海岸
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海岸線は、波による侵食堆積作用、地殻運動による隆起と沈降、海水準変化などによってその位置が変化しやすい[5][リンク切れ][6][リンク切れ]。

各国の海岸線の長さに関しては国の海岸線の長さ順リストを参照。

なお、島嶼国家である日本は海岸線が長く、その合計は3万5000キロに達しており、アメリカ合衆国の1.5倍、中華人民共和国の2倍の海岸線を保有している[7][8]
海岸の環境と生物

海岸にはたくさんの生物がすんでいるが、それらの生物は潮の満ち引き具合、海岸の底質(干潟・砂・岩礁)、食物の分布などに応じて細かくすみわけている。岩礁の場合、水準によって岩の上に付着する生物が違うため、帯状分布が観察しやすい。

海岸の生物の生息場所を表す方法のひとつとして、潮の満ち引きによる区分がある。満潮時の海岸線を満潮線、干潮時の海岸線を干潮線とよび、海岸をその2つの線で区切ると以下3つの地帯ができる。
潮上帯
満潮線より上の地帯で、いつも陸上となる部分。飛沫帯(ひまつたい)ともいう。ふつうの植物は塩分に弱いので海岸から距離を置く必要があり、植物が生えきれない砂浜や岩場は乾燥が激しい。よってここには乾燥と潮風に耐えうる生物だけが生息できる。
潮間帯
満潮線と干潮線の間の地帯で、1日のうちに陸上になったり海中になったりする部分を潮間帯という[9]。河川や海水が無機塩類を運搬するうえ潮が引くと日光がよく当たる。生物にとって栄養と太陽光は充分だが、日射や降水によって塩分濃度や温度が急激に変わり、また強い波浪にも対応する必要がある。よってここには環境の変化に強い生物が多い。干潮時に海水が残る部分を潮だまりといい、生物の生活の上では重要である。
潮下帯
干潮線より下の地帯で、いつも海中となる部分。生物にとっては安定した環境だが、干潮線の直下などでは強い波浪に対応する必要がある。
海岸の型
生物にとっての海岸は、その地形や条件によって異なり、それは地理的な分類とはまた異なっている。また、どの生物を中心に考えるかによっても、見方が違う場合がある。

岩礁海岸・一般に言われる磯では、生物の多様性が高く、様々な動植物の観察に適している。

砂浜は、底質が単調で固定していないだけに、生物の多様性は必ずしも高くないが、独特の生物が見られる。砂の隙間には間隙性生物が生息し、陸側には海浜植物が見られる。

内湾や河口の風や波あたりの弱いところは、細かい泥が堆積する。干潮時には広い泥質の底面が空気にさらされる。このような環境を干潟という。干潟では主として海産の生物が生息する。干潟の陸側では、淡水の影響があって一部の陸生植物が進入する。このような場所を、陸生植物の側から見たときに塩性湿地とよぶ。熱帯ではここにマングローブが成立する。

海岸の利用と保護

海岸は古来、食糧を得るために
が行われてきた場所である。現代では釣り潮干狩りなどの遊びレジャーの場ともなっている。砂浜は海水浴場となる。

海岸の中でも美しい景観の場所は観光名所ともなる。

海岸は、砂浜ならば、漁師の舟(小さなボート)を乗り上げ、ロープなどで引っ張り「陸揚げ」することはできる。古来行われており、今でも世界各地の砂浜で漁師の小舟が乗り上げているのを見ることができる。だが砂浜でも中型?大型の船は、大きすぎ、重過ぎて、また船底の形も陸揚げに向かないので、陸揚げすることは基本的にはできない。岩場などは(船というのは船底が擦ると傷んでしまうので、特に岩場で座礁すると船底に穴が空いてしまうので)大抵は自然の地形そのままで利用することは困難で、何らかの造成が必要となることが多い。たとえばフェニキア人の国家カルタゴは建築技術を用いて石材やモルタルを用いて大きな港を建造し国際海洋国家として繁栄し、ローマと対等に競い合った。日本では鎌倉時代鎌倉の浜では(大きさ15?数十cmほどの)石を大量に投げ入れて船着き場・荷降ろし場を人工的に作り海運に役立てた。それは今も(なかば水没する形だが)遺跡として残っている。現代では海岸を船着き場として活用する場合は、結局、コンクリートで工事をすることが一般的である。

土地を増やしたい場合に海岸付近の海が埋め立てられ埋立地となる。またゴミ処分のために埋立地が作られることもある。埋立地の用途はさまざま。現代では工業地帯空港などが建設されることも多い。

海岸が浸食されては困る場所では、消波ブロック(テトラポッド)の設置などにより、侵食を防ぐ処置が行われている。

上流のダム・砂防ダム、あるいは海岸の防波堤などを建設したことの悪影響で、砂浜の中には砂の供給が減少し、消滅していってしまうものもある。養浜が行われる場所もあるが、多額の費用をかけた割に砂が定着せず流出し、失敗してしまうこともある。

人類が日常的に世界各地の川で投棄したゴミが、海へと流れてゆき、海岸に打ち上げられ、結局、海岸の大量のゴミとなっている。漂着ゴミ(海洋ゴミ)

海洋投棄された廃棄物貨物船の事故などにより流れ出た積載物や重油などによってもまた、海岸は汚染される。

ギャラリー

船を着ける場所としての利用。砂浜なら船底も傷まないので、とりあえず砂に乗り上げた場所で係留することもできる。

舟をしっかりと陸にあげる場所としての利用。昔なら大人数で力を合わせてロープを引いて舟を上げた。現代ならウィンチで引き上げる。

カルタゴの港(の再現模型)。各パーテーション内に大きな軍艦が1隻入る。数十の軍艦が本拠地とした巨大な複合型軍事港。

消波ブロックを使用した海岸保護の一例

雁木による護岸

ハワイの海岸に打ち寄せられたゴミの山。人類が日常的に川や側溝などに捨てているゴミが、ひとめぐりして結局 海岸にたどりつく。(商品に印刷されている文字などによって)ハワイの海岸に打ち寄せられるゴミの数割は日本人が出したゴミであることが知られている。

エジプト紅海の海岸に打ち寄せられたゴミ

脚注[脚注の使い方]
出典^ a b c “海岸 > 渚にまつわるetc > 用語集”. 茨城県. 茨城県. 2020年5月9日閲覧。
^ a b ミシマ社: 松本健一『海岸線の歴史』p.26-p.27
^ [1]
^ a b c “ ⇒海岸工学 講義スライド 第2回(海岸形状と港湾構造物)” (PPT). 山口大学工学部社会建設工学科水工学研究室. 2020年5月9日閲覧。
^「かいがん‐せん【海岸線】」 大辞泉[リンク切れ]
^ 豊島吉則 ⇒「海岸線(かいがんせん)」 日本大百科全書(小学館)[リンク切れ]
^ ミシマ社: 松本健一『海岸線の歴史』p.18
^ ミシマ社: 松本健一『海岸線の歴史』p.30
^ “沿岸海域土地条件図 地形区分等”. www.gsi.go.jp. 国土地理院. 2020年5月9日閲覧。

関連項目.mw-parser-output .side-box{margin:4px 0;box-sizing:border-box;border:1px solid #aaa;font-size:88%;line-height:1.25em;background-color:#f9f9f9;display:flow-root}.mw-parser-output .side-box-abovebelow,.mw-parser-output .side-box-text{padding:0.25em 0.9em}.mw-parser-output .side-box-image{padding:2px 0 2px 0.9em;text-align:center}.mw-parser-output .side-box-imageright{padding:2px 0.9em 2px 0;text-align:center}@media(min-width:500px){.mw-parser-output .side-box-flex{display:flex;align-items:center}.mw-parser-output .side-box-text{flex:1}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .side-box{width:238px}.mw-parser-output .side-box-right{clear:right;float:right;margin-left:1em}.mw-parser-output .side-box-left{margin-right:1em}}ウィクショナリーに関連の辞書項目があります。海岸 ウィキメディア・コモンズには、海岸に関連するカテゴリがあります。

海岸法(日本における海岸に関する法律)

砂浜

海岸浸食

海浜流

白砂青松

鳴き砂

漂砂


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