海洋国家
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大陸国家が外洋に出て、新たな海上交通路や権益の拡大をしようとすれば、海洋国家はそれを防ぐべく封じ込めを図ろうとする。それゆえ大陸国家と海洋国家の交わる地域での紛争危機はより高まる。

また、「東欧を支配するものがハートランドを支配し、ハートランドを支配するものが世界島を支配し、世界島を支配するものが世界を支配する」とした上でイギリスを中心とした海軍強国が陸軍強国による世界島支配を阻止すべきだと論じ、海洋国家によるミッドランド・オーシャン連合を提唱した。理論の後継者にニコラス・スパイクマンリムランドがある。

政治学者ルドルフ・チェレンは国家を有機体のひとつとみなし、国家有機体論を唱えた。チェレンは、国家の精神は国民や民族により具現化し、領土は国家の肉体であるとした。領土については地理的個性化の法則を論じ、国家の理想的な姿を自然の範囲、自然的境界と自然の領土にあるとした。自然的境界として最も理想的なものは海であり、大陸国家もまた大洋を目指してその領土を拡大しようとする理由は主にそこにあるとした。一方で、自然的領土については河川ないし河川囲繞と海洋囲繞であるとした。
おもな海洋国家「タラソクラシー」、「シーパワー」、および「en:Maritime power」も参照
過去の海洋国家

フェニキア

アテナイ

カルタゴ

トンガ大首長国

ジェノヴァ共和国

ヴェネツィア共和国

ポルトガル海上帝国

スペイン帝国

オランダ海上帝国

イギリス帝国

オマーン海上帝国

フランス植民地帝国

大日本帝国

脚注[脚注の使い方]
注釈^ むしろ他国を占領すればそれだけ防衛における国力のエネルギーを分散かつ消費させるだけとされる。それだけに外部勢力が極端に強くなることは当然にして避けたい事態であり、大陸制覇を試みるよりも、むしろ大陸諸勢力を競合させることが得策と考えられる。
^ このため、社会システムや思想は開放的で、自由主義的となる傾向が強いといわれ、海洋を通じた海外貿易により富を容易に得る上で、その安全性を確保するために海軍、商船隊や漁船隊などのシーパワーを重視する国家が多いことが主な特徴である。
^ また、大量の兵員を必要とすることはなく、さらに船を操るには特別の知識と体験を必要とするところから、兵制は志願兵制度を取る国が多い。また、艦艇は高価で建造に年月が必要なことから、戦争では努めて武力戦を避け、外交交渉や威嚇により目的を達する傾向が強いともいえる。シーレーン防衛については、とりわけ、海上封鎖などによる不当な経済制裁通商破壊といって、その国の交易活動、経済活動を大きく混乱させることから、早くから経済と安全保障の関わりは指摘されてきた。

出典^ .mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}"海洋国家". デジタル大辞林. コトバンクより2022年5月21日閲覧。
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^ 『世界史の誕生』ちくま文庫
^ 同書244-245頁
^ 伊藤博文 編「海上の権力に関する要素」『秘書類纂: 雑纂其1』 戦時禁制品処分問題、秘書類纂刊行会、1936年、87頁。https://books.google.co.jp/books?id=2qjEoUUkqWkC。2021年3月31日閲覧。"然るに水産物の精製と共に其漁業の所得を海外に輸出するに始まり、終りに東洋の貿易を専有し、二百年間海上の権力を占領するに至りたり"。 
^ 池田嘉郎「帝国、国民国家、そして共和制の帝国」『Quadrante : クァドランテ : 四分儀 : 地域・文化・位置のための総合雑誌』第14巻、東京外国語大学海外事情研究所、2012年3月、81-99頁、ISSN 1344-5987、NAID 120005254532、2022年6月1日閲覧。 

関連文献

出典は列挙するだけでなく、脚注などを用いてどの記述の情報源であるかを明記してください。記事の信頼性向上にご協力をお願いいたします。(2017年8月)


飯本信之著『政治地理学』(中興館、1936年)

太田晃舜著『海洋の地政学』(日本工業新聞社、1981年)

加藤友康編『歴史学事典7巻 戦争と外交』(弘文堂、2007年)

カール・ハウスホーファー窪井義道訳『大陸政治と海洋政治』(大鵬社、1943年)

カール・ハウスホーファー・太平洋協会著『太平洋地政学』(岩波書店、1942年)

国松久弥著『地政学とは何か』(梶谷書院、1942年)

倉前盛通著『ゲオポリティク入門』(1982年、春秋社)

河野収著『地政学入門』(原書房、1981年)

河野収著『日本地政学  環太平洋地域の生きる道』(原書房、1983年)

佐藤徳太郎著『大陸国家と海洋国家の戦略』(原書房、1973年)

曽村保信著『海の政治学 海はだれのものか』(中公新書、1988年)

花井等編『地政学と外交政策』(地球社、1982年)

前田虎一郎著『地政学的国家の興亡』(二松堂、1942年)

ルドルフ・チューレン著・金生喜造訳『領土民族国家』(三省堂、1942年)

イヴ・ラコスト著 ・ 猪口考日本語版監修 ・ 大塚宏子訳『ラルース 地図で見る国際関係』(原書房、2011年)

関連項目

島国

地政学

大陸国家

植民地

海洋政策

海洋基本法

海洋安全保障

シーレーン

チョークポイント


海軍戦略

海洋戦略の諸原則


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