法令
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2006年(平成18年)3月、日本国政府の法令外国語訳実施推進検討会議は『法令用語日英標準対訳辞書』を発行し、その中で法令の英訳を以下のように定めた[3]

憲法 - Constitution

法律 - Act(原則)、Code(いわゆる法典)

政令 - Cabinet Order

内閣府令 - Cabinet Office Ordinance

省令 - Ordinance of the Ministry

規則 - Rule

条例 - Prefectural Ordinance(都道府県条例)、Municipal Ordinance(市町村条例)

日本の現行法上新たに制定されない法形式

現行法上新たに制定されない形式の法規範は、下記の通り。現行法上は新たに制定されない法形式であっても、現行法に根拠を持つ法規範は、効力を有する。
法律・政令・府省令に準じる法形式
太政官布告・太政官達
1868年に政体書によって設置され、内閣制度が創設されるまで存続していた最高官庁である太政官が制定していた法形式である。一般国民を拘束する内容を持つものを太政官布告とし、官庁限りの心得を太政官達としていたが、必ずしもその区別が守られていたとはいえなかった。太政官制度が廃止された後も、後に制定された法令に矛盾しない限りその効力を有し、大日本帝国憲法施行後もこれに抵触しない限りでなお従前の効力を有し、また、日本国憲法施行後も大日本帝国憲法下で法律又は勅令としての効力を認められたものは、現憲法に違反しない限り効力を有する。太政官布告第何号というのは、明治4年までは制定時には付されておらず後日編纂された法令全書において番号が付された。
勅令
天皇が発した成文法。君主の権能に関する事項を成文化し、国家統治の基本原則を定めるもの。法律と異なり、帝国議会の協賛を経ずに、天皇の大権によって制定された命令である。天皇が勅令を定めるにあたっては国務各大臣が輔弼したため、事実上、国務各大臣ないし内閣が発する法形式である。大日本帝国憲法第9条は、「天皇ハ法律ヲ執行スル爲ニ又ハ公共ノ安寧秩序ヲ保持シ及臣民ノ幸福ヲ増進スル爲ニ必要ナル命令ヲ發シ又ハ發セシム」と定めた。勅令によって法律を変更することはできなかった。勅令の目的は「法律を執行するため」「公共の安寧秩序を保持するため」「臣民の幸福を増進するため」と定められたが、憲法上法律事項とされていない事項については、法律に基づかなくとも制定できた。法律事項以外でも、軍に関することは軍令で、皇室に関することは皇室令で定めたので、これらを除いたものが勅令事項とされていた。現行の政令に相当し、日本国憲法施行後において、改正または廃止する場合は政令による。ただし、勅令の中でも法律の効力を持つと解される緊急勅令及びポツダム勅令については、改廃は法律による。

緊急勅令
勅令の一種。通常の勅令と異なり、「法律ニ代ルヘキ」として法律事項について制定された。大日本帝国憲法8条は、「天皇ハ公共ノ安全ヲ保持シ又ハ其ノ災厄ヲ避クル爲緊急ノ必要ニ由リ帝國議會閉會ノ場合ニ於テ法律ニ代ルヘキ勅令ヲ發ス」と定めた。緊急勅令の目的は「公共の安全を保持し、または、その災厄を避けるため」とされ、「緊急の必要により」制定することとされており、広くあらゆる事項を対象とすることができた。帝国議会閉会中に限って制定でき、帝国議会の次の会期に提出しなければならなかった。提出された緊急勅令が議会の承諾を受けないときは、将来に向かって効力を失うこととされた。「緊急勅令」という呼称は講学上のもので、法令上の正式な呼称及び法令番号での表記は単に「勅令」であった。官報公布時の上諭に緊急の勅令である旨[注 1]が記載されることで、通常の勅令と形式的に区別できる。
閣令
内閣官制第4条に定められた法形式で、主任の事務を担当する大臣の一人としての内閣総理大臣の命令である。その効力も他の大臣が定める省令と同等で、現行の府省令に相当する。
総理庁令
行政官庁法第6条第1項に定められた法形式で、総理庁の所管する事項について内閣総理大臣が制定した。現行の府省令に相当する。
法務庁令
法務庁設置法第2条第3項により準用される行政官庁法第6条第1項に定められた法形式で、法務総裁が制定した。現行の府省令に相当する。
総理府令
国家行政組織法第12条第1項に定められた法形式で、総理府の所管事項について内閣総理大臣が制定した。現行の府省令に相当する。
法務府令
国家行政組織法第12条第1項に定められた法形式で、法務総裁が制定した。現行の府省令に相当する。
皇室・軍隊において制定された法形式
皇室典範
現在の皇室典範は国会が制定する法律であるが、大日本帝国憲法時代は、帝国議会の議決を経ずに制定され、憲法と対等の効力を有するものとされた。皇室典範の改正又は増補は、皇族会議及び枢密顧問の諮詢を経て勅定されるという手続きで行われていた(典範第62条)。また、日本国憲法施行に伴い皇室典範という法形式そのものを消滅させるために制定された、皇室典範及皇室典範増補廃止ノ件(昭和22年5月1日公布)は、この改正手続きに準じて制定されたものである。
皇室令
旧皇室典範に基づく諸規則、宮内官制及びその他の皇室の事務に関して勅定を経た規定であり、発表すべきものは、この法形式により制定された。皇族に準じた礼遇を受けていた王公族や、貴族である華族朝鮮貴族の権利・義務などについてもこの法形式で規律していた。日本国憲法施行に伴いこの法形式が廃止されることとなり、皇室令及附属法令廃止の件(5昭和22年皇室令第12号)によって全ての皇室令が廃止されている。この法形式では、上諭に必ず宮内大臣副署することとされていた。ただ、国務大臣の職務に関連する皇室令については、宮内大臣の後に、内閣総理大臣及び主任の国務大臣が副署することとされていた。
軍令
天皇の陸海軍統帥権に関して勅定を経た規定のことをいう。1907年(明治40年)の「軍令ニ関スル件」(明治40年軍令第1号)制定に始まり、陸海軍解体後の1946年に廃止された。軍令で公示を要するものは、上諭を付し、主任の陸軍大臣海軍大臣が副署することとされていた。なお、内閣総理大臣の副署はされなかった。
地方首長(内地)が制定した法形式
都令
 北海道庁令 府県令
条例で定めるもの以外の事項について、都長官、北海道庁長官、府県知事が制定した命令である。
外地において制定された法形式
律令
台湾が日本の領土であった時代に定められた法形式である。内地において法律で定めるべき事項について天皇の勅裁を経て台湾総督が制定していた。総督はその管轄地域においては軍事・行政・立法の全権を掌握しており、通常の手続では、事前に勅裁を得て発行したが、緊急時には事後の勅裁を許されており、これを緊急律令という。合計で10件の律令が緊急律令として制定された。1906年までは、制定において台湾総督府評議会の議決を経ることが必要であったが、1908年以後は議決は不要になった。
制令
朝鮮が日本の領土であった時代に定められた法形式である。内地において法律で定めるべき事項について天皇の勅裁を経て朝鮮総督が制定していた。
総督府令
朝鮮および台湾において総督が法律で定めるべき事項以外について定める命令である。内地での勅令、省令に相当する命令。罰則は1年以下の懲役若しくは禁錮、拘留、200円以下の罰金又は科料。
州令
台湾における内地では府県令に相当する命令で、台湾の地方単位「州」の長たる州知事が定めるものをいう。罰則は府県令より重く省令と同じ。
庁令
台湾における内地では府県令に相当する命令で、台湾の地方単位「州」を置かない未開地域「庁」の長たる庁長が定めるものをいう。罰則は府県令より軽い。
道令
朝鮮における内地では府県令に相当する命令で、朝鮮の地方単位「道」の長たる道知事が定めるものをいう。罰則は3月以下の懲役若しくは禁錮、拘留、100円以下の罰金又は科料。
関東庁令
関東長官が定める命令である。罰則は勅令と同じである。安寧秩序保持のため緊急のときは、事後に勅裁を請えばより重い罰則を付することができる。
関東局令
関東局の長たる在満洲国特命全権大使すなわち関東軍司令官が定める命令である。罰則は勅令と同じである。安寧秩序保持のため緊急のときは、事後に勅裁を請えばより重い罰則を付することができる。
民政署令
関東州における内地では府県令に相当する命令である。関東州の地方単位「区」に置かれた民政署の長たる民政署長が定めるものをいう。罰則は府県令と同じ。
南洋庁令
南洋庁長官が定める命令である。罰則は勅令と同じである。安寧秩序保持のため緊急のときは、事後に勅裁を請えばより重い罰則を付することができる。
樺太庁令
樺太庁長官が定める命令である。罰則は省令と同じ。
アメリカ施政権下の沖縄の法令
布告
米国民政府により定められた法形式である。主に占領に関する基本原則などを定めていた。
布令
米国民政府により定められた法形式である。上記の布告をさらに具体的にした法令である。
立法
琉球政府立法院により定められた法形式である。布告・布令の範囲内ではあるが、日本本土において法律で定めるべき事項について米国民政府の承認を経て制定していた。
臨時に定められた法形式
本部令
昭和27年法律第253号によって削られる前の
国家行政組織法附則第24条第1項に基づき臨時に内閣総理大臣をもって長に充てる本部が置かれた場合、同条第2項により準用する同法第12条第1項に基づき(府省令に準じて)発されるものとされた。


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