海藻
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海藻には水溶性食物繊維が豊富に含まれており[6]、水溶性食物繊維は食後の血糖値の急激な上昇を抑制する[7]。人間に必要な多種の栄養素を含んでいる。

日本では海藻は食材として重要である。だし取りや煮物の素材としてのコンブ、漉いて紙状に乾燥させたり佃煮や汁物の具材に用いる海苔、汁物や煮物の具材としてのワカメ寒天心太(ところてん)にして供されるテングサ、主に煮付けとして供されるヒジキ、酢の物として供されるモズク、あるいは褐藻・紅藻・緑藻の種を問わず鮮魚の刺身の盛り合わせのツマとして大根の千切りや大葉などとともに彩りとして用いられるなど、日本料理の体系で中心的な位置を占める。

日本以外では、ケルト系のスコットランドアイルランドが突出した海藻食文化を持っている。ダルス、イボノリ、ヒバマタ、ツノマタ、トサカモドキ、アオサなど伝統的に多種の海藻を食していた。また、チリ沿岸に生息するダービリア・アンタルティカ(英語版)(ダービリア、もしくはコチャユーヨ)と呼ばれる海藻は、1万4000年前から汁物の具として食されていた[8][9]

ケルト系民族を除く欧米では海藻を食用にする習慣が少ないので、英語では海草と一緒に Seaweed(海の雑草)と呼ばれる。しかし、最近では欧米でもヘルシー志向が高まり、海藻を食材として利用する事例も増えており、Sea Vegetable(海の野菜)と呼ばれることも多い。

フランスの海洋生物学と海洋学の研究・教育機関「ロスコフ生物学研究所(Station Biologique de Roscoff)」の研究チームは、日本人の腸が海草に含まれる多糖類を分解できるのは、分解酵素を作る遺伝子を腸内に住む細菌が海洋性の微生物から取り込んでいるためだとする論文を発表し、2010年4月8日の英科学誌『ネイチャー』(Nature)に掲載された[10]

カラフトコンブ(英語版)(シュガーケルプ) ‐ 北海道やノルウェーなどで採取されている昆布の一種。糖分を含み、甘みを持つ。

シースパゲッティ(ドイツ語版)

クビレズタ(海ブドウ)

シーパーム(ドイツ語版)

医療

古代ギリシャの『デ・マテリア・メディカ』(1世紀頃)というハーブ等の医療用草木鉱物をまとめた本には、炎症に褐藻を使うように書いてある。中国最古の薬物学書とされる『神農本草経』(西暦 200-250年頃)には、「海藻 味苦寒。主治?瘤氣,頸下核,破散結氣,癰腫,??堅氣,腹中上下鳴,下十二水腫。一名落首。生池澤。」と記されている[11]。漢方薬では、大叶海藻(ホンダワラ属の海藻)、小叶海藻(ヒジキ)が海藻からなる。

海兵が海藻を傷に巻いていたことから、1881年にアルギン酸塩(アルギネート)が発見された[12][13]。それ以降、傷を早く治すための創傷被覆材や食品添加剤として利用するため、海藻からアルギン酸塩が抽出されている。
海藻風呂
アイルランドやスウェーデン、日本では海藻を入れた海藻風呂(シーウィードバス)の伝統がある[14]。日本の千葉県、茨城県、三重県、石川県などではカジメが、太平洋側ではアラメが良く使われる。これらの海藻風呂では抗酸化性が確認された[15]
科学技術分野

テングサから作られる寒天培地は、基本的な培地として微生物や細胞の培養に用いられる

バイオエタノールの安価でかつ、他の食料としても使用される原料と競合しにくい安定した供給源としても有望視されている。東京水産振興会などが大規模なバイオエタノール採取用の海藻類養殖を計画している。

化石燃料に変わる燃料として研究されている微細藻燃料

一部の海藻はヨウ素を体内に蓄積する性質があり、かつて、ヨウ素は海藻の燃焼灰から抽出していた。現在は地下の化石海水からより安価に採取されているが、化石海水に含まれるヨウ素も海藻が起源との説もある。

水槽用のろ過装置(en:Algae scrubber)

カラギーナンの抽出材料として。

硝石製造 - 中国の漢代に製造法が確立した[16]

ヨウ素(ヨード)製造 - 1811年末にフランス人科学者ベルナール・クールトアが硝石の製造方法からヨードを作る技術を発見し、ヨード製造産業が確立した。


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