浅草
[Wikipedia|▼Menu]
猿若町(現・浅草6丁目)には江戸三座があり、劇場街として賑わった

江戸時代に浅草が発展した要因は、浅草御蔵(蔵前)に米蔵が設置され、札差株仲間)が登場してきたためといわれている。蔵前では、日本全国から集められた侍や江戸庶民たちの食用米、城で働く武士たちの給料としてのなどを保管していた。いわば金蔵のようなもので、この米を守るために大勢の警備が配置され、下級役人が暮らしていた。

江戸時代、武士の給料は米で支払われていたため、武士たちのために米を保管するだけでなく現金にも替える札差という商人が出てきた。札差は預かった米から手数料を引いて米と現金を武士に渡し、現物で手元に残った分の米は小売の米屋たちに手数料をつけて売っていた。札差は武士と小売の両方から手数料を取るため莫大な利益が出た。さらに儲かった金を武士たちに利子を付けて貸していたため札差は大富豪が多く、豪遊する場として浅草は江戸文化が発展した。また両国(現在の東日本橋)を中心に蔵前商人は店を構えていたので、商人や武士たちの多くが浅草周辺に集まった。中でも浅草は江戸で最も人が集中する所で人・物・金が集まってきた。1657年(明暦3年)の明暦の大火の後、日本橋芳町(現在の日本橋人形町)から新吉原遊廓が移転してきた。1841年天保12年)人形町の中村座の失火をきっかけとして市村座浄瑠璃の薩摩座、操り人形の結城座が焼失したことから、河原崎座を含めた江戸市中の芝居小屋を現在の浅草六丁目一帯(丹波園部藩主、小出邸の跡地面積約一万坪)に集め、猿若町と名づけて芝居町とした。

札差は武士と共に新吉原歌舞伎座を借り切りし豪遊(接待)したり、舟遊びを楽しんだりしたと伝えられる。当時、芝居小屋や吉原に出入りしては(いき)を競い、豪遊を行った町人を通人(つうじん)と呼んだ。中でも「十八大通」と呼ばれた人々がおり、その多くは札差連中であった。歌舞伎の演目『助六』のモデルとも言われ
明治・大正・昭和初期

明治には12階建ての凌雲閣が建てられ、新たに演芸場や劇場等が建ち、東京らしい文化の発信地として知られるようになった。1917年(大正6年)には常磐座で歌舞劇協会によるオペラ『女軍出征』が上演されたことがきっかけで、浅草ではオペラが大流行した[4]。一方では、1921年(大正10年)4月6日に発生した浅草の大火(1200戸焼失)[5]1923年(大正12年)9月1日に発生した関東大震災で市街地の大部分が被害を受けた[6]1923年(大正12年)5月、浅草区内の、し尿処理が公営化される。料金は1荷(2樽)で10銭[7]

震災後の興行界は松竹の進出が本格的となり、昭和初期においては有楽町に進出した東宝と覇を争った。その後も松竹歌劇団 (SKD) の本拠地である国際劇場ロック座フランス座などのストリップ興行で賑わった。次第に浅草の風紀の乱れが著しくなったため、1930年(昭和5年)、警視庁は通称「エロ取締規則」を発出。舞台上で着用するズロースの長さや色、肌の露出の程度や照明の当て方などの演出が厳しく制限されることとなった[8]

映画館は1931年(昭和6年)、外国映画に日本語字幕が入り始め、国産トーキー映画が封切られる[9]など繁栄が続く一方、浅草の映画館で活動していた映画説明者約70人[10]のほとんどが失業することとなった。

交通機関では1927年(昭和2年)12月東京地下鉄道の浅草駅が東洋で最初の地下鉄駅として開業。さらに1931年(昭和6年)5月東武鉄道が延伸して浅草雷門駅(現在の浅草駅)も開業した。また、昭和初期には、浅草国際通り沿いに森下仁丹仁丹塔の愛称で長らく親しまれた広告塔を建設した(戦後にも再建、1986年に解体)。

しかし第二次世界大戦と戦時体制が激化、一時期の繁栄の勢いが失われてしまい、末期には空襲の被害を受ける。
戦後復興期

浅草は第二次世界大戦後も多くの人々を集め続けた。戦後には浅草寺周辺をはじめ、田原町、蔵前合羽橋周辺の旧浅草区道路インフラ整備が進み、拡幅された碁盤の目をもつ街並みとなった。

映画産業は依然として活況を呈し、戦後のどさくさに紛れて非合法のブルーフィルムを上映する映画館も現れた[11]1955年には浅草の私設馬券場が約400軒に急増して日本最大級の競馬の街となったが、同年、競馬法の改正に伴いノミ屋の規制が強化され、瞬く間に姿を消した[12]1974年には、合法的な場外馬券売り場(現、ウインズ浅草)が開業した。
低迷と復活

テレビの普及に因り1960年代前半から六区にあった映画館が次々と閉館し、同時期、東京都区部西側の新宿渋谷池袋等が副都心として台頭。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:70 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef