法律
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その場合には、一般に以下のような過程を経る(以下では、内閣法制局の説明 ⇒[1]を要約し、必要に応じて補足した)。その進行は「タコ部屋」と呼ばれる法案準備室が中心となる。
各主管官庁が、新たに法律を制定したり、既存の法律を改廃したりする、法律案の原案(第一次案)を作成する。

第一次案を基に、関係省庁や与党との意見調整が行われる。必要に応じて、審議会に対する諮問や、公聴会における意見聴取等を経る。

1・2 を経て、法律案提出の見通しがついた場合には、主管官庁が法文化の作業を行う(法律案の原案を作成する)。

3 で作成された法律案の原案について、内閣法制局による予備審査が行われる(本来は、内閣法制局での審査は、5 の手続を経た閣議請議案に対して行われるはずである。しかし、現状では「閣議請議案は、内閣法制局の予備審査を経た法律案に基づいて」行われる)。

4 を経た段階で、主任の国務大臣が内閣総理大臣に対し、法律案の国会提出について閣議請議の手続を行う。これを受け付けた内閣官房は、内閣法制局に対して閣議請議案を送付する。

内閣法制局は、予備審査の結果とも照らし合わせつつ、最終的な審査を行い、必要があれば修正をし、内閣官房に回付する。

6 の審査を経た法律案について、内閣法制局長官が、閣議の席上で概要の説明を行う。異議なく閣議決定が行われた場合には、内閣総理大臣は、その法律案を国会(衆議院または参議院)に提出する。

法律案を提出された議院の議長は、法律案を適当な委員会に付託する。委員会では、主として法律案に対する質疑・応答の形で審議が行われる。委員会での審議が終了すれば、本会議に審議が移行する。法律案が提出された議院において、委員会及び本会議の表決の手続を経て可決されると、その法律案は、他の議院に送付される。送付を受けた議院においても、委員会及び本会議の審議、表決の手続が行われる。

両院で可決すれば、提出された法律案は、「法律となる」(憲法第59条第1項。憲法に特別の規定がある場合(憲法第59条第2項、第95条)を除く)。

法律が成立した後議院の議長から内閣を経由して、奏上される。

奏上された日から30日以内に、天皇が内閣の助言と承認に基づいて公布する(憲法第7条第1号、国会法第66条)。公布は、(公布のための)閣議決定を経た上で、官報に掲載されることによって行われる。公布される法律には、法律番号が付けられ、主任の国務大臣の署名及び内閣総理大臣の連署(憲法第74条)がなされる。

法律の発効(施行)

法律は、法律の成立後、後議院の議長から内閣を経由して奏上された日から30日以内に公布されなければならない[1]。また、法律の公布に当たっては、公布のための閣議決定を経た上、官報に掲載されることによって行われる[1]。公布は、法律が現実に発効(施行)するための要件であり、公布によって国民を拘束する力が生じるのではない。公布された法律がいつから施行されるかについては、通常、公布される法律の附則に定められているが、定めがない場合は公布の日から起算して20日を経過した日から施行される(法の適用に関する通則法2条)。公布・施行が同一日になされる場合は、官報が、独立行政法人国立印刷局官報課または東京都官報販売所(一般の希望者が官報を閲覧・購入しようとすればなしえた最初の場所)に到達した時点で公布があったとされる(判例)。
日本の法律に関する個別の記事「日本の法律一覧」も参照

憲法・主な法律の条文は、e-Gov法令検索[2]で、参照できる。

日本国憲法施行後に制定されたすべての法律(制定済みの法律を改正するための法律を含む。)は、衆議院のウェブサイト[3]で、参照できる。
英国における立法過程

イギリス議会貴族院庶民院の両院で構成され、法律は原則として両院で可決されたのち国王の裁可を経て成立する[2]

ただし、1911年及び1949年の国会法により、庶民院議長が金銭法案(Money Bill)であると判断した法案については、庶民院の通過後から会期終了の1ヶ月前までに貴族院に送付されれば、貴族院が可決しなくても国王の裁可を経て法案は成立する[2]。また、その他の一般法案(Public Bill)についても、貴族院は庶民院議員の任期延長に関する法案でない限り、庶民院の通過後1年間に限り法律の成立を遅らせることができるにすぎない[3]

実際には、庶民院と貴族院の議決が異なる場合、国会法による手続ではなく両者の協議によって解決されることが慣例となっている[4]
脚注[脚注の使い方]
出典^ a b “法律ができるまで”. 内閣法制局. 2023年8月24日閲覧。
^ a b 大森政輔鎌田薫編『立法学講義』商事法務、2006年、440頁
^ 大森政輔鎌田薫編『立法学講義』商事法務、2006年、440-441頁
^ 大森政輔鎌田薫編『立法学講義』商事法務、2006年、441頁

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