「正しい思想を正しい方法で教育すれば人間は変わる」という毛沢東(中国共産党中央委員会主席)の「思想改造」政策によって、戦争の捕虜は毎日、学習や運動をして過ごした[17]。
日本人戦犯の「思想改造」教育課程は、三段階となっており、
反省学習(マルクス主義や毛沢東思想の学習)
罪行告白(坦白(たんぱい))
尋問
1956年には中国の瀋陽市の最高人民法院特別軍事法廷で起訴され、被告全員が罪を認め謝罪し、翌1957年に帰国してから日本で中国帰還者連絡会を創立し、加害証言活動と謝罪活動を行った[17]。
歴史家の秦郁彦は、日本人捕虜の「認罪」過程を洗脳として供述書の信憑性に注意すべきであるとした[19][17]。また、小林よしのりは、中国側の「思想改造教育」を自己啓発セミナーやカルト宗教の洗脳システムそのものと批判した[20][17]。
一方、ジャーナリスト新井利男は「天皇崇拝思想・軍国主義思想に洗脳されていた戦犯たちが、自らそのマインドコントロールを解き放ち、精神の自由を取り戻して罪を告白」したと評価している[21][17]。『週刊金曜日』は撫順戦犯管理所での認罪を「『人類の解放』という理想を体現した世界でも希有な歴史的事実」と絶賛した[22]。
古海忠之と城野宏の対談『獄中の人間学』で城野は「もともと洗脳などされるわけもないし、実際にやられてもいない。中国共産党もそれほど馬鹿じゃありませんよね(笑)」「ぼくも帰国したときに、新聞記者たちに洗脳されたのではないかという質問を受けましたよ。だから、洗脳とはどういう意味だ、シャンプーで頭髪を洗うことかと言ったら、思想を矯正して共産党員にすることだと言う。答えてやりましたよ、それは実に簡単なことで中国で矯正されて共産党員になるくらいなら、日本の警察で矯正を受ければ、すぐにハイ、やめます、と言うことになるだろう。そんな馬鹿なことをやる毛沢東だったら、おれは戦争に負けておらん(笑)。そう言ってやった」[72-73ページ]と記載されている。当事者の弁である。
新疆ウイグル再教育キャンプにおける「人格改造」「新疆ウイグル再教育キャンプ」を参照
2010年代から中華人民共和国は新疆ウイグル自治区の強制収容所(新疆ウイグル再教育キャンプ)で何十万人もの人間に対して組織的な「洗脳」や「人格改造」を行っていると報じられている[23][24]。
2019年11月に国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が公開した中国政府の文書とされるチャイナ・ケーブル(英語版)によれば、監視カメラや携帯電話などから個人情報を収集してアルゴリズム解析する「一体化統合作戦プラットフォーム」(IJOP)による人工知能(AI)と機械学習を利用したプレディクティブ・ポリシング(英語版)でウイグル人を選別して予防拘禁し[25][26]、
徹底的な生活行動の管理と脱走の防止