経済水域や大陸棚の確定、化石燃料や鉱床の発見、水産、軍事、学術、防災などの目的で、海底の調査が行われている。かつては水上を航行する船を座礁させる危険がある浅瀬や暗礁の発見が重視されていたが、潜水艦の性能向上により、各国は公海や外国領海でも海底の地形や海流、海水温、塩分濃度などの把握に力を入れている。資源開発の分野では、海底に存在するメタンハイドレートやマンガン、レアアースなどの鉱床も、20世紀後半から資源化石燃料枯渇に対する懸念もあって注目を集めている。
水深測量や海底地形の調査はおもに音波測距と紡錘によって行われる。現在では音波測距の方法も改善されている。
1872年から1876年にかけてチャレンジャー号によって実施された調査(チャレンジャー号探検航海)により、世界の海底の様子が明らかにされた。また、1960年代にはアメリカ西海岸でファンデフカプレートの調査が行われ、海底の古地磁気記録の詳細が明らかになった。日本では海上保安庁によって世界でも最高水準の海底地形調査が実施された。現在でも地震後などに海底地形の調査が行われている[2]。さらに、同庁・名古屋大学・東北大学によって、プレート境界の海底地殻変動が調査され、地震学に貢献している。
海底には、陸上や水上における人類の活動で生じた様々なごみやガレキ、沈没船、化学物質などが行き着く。一部は漁礁となって海洋生物の繁殖を助けるが、汚染の原因となる場合もある。日本の海洋研究開発機構(JAMSTEC)は、深海底ごみの画像を集めた「深海デブリデータベース」の公開を始めた[3]。
おもな海底調査船深海の探査に関しては深海探査を参照。
海底を調査する船を掲げる。ただし海底調査が主たる目的とは限らない。
チャレンジャー(イギリス):学術調査目的の帆船。19世紀に世界一周し海底を含む様々な海洋調査を行った。
バチスカーフ・トリエステ号(アメリカ海軍):1960年にマリアナ海溝最深部(10,900m)に到達。
バチスカーフ・アルキメデス号(フランス):1961年に日本近海で9,500mの潜水。
しんかい(海上保安庁):有人調査艇。600mまで潜水可能
しんかい2000(海洋研究開発機構):有人深海調査艇。2,000mまで潜水可能
しんかい6500(海洋研究開発機構):有人深海調査艇。6,500mまで潜水可能
ノチール号(フランス):有人深海調査艇。6,000mまで潜水可能
アルビン号(アメリカ):有人深海調査艇。4,500mまで潜水可能
シークリフ号(英語版)(アメリカ):有人深海調査艇。6,000mまで潜水可能
ちきゅう(海洋研究開発機構):海底掘削船
水深が浅い沿岸海底は古来埋め立てられて耕地や市街になってきたほか、20世紀以降は陸地から離れた比較的浅い海底に資源開発や科学調査、軍事目的の施設(プラットフォーム)が建てられるようになった。これらには、蘇岩礁やシーランド公国のように紛争の舞台になっている例もある。また19世紀以降、通信・送電用の海底ケーブルや、潜水艦探知機など各種の観測機材が設置されている。
しらせ (砕氷艦・2代)には音響測深機が搭載されており、南極海の海底を調査している。
脚注[脚注の使い方]^ 満田豊他著 『海のなんでも小事典』 講談社ブルーバックス 2008年3月20日第1版発行 ISBN 9784062575935
^ https://www1.kaiho.mlit.go.jp/KAIYO/iroiro/press_H14_tokachi_plan/tokachi_kouhou.html
^ https://www.jamstec.go.jp/j/about/press_release/20170403/ 海底ごみの映像や画像を集めた「深海デブリデータベース」を公開?深海に沈むごみの情報を公開し、海洋環境に関する課題解決に貢献?(2017年4月3日プレスリリース)
参考文献
加古里子 『海』 福音館書店、1969年 ISBN 4-8340-0201-2
関連項目
法的深海底
海底火山
海底谷
海底油田
日本の海底資源
海底トンネル
海底ケーブル
海底ポスト
堆積物
海底遺跡
海底人
外部リンク
⇒海洋情報研究センター・日本水路協会 海の知識
⇒海洋情報研究センター - 日本の海底調査船。
『海底』 - コトバンク
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