17世紀なかばに戦闘艦の等級制度が整備されると、6等艦以上でマスターが配置される艦を「ポストシップ」、その艦長を慣例的に「ポスト・キャプテン」と称した[5]。18世紀初頭から先任序列の概念が芽生え、階級意識の醸成へとつながっていった[3]。1748年に初めて士官服装規則が制定されるにあたって陸海軍士官の階級の整合が図られ、ポスト・キャプテンの勤務年限3年以上の者を陸軍大佐と同等、それ以下は陸軍中佐相当とし、両者の制服に明確な差異を施したが、この区別は階級制度への移行期における過渡期的な現象であった[5]。またこの時期には「ポスト・キャプテン」という呼称が廃れかけたものの、後に将官(提督)の参謀として旗艦に乗艦するキャプテンを「フラッグ・キャプテン」と称するようになると、これとの区別のために再び用いられるようになった[5]。しかし組織の複雑化に伴い、このような配置を基準とした補職の弊害が顕在化したことから、1860年6月9日、海軍本部評議会は、階級を基準とした補職への移行を決定した[3] [注 2]。
なお階級制度への移行期にあたるナポレオン戦争期を扱ったホーンブロワーシリーズを翻訳するにあたり、「ポスト・キャプテン」については、高橋泰邦は「勅任艦長」[8]、菊池光は「海佐」という造語をあてている[9]。
各国の例
アメリカ合衆国海軍・アメリカ合衆国沿岸警備隊・アメリカ合衆国海洋大気庁士官部隊・アメリカ合衆国公衆衛生局士官部隊・イギリス海軍・カナダ海軍英語・オーストラリア海軍・ニュージーランド海軍:Captain
フランス海軍・カナダ海軍フランス語・ベルギー海軍フランス語:Capitaine de vaisseau(戦列艦艦長)
イタリア海軍:Capitano di vascello(戦列艦艦長)
スペイン海軍・メキシコ海軍・アルゼンチン海軍・チリ海軍・コロンビア海軍・ベネゼエラ海軍・キューバ海軍:Capitan de navio
ポルトガル海軍:Capitao de mar e guerra
ドイツ海軍(連邦軍、国家人民軍、国防軍):Kapitan zur See
オランダ海軍・ベルギー海軍オランダ語:Kapitein ter Zee
ロシア海軍(ソビエト連邦海軍):Капитан 1-го ранга
ウクライナ海軍:Кап?тан I рангу