浅草演芸ホール
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客入りが望める初席、ゴールデンウィーク(5月上席)は落語協会の芝居となる。

同じ協会がまる一日を担当するが昼の部と夜の部では出演者が異なる。なお、これは東京の寄席では通常のことである。

落語芸術協会のみ、10日間を5日ずつに分けてそれぞれ別個の番組を編成している(いわゆる5日興行制)。

昼の部:11:40?16:30

夜の部:16:40?21:00

基本的に昼夜入れ替え制はとっていないため、通しで見ることも可能である(ただし、年始・特別興行など混雑が予想される場合は入れ替え制が取られる)。前売り予約は基本行われないが、あらかじめ混雑が予想される興行に関しては「整理番号付き、自由席」の前売券を「Ticket Pay」で発売することがある[注釈 2]

1月を除く毎月31日は「余一会」と呼ばれる特別興行が行われている(後述)。定席寄席の中では年末も休まず、27日まで定席興行を打った後、28日から31日までは「年末特別番組」が編成される。

以下、主に毎年恒例化している番組の内容を概説する。
正月初席

正月は浅草周辺は観光客で混雑する。2008年(平成20年)初詣では浅草寺に221万人が足を運んだ。その大量の客が参拝の後に当ホールに立ち寄るので、立錐の余地もないほどごった返す。もちろん初席なので顔付けがいいことはいうまでもない。ただし一人当たりの持ち時間が通常の定席興行と比較し、極端に短いためネタをやらずに小噺雑談で高座を降りる噺家も多い。上述の通り、落語協会のスター落語家が勢揃いする。番組は四部制が取られ、令和六年(2024年)初席の主任(トリ)は一部:林家木久扇、二部:春風亭小朝、三部:九代目林家正蔵、四部:柳家さん喬となっている。

加えて、初席の5日間は姉妹館の「浅草東洋館」でも落語協会の定席となる(東洋館は三部制)。以前は初席のみ客は一枚のチケットでどちらにも行けたが、2024年現在では演芸ホール・東洋館相互の移動は不可能となっている[13]
正月二之席

代わって落語芸術協会の浅草での当年初興行となるため、芸協所属の芸人がほぼ勢揃いの顔付けとなる。初席同様に一人当たりの持ち時間は短い。昼・夜の二部編成(昼の部の開演は11時に繰り上がる)だが、原則入れ替え制は行わない。令和六年(2024年)二之席の主任(トリ)は昼の部:春風亭昇太、夜の部:三遊亭小遊三となっている。
六月上席

後半(6?10日)の夜の部の大喜利として、主に落語芸術協会所属芸人の写真サークルである「お笑いぱっちり倶楽部」による「お笑いぱっちりバトル」が行われる。生前の桂歌丸が同倶楽部の会長(2024年時点の会長はナイツ土屋伸之)であり、地元である横浜にぎわい座で写真展と興行が行われていた[14]が、2022年から浅草演芸ホールに移って行われるようになった。所属部員が各日事前に決められたテーマに基づく写真を披露し、千秋楽までのポイント制で競う。落語協会所属のすず風金魚も同クラブに所属しており、この芝居は芸協の興行であることから、ゲストとして大喜利のみに出演する[15]。主任は三笑亭夢太朗が務める。
七月上席

昼の部の大喜利として、落語協会メンバーによる「茶番」(鹿芝居)が恒例となっている。主任は金原亭馬生が務める。
七月中席

昼の部の大喜利として、落語芸術協会メンバーによるハワイアンミュージックバンド「アロハマンダラーズ」の演奏がある。以前は新宿末廣亭8月中席の昼の部に開催されていたが、2018年からは浅草演芸ホールに移った。
八月上席

昼の部で、2006年以降、落語芸術協会メンバーによるデキシーバンドにゅうおいらんず」の演奏が大喜利として行われている。夏休みの時期でもあり、三遊亭小遊三春風亭昇太などの人気者が楽器を演奏するところを楽しめるので、人気公演となっている。
八月中席

毎年昼の部は「納涼住吉踊り」が大喜利として行われる。協会を問わない顔付けをしていた東宝名人会のヒット企画であり、三代目古今亭志ん朝八代目雷門助六を踊りの師として始めたものであった。東宝名人会の終了後に当ホールが受け継いだ。上記の通りこれは落語協会の芝居だが、(東宝名人会では協会を問わず出演していたことから)落語芸術協会所属の落語家が多数顔付けされる、定席で唯一の混成ラインナップともいうべき特別な芝居となっている。志ん朝亡き後、かつて東宝名人会所属だった四代目三遊亭金馬が中心となり芝居を受け継いだ。その後金馬が高齢のため座長を勇退した後、座長は金原亭駒三(2018年まで)、古今亭志ん彌(2019年より)へと受け継がれている。
八月下席

2003年より、夜の部の興行は「禁演落語の会」と銘打ち、落語芸術協会が演芸評論家(青山忠一長井好弘中村真規今野徹石井徹也和田尚久ほか)の解説をつけて禁演落語を口演している[16]。主任は三代目三遊亭遊三三代目三遊亭圓輔といった芸協の大ベテランの噺家が務めるほか、落語立川流立川談之助が芸協所属外であるが常連として顔付けされている。
余一会等

一年のうち3・5・7・8・10月の31日(1月を除く)は「余一会」として特別興行が組まれ、以下の内容が恒例となっている。
5月

「ファミリー寄席」として、桂歌春とその娘である田代沙織を中心とした番組が組まれる(2022年以降は歌春が主任、田代は膝替わりを担当し落語と踊りを披露する)。演者は落語芸術協会主体になるが、芸協所属外の演者も顔付けされ、田代が所属する生島企画室の会長である生島ヒロシやその息子の俳優である生島勇輝も出演し、ヒロシは漫談または他の演者と組んで漫才(2022年はせんだみつおと組んでいる[17])、勇輝は落語を披露する。
7月

「三遊落語まつり」として、現在は落語協会(六代目三遊亭圓窓圓丈一門)・五代目円楽一門会五代目三遊亭圓楽一門)と分かれた六代目三遊亭圓生一門が、団体の垣根を越えて出演する一門会となっている。現在では圓生一門の直弟子はすべて故人となった[注釈 3]ため、代わって孫弟子以降の一門が出演している。円楽一門会は基本的に定席に出演することはないため、落語協会所属の一門とともに合同で昇進披露口上が行われることがある。
8月

1982年より初代林家三平追善興行を毎年開催しており、初代三平一門とその孫(曾孫)弟子が昼夜にわたって総出演する。主任は初代三平の実子である九代目林家正蔵二代目林家三平がそれぞれ務める。かつての初代三平一門の惣領弟子であった林家こん平(2020年12月死去)は、病身になってからも2018年まで「ご挨拶」という形で出演していた。
10月

2011年から、10月余一会昼の部は古今亭志ん輔の企画による若手芸人バトルが開催されている。タイトル・参加資格などは年によって変更されている。優勝は審査員と当日の観客(必ずしもコンテストに参加することを目的とした客だけではない)の審査によって決定する。また、優勝者への副賞が協賛社の味噌・焼酎・反物などバラエティに富んでいるのも特徴のひとつである。毎年、各団体の若手芸人が幅広く参加していたが、2021・2022年と落語協会所属の落語家のみの参加となっている(2023年より再び他団体の芸人参加を再開)。

余一会夜の部は、志ん輔を中心とした二人会・三人会・四人会などが開催される。

年タイトル出場者(優勝者は太字)備考
2011年読売杯争奪!超党派 二ツ目バトル春風亭朝也
2012年読売杯争奪!超党派激突!二ツ目バトル桂宮治三遊亭きつつき三遊亭金兵衛金原亭馬治立川こはる柳亭こみち
2013年読売杯争奪 激突!二ツ目バトル三笑亭夢吉立川志の春鈴々舎馬るこ桂夏丸三遊亭時松三遊亭橘也
2014年読売杯争奪 激突!二ツ目バトル三遊亭粋歌神田きらり春風亭一蔵柳家小太郎春雨や雷太柳亭小痴楽
2015年読売杯争奪 激突!二ツ目バトル古今亭駒次、桂夏丸、柳家わさび瀧川鯉八三遊亭好の助神田松之丞立川笑二


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