が国家規格となっており国際的にも認知されている[11]。自動車用LPGには家庭用を除いて連邦税が課税される[11]。州税は州ごとに異なる[11]

2012年にアメリカはLPGの純輸出国に転換した[12]。2012年現在のアメリカのLPGの輸出先はほとんどが欧州向けであるが、メキシコホンジュラス、ドミニカ、エクアドルブラジルといった中南米諸国も増加している[12]
日本
販売

液化石油ガスの販売には、日本の法律ではカセットボンベなどの一部を除き液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律(液石法)に基づき、経済産業大臣または都道府県知事への登録が必要となる。また販売事業主は高圧ガス製造保安責任者免状(甲種機械、甲種化学、乙種機械、乙種化学、丙種化学(液化石油ガス)の5区分のみ)または第二種高圧ガス販売主任者免状を受け、かつ6か月以上製造または販売の実務に従事した者の中から高圧ガス販売主任者を選任しなければならない[13]

1997年平成9年)にはバルク供給システムも認可されており、最終消費者に貯槽を設置しその貯槽へのガスの直接供給・運搬装置としてバルクローリーが使用される。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:65 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef