先述のように、従来はこの群が他の後生動物とは別の系統に属するとの説があった。しかし分子系統学等の情報から、多細胞動物は襟鞭毛虫の群体が起源であると考えられるようになり、海綿動物は最も原始的な多細胞動物であるという説があらためて提示されている。したがって、動物は総て祖先を共有する単系統群であると考えられている。
しかし、最古の多細胞動物の化石であるエディアカラ生物群からは刺胞動物によく似た生物が見つかっていることから、 刺胞動物の幼生に類似した単細胞生物の繊毛虫のようなものが多細胞動物の起源であるという考えも残っている(繊毛虫類起源説、ciliate theory)。
いずれにせよ、多細胞動物としては破格に組織器官が単純であり、その進化のごく初期に分化した原始的なものであるとの定見がある。しかし、海の底生生物としては非常に成功している動物群でもある[3]。
分類
石灰海綿綱 Calcarea
普通海綿綱に属する6種の海綿は海綿質繊維だけからなり硬い骨片を持たないため、スポンジとして化粧用や沐浴用に用いられる。地中海産、紅海産の海綿が柔らかく、品質が高いとされる。海底で捕獲した海綿の組織を腐敗させ洗い流して残った骨格が、スポンジとして店頭で見られる海綿となる。日本では、ガラス海綿の一種であるカイロウドウケツなどがその姿の面白さから飾りなどに使われた。