海軍大佐
[Wikipedia|▼Menu]
この時期、軍艦の運航と安全に関して全責任を負うのは艦艇に乗り組む武官(sea officer)の最上位にあたる船長(master)であって、騎士階層出身の戦士であるキャプテンは船の行動についてマスターを指揮した一方、船舶運航と安全については口を出さなかった[4]。その後、艦砲の発達とともに水夫が兵士を兼ねた水兵となり、また操艦が戦闘を左右するようになったこともあってマスターとキャプテンの役割が融合し、キャプテンが船の運航までを一元的に指揮する「艦長」となった[4]。このような変化はおおむねエリザベス朝ごろに始まったものとみられている[4]

17世紀なかばに戦闘艦の等級制度が整備されると、6等艦以上でマスターが配置される艦を「ポストシップ」、その艦長を慣例的に「ポスト・キャプテン」と称した[5]18世紀初頭から先任序列の概念が芽生え、階級意識の醸成へとつながっていった[3]1748年に初めて士官服装規則が制定されるにあたって陸海軍士官の階級の整合が図られ、ポスト・キャプテンの勤務年限3年以上の者を陸軍大佐と同等、それ以下は陸軍中佐相当とし、両者の制服に明確な差異を施したが、この区別は階級制度への移行期における過渡期的な現象であった[5]。またこの時期には「ポスト・キャプテン」という呼称が廃れかけたものの、後に将官提督)の参謀として旗艦に乗艦するキャプテンを「フラッグ・キャプテン」と称するようになると、これとの区別のために再び用いられるようになった[5]。しかし組織の複雑化に伴い、このような配置を基準とした補職の弊害が顕在化したことから、1860年6月9日、海軍本部評議会は、階級を基準とした補職への移行を決定した[3] [注 2]

なお階級制度への移行期にあたるナポレオン戦争期を扱ったホーンブロワーシリーズ翻訳するにあたり、「ポスト・キャプテン」については、高橋泰邦は「勅任艦長」[8]菊池光は「海佐」という造語をあてている[9]
各国の例

アメリカ合衆国海軍アメリカ合衆国沿岸警備隊アメリカ合衆国海洋大気庁士官部隊アメリカ合衆国公衆衛生局士官部隊イギリス海軍カナダ海軍英語・オーストラリア海軍ニュージーランド海軍:Captain

フランス海軍カナダ海軍フランス語・ベルギー海軍フランス語:Capitaine de vaisseau(戦列艦艦長)

イタリア海軍:Capitano di vascello(戦列艦艦長)

スペイン海軍メキシコ海軍アルゼンチン海軍チリ海軍コロンビア海軍・ベネゼエラ海軍・キューバ海軍:Capitan de navio

ポルトガル海軍:Capitao de mar e guerra

ドイツ海軍連邦軍国家人民軍国防軍):Kapitan zur See

オランダ海軍ベルギー海軍オランダ語:Kapitein ter Zee

ロシア海軍ソビエト連邦海軍):Капитан 1-го ранга

ウクライナ海軍:Кап?тан I рангу


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:31 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef